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第二章 Redemption -レデンプション-
16
自動ドアが開くと、外の空気が少しぬるく感じた。
日が沈みかけていて、空は茜から群青へと変わる途中。
街のざわめきが、昼とは違う音を立てている。
真木はいちごみるくの入ったビニール袋を手に提げ、軽く振りながら歩いていた。
「買いすぎましたね」
袋の中には、ふたり分の飲み物と、ついでに買ったおにぎりが揺れている。
「お前がほとんどだろ」
「まぁ、そうですね」
軽口のようなやり取りに、綾辻はわずかに目を細める。
真木の笑顔を見ながら、胸の奥で何かがきゅっと締まる感覚があった。
それが何かは、言葉にならなかった。
羨ましさでも、嫉妬でもない。
ただ――手の届かない何かを、この青年の中に見た気がした。
歩道の向こうから、子どもたちの笑い声が聞こえた。
風が吹いて、真木の髪がふわりと揺れる。
「綾辻さん」
「ん?」
「また来週も、どこか行きましょうね」
「……ああ」
短く返すと、真木はまた笑った。
その笑顔は夕暮れの街に、静かに溶けていった。
日が沈みかけていて、空は茜から群青へと変わる途中。
街のざわめきが、昼とは違う音を立てている。
真木はいちごみるくの入ったビニール袋を手に提げ、軽く振りながら歩いていた。
「買いすぎましたね」
袋の中には、ふたり分の飲み物と、ついでに買ったおにぎりが揺れている。
「お前がほとんどだろ」
「まぁ、そうですね」
軽口のようなやり取りに、綾辻はわずかに目を細める。
真木の笑顔を見ながら、胸の奥で何かがきゅっと締まる感覚があった。
それが何かは、言葉にならなかった。
羨ましさでも、嫉妬でもない。
ただ――手の届かない何かを、この青年の中に見た気がした。
歩道の向こうから、子どもたちの笑い声が聞こえた。
風が吹いて、真木の髪がふわりと揺れる。
「綾辻さん」
「ん?」
「また来週も、どこか行きましょうね」
「……ああ」
短く返すと、真木はまた笑った。
その笑顔は夕暮れの街に、静かに溶けていった。
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