半分の1人

春川信子

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苦しゅうない

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その当時私は、大学、バイト、演劇となかなか忙しい日々を送っていた。
今思うと、最愛の猫さんがいるのにもったいない。
豆千代は、玄関に私が行くと必ず阻止し、母ロダンと同じ金色の目で行かないで!と訴えた。
いくらでも一緒にいるんだった。
後悔はちくちく胸をさす。
この痛みもいつか消える。
生きているから。

話を戻そう。

豆千代は茹でたササミが好物だ。たまに与えていた。
苦しゅうない、美味じゃ美味じゃ!
踊り狂う豆千代を横目にご飯を食べる。
机で背を丸め、ちよ助からご飯をガードして食べる。
愛媛からやってきた、中さんと一緒にスーパーをよく回っていて、ササミも安い日を教えて貰っていた。
我が大学のクールビューティかなちゃんも、勉強を教えてくれたり、周りには人がたくさんいた。
「猫拾おた?」
かなちゃんは猫さんを飼っていて、何かと猫のことを教えてくれた。
「病院連れていくんやで。」
猫さんのいる物を買い込むと、いくらバイトをしても足りなかった。
友人達から助けられながら、豆千代は育っていた。
本人はどこ吹く風で、のしのし歩き、私の上で香箱を組んでいた。
劇団の台本は書けなかった。
パソコンの前に座ったまま、一日が終わる。
私は、双極性障害になっていた。
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