良い子の為の絶望学

涙の3万

その子はオカルトに凝っていた。
なんでも、ジャニーズの生霊が体に憑依してセックスしてくれるそうだ。
その時私は精神病院にいた。
電話でその子が泣きじゃくっていた。
そこで、あっお金かしてか？と気づけるほど世慣れていなかった。
シェアハウスを追い出されたから、ホテル代をかしてくれときた。
私は、意識がはっきりしないまま、いいよと言った。
これは、私がド田舎の人間と分かるエピソードだ。ド田舎では情報が早い。良い噂も悪い噂も、オババネットワークで流れていく。
私はド田舎で死ぬほど嫌いだったオババ達に守られいたんだと分かった。
つまり、私は、この人より木が多い土地で、騙されたんである。
3万円、かした。
というか、あげた。
そんな余裕あったら、ユニセフにでもぶち込みたい。
その子の悲しい妄想が、ただ好きだったのだ。
容姿は悪い方なのに、私彼氏がいるのーっと明るく振る舞うその子は、なんとなく、気が許せる存在だった。
みんな妄想だって分かっているのに、そっとしておいたのは、何かしら彼女がチャーミングだったんだろう。
残念、その子代は3万だった。
私は友達すら、どこか疑う。