良い子の為の絶望学

春川信子

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偽善者で何が悪い

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日比野さんは実は、よく優しいんだねと言われる。
日比野さんは悩む。
私の優しさには何か足りない。
日比野さんは5年付き合った連れに別れを告げた。
本当は一緒にいてほしかった。
日比野さんの中では、1番優しい記憶が、たまに彼と仲良くしていたことだ。
ある人に言われた。
「一緒にいてくれって言うことが本当の優しさだ。」
日比野さんはどうしてもそれが言えない。
いくらセックスしても、いくら優しくされても、心から思ってくれても、言えない。
自分に精神疾患があることが、どうしても、恥ずかしい。
また、未来の自分の家庭が怖い。
私は1人がいい。
そう思うようになった。
孤独死って案外悪くない。
日比野さんはご高齢で独りでなくなった老人のもののない、テレビと布団だけの部屋に潔よさをみた。
好きな物食べて、さぁ寝るかって時にぽっくりいけたら。
日比野さんはそんな未来を描いている。
それを絶望と呼ぶ人もいるだろうけれど。
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