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24 女嫌いの公爵様は・・・(最終話)
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私達が本物の夫婦になってから、一年以上が経過し、今、私のお腹には新しい命が宿っている。
それを報告した時の、ダンの喜びようは想像以上だった。
そして妊娠のせいで過保護が悪化し、常に雛鳥の様に私の後ろを付いて回る彼は、イバンやマリベルにいつも注意されている。
そんなある日、私の懐妊を聞き付けたレジェス様が、お祝いに来てくれる事になった。
「トリシアは会わなくても良いんだぞ」
「私達のお祝いに来てくださるのに、そんな訳にはいきません」
不満そうな夫に苦笑する。
レジェス様は、紫色のラナンキュラスの花束と、浮腫に効くと言うハーブティーの茶葉を持って来てくれた。
紫のラナンキュラスの花言葉は、『幸福』
香りの少ない品種なのも、妊婦の私には嬉しい。
浮腫に関しても実は悩んでいたので、ハーブティーも有り難い。
お祝いの言葉を述べる彼に、私は笑顔でお礼を言って、応接室に案内した。
ソニアが先程貰ったばかりのハーブティーを淹れてくれた。
色々な花やハーブをブレンドしたお茶は、鮮やかな紅色で、仄かな酸味が美味しい。
「パティちゃんと会うのは久し振りだねぇ」
妊娠が発覚してからは、ダンが許さないので社交はお休みしている。
レジェス様に会うのは本当に久し振りだった。
「前にも言ったが、イングレース公爵夫人と呼べ」
ダンが顔を顰めて文句を言う。
「前にも思ったけど、他人行儀過ぎない?」
「まごう事なき他人ではないか。
他人行儀で何が悪い」
「奥さんの事になると、心が狭過ぎる」
「私はパティと呼んで頂いて構いませんよ?
レジェス様は、ダンの大切なご友人ですから、他人行儀に接されるのは寂しいです」
心の狭いダンを無視してそう言うと、彼は咎める様な視線を私に向けた。
「いくら私の友人でも、あまり信用し過ぎてはいけないよ」
「それ、本人目の前にして言う?
少し会わない間に、面倒臭さが悪化してる。
パティちゃん、ダニーの独占欲が強すぎてウザい時は、ちゃんと言った方が良いよ?」
「トリシアも、そう思ってる?」
「・・・・・・大丈夫。思ってないですよ」
本当は、たまーーに面倒臭いと思う時がある。
そして今も若干面倒臭い。
「微妙に間があったね」
ニヤリと笑うレジェス様に苦笑を返すと、ダンが本格的に不機嫌になってきた。
その空気を察知して、レジェス様は少し冷めたハーブティーをグイッと飲み干すと、腰を上げる。
「じゃあ、お祝いも渡したし、俺はそろそろ失礼するよ。
ああ、見送りは要らないよ。
パティちゃんは動くの大変そうだし、ダニーは彼女に付いていたいでしょ」
そう言ってヒラヒラと手を振ると、自分の邸のようにサッサと玄関の方へ去って行った。
私のお腹は、まだそんなに膨らんでいないので、動くのは大変じゃない。
レジェス様は私を気遣ったのでは無く、拗ねるダンを私に押し付けたのだ。
「トリシアに対する独占欲が強いのは自覚している。
もし嫌だったら言って欲しい。
抑えられるか分からないけど・・・気を付ける」
───自覚があったのか。
隣に座っている彼を見上げると、少し元気がない様子。
「大丈夫だって言ったじゃないですか」
「いつか君に嫌われそうで怖い」
「嫌いません。
そりゃあ、少しだけ面倒だなって思う事はありますが、それ以上に嬉しいんです。
だって、それだけ愛してくれているのでしょう?」
青紫の瞳が瞬いた後、優しく細められた。
「ああ、愛している。
自分でも怖いくらい、毎日君を好きになっていく」
「ふふっ。その愛を半分だけ、この子に分けてあげて下さいね」
少しだけ大きくなったお腹を摩りながらお願いすると、彼も愛しそうに私のお腹に手を当てた。
「トリシアへの愛は分けない。
この子の分は、きっと新たに湧いてくるんだよ」
ああ、成る程。
そういう物なのかもしれない。
妙に納得すると同時に、胸の奥がポカポカと温かくなり、幸せな気持ちが広がる。
かつて『女嫌いだ』と噂されていた私の夫は、今では『王国で一番の愛妻家だ』と噂されているらしい。
社交界での噂ほど当てにならない物は無い。
しかし、その噂だけは、真実だ。
【終】
*・゜゚・*:.。..。.:*・*・゜゚・*:.。..。.:*・*・゜゚・*
最後までお読み頂き、有難うございました!
m(_ _)mぺこり
思ったよりも多くの読者様に、お気に入り登録や感想を頂き、深く感謝しております。
さて、本編はここで終了ですが、調子に乗って、番外編を公開しようかと画策中でございます。
果たして、需要はあるのでしょうか・・・?( ̄▽ ̄;)
タイトルは「犬も食わない」
最終話から数年後、結婚生活にも慣れて、少し恋愛偏差値が上がった(?)夫婦の日常を、前後編でお届け予定です。
ちょっぴり肉食系になったダニエルさんが見られるカモ・・・。
「読んであげても良いよ~」と思って下さった皆様は、もう少しだけ、お気に入りを外さないでいて頂けると有り難いです。
よろしくお願い致します。
それを報告した時の、ダンの喜びようは想像以上だった。
そして妊娠のせいで過保護が悪化し、常に雛鳥の様に私の後ろを付いて回る彼は、イバンやマリベルにいつも注意されている。
そんなある日、私の懐妊を聞き付けたレジェス様が、お祝いに来てくれる事になった。
「トリシアは会わなくても良いんだぞ」
「私達のお祝いに来てくださるのに、そんな訳にはいきません」
不満そうな夫に苦笑する。
レジェス様は、紫色のラナンキュラスの花束と、浮腫に効くと言うハーブティーの茶葉を持って来てくれた。
紫のラナンキュラスの花言葉は、『幸福』
香りの少ない品種なのも、妊婦の私には嬉しい。
浮腫に関しても実は悩んでいたので、ハーブティーも有り難い。
お祝いの言葉を述べる彼に、私は笑顔でお礼を言って、応接室に案内した。
ソニアが先程貰ったばかりのハーブティーを淹れてくれた。
色々な花やハーブをブレンドしたお茶は、鮮やかな紅色で、仄かな酸味が美味しい。
「パティちゃんと会うのは久し振りだねぇ」
妊娠が発覚してからは、ダンが許さないので社交はお休みしている。
レジェス様に会うのは本当に久し振りだった。
「前にも言ったが、イングレース公爵夫人と呼べ」
ダンが顔を顰めて文句を言う。
「前にも思ったけど、他人行儀過ぎない?」
「まごう事なき他人ではないか。
他人行儀で何が悪い」
「奥さんの事になると、心が狭過ぎる」
「私はパティと呼んで頂いて構いませんよ?
レジェス様は、ダンの大切なご友人ですから、他人行儀に接されるのは寂しいです」
心の狭いダンを無視してそう言うと、彼は咎める様な視線を私に向けた。
「いくら私の友人でも、あまり信用し過ぎてはいけないよ」
「それ、本人目の前にして言う?
少し会わない間に、面倒臭さが悪化してる。
パティちゃん、ダニーの独占欲が強すぎてウザい時は、ちゃんと言った方が良いよ?」
「トリシアも、そう思ってる?」
「・・・・・・大丈夫。思ってないですよ」
本当は、たまーーに面倒臭いと思う時がある。
そして今も若干面倒臭い。
「微妙に間があったね」
ニヤリと笑うレジェス様に苦笑を返すと、ダンが本格的に不機嫌になってきた。
その空気を察知して、レジェス様は少し冷めたハーブティーをグイッと飲み干すと、腰を上げる。
「じゃあ、お祝いも渡したし、俺はそろそろ失礼するよ。
ああ、見送りは要らないよ。
パティちゃんは動くの大変そうだし、ダニーは彼女に付いていたいでしょ」
そう言ってヒラヒラと手を振ると、自分の邸のようにサッサと玄関の方へ去って行った。
私のお腹は、まだそんなに膨らんでいないので、動くのは大変じゃない。
レジェス様は私を気遣ったのでは無く、拗ねるダンを私に押し付けたのだ。
「トリシアに対する独占欲が強いのは自覚している。
もし嫌だったら言って欲しい。
抑えられるか分からないけど・・・気を付ける」
───自覚があったのか。
隣に座っている彼を見上げると、少し元気がない様子。
「大丈夫だって言ったじゃないですか」
「いつか君に嫌われそうで怖い」
「嫌いません。
そりゃあ、少しだけ面倒だなって思う事はありますが、それ以上に嬉しいんです。
だって、それだけ愛してくれているのでしょう?」
青紫の瞳が瞬いた後、優しく細められた。
「ああ、愛している。
自分でも怖いくらい、毎日君を好きになっていく」
「ふふっ。その愛を半分だけ、この子に分けてあげて下さいね」
少しだけ大きくなったお腹を摩りながらお願いすると、彼も愛しそうに私のお腹に手を当てた。
「トリシアへの愛は分けない。
この子の分は、きっと新たに湧いてくるんだよ」
ああ、成る程。
そういう物なのかもしれない。
妙に納得すると同時に、胸の奥がポカポカと温かくなり、幸せな気持ちが広がる。
かつて『女嫌いだ』と噂されていた私の夫は、今では『王国で一番の愛妻家だ』と噂されているらしい。
社交界での噂ほど当てにならない物は無い。
しかし、その噂だけは、真実だ。
【終】
*・゜゚・*:.。..。.:*・*・゜゚・*:.。..。.:*・*・゜゚・*
最後までお読み頂き、有難うございました!
m(_ _)mぺこり
思ったよりも多くの読者様に、お気に入り登録や感想を頂き、深く感謝しております。
さて、本編はここで終了ですが、調子に乗って、番外編を公開しようかと画策中でございます。
果たして、需要はあるのでしょうか・・・?( ̄▽ ̄;)
タイトルは「犬も食わない」
最終話から数年後、結婚生活にも慣れて、少し恋愛偏差値が上がった(?)夫婦の日常を、前後編でお届け予定です。
ちょっぴり肉食系になったダニエルさんが見られるカモ・・・。
「読んであげても良いよ~」と思って下さった皆様は、もう少しだけ、お気に入りを外さないでいて頂けると有り難いです。
よろしくお願い致します。
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