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13 やっと気付いた自分の心
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騒動の翌日は、週末だった。
学園は休みなので、私は王子妃教育を受けに登城している。
午後の休憩時間は、例によってジュリアン殿下の執務室に呼ばれて、お茶をご馳走になる。
今日も、部屋いっぱいに甘い香りが広がっている。
フカフカのソファーに腰を降ろすと、アールグレイの紅茶と、アップルパイが饗された。
どちらも私の好物だ。
落ち込んでいる私を、気遣って下さったのだろうか?
「昨日の二人は、とりあえず停学処分になったよ。
これから色々調べて、証拠を固めてから、最終的な処分を下す予定だ」
「・・・・・・」
「どうしたの?リュシー。
まだ、何か気になる事がある?」
不安が顔に出ていたのか、殿下が心配そうに私の顔を覗き込む。
「・・・昨日は、殿下が庇って下さったお陰で、皆さん一応は納得して下さったみたいでしたが、確実な証拠を提示出来た訳ではありません。
まだ、私に疑惑を持っている生徒は多いのではないでしょうか?
そんな私が王子妃になるなんて・・・」
あんな簡単な罠に嵌ってしまった自分が情けなかった。
階段でのトラブルは、乙ゲー転生小説の定番だ。
このゲームをプレイした事が無いと言っても、予測は出来たはずなのに、警戒を怠った。
悔しさと悲しさで顔が上げられない。
「ねぇ、リュシー。
どんな事情があるのかは分からないけど、婚約解消なんて言うのは、もうやめないか」
ジュリアン殿下は、優しい声で、静かに私に語りかける。
「自惚れかもしれないけど、君が婚約解消の話をする時は、いつも少し悲しそうに見えるんだ。
それに、君が王子妃になる為に頑張ってくれていた事を、僕は知ってる」
ーーーそうか。私、頑張ってたのか。
確かに、大変な王子妃教育を、懸命に頑張っていた。
賢くも無い頭で、苦手な教科も必死に学んだ理由なんて、一つしかないではないか。
ああ、好きにならない様に気を付けていた筈だったのに。
自分でも気付かない内に、こんなにも、この人の事が好きになってしまっていたんだ・・・・・・
「・・・・・・ジュリアン殿下。
私・・・、貴方の事が、好きみたいです」
ずっと心の奥に閉じ込めてきた想いが溢れた瞬間、彼の水色の瞳が大きく見開かれ、幸せそうな笑顔に変わる。
「ああ・・・、やっとその言葉が聞けた」
テーブルを挟んで、向かいのソファに座っていた殿下が、私の隣に移動する。
「リュシー、大好きだよ」
目の前のアップルパイよりも、殿下の醸し出す空気の方がずっと甘い。
私の頬に触れる彼の手は、少しだけ震えている。
熱の籠った瞳で見つめられると、彼の事以外何も考えられなくなった。
その水色の瞳が少しづつ近付いて、自然に目を閉じると・・・
2人の唇が、一瞬だけ重なった。
・・・見つめ合ったまま、どのくらいの時間が過ぎたのか。
いつまでも治まらない動悸を抑えたくて、無意識の内に胸元に手を当てた。
ーーーあ。
指先に触れたペンダントの存在を思い出し、首元からそれを引き出す。
ポケットから、同じ物を取り出して、殿下に手渡した。
「これ、よかったら受け取って下さい」
「これは?」
「新作の魔道具の試作品です。
離れた場所にいる人物と、会話が出来ます」
「へえ、こんなに小さいのに?」
携帯電話の開発は難航している。
この試作品は、対になる一台としか通信出来ないのだ。
電話の様に一台づつに番号などを割り振って、誰とでも繋げられる様にしようとすると、どうしてもサイズが大きくなり、携帯には向かなくなってしまう。
私の頭脳ではなかなか難しかった。
しかし、これはこれで多少は需要がありそうな気がしている。
この世界にも、遠隔で会話が出来る道具はあるのだが、大きくて持ち歩きは出来ないし、高額だ。
主に王城と辺境の緊急連絡などに用いられている。
それが安価で小型化されたのだから、使い道は色々ありそうだ。
「まだ開発途中で、今の所、私が持っているコレとしか通信出来ませんが」
私が首元に下げた自分のペンダントを指すと、殿下が目を輝かせた。
「それって、リュシーといつでも話が出来るって事だよね?
凄く嬉しい。
でも、貴重な試作品を、僕が貰っても良いの?」
「ええ。殿下に持っていて欲しいです」
その言葉に嬉しそうに笑った彼は、私を腕の中に閉じ込めた。
学園は休みなので、私は王子妃教育を受けに登城している。
午後の休憩時間は、例によってジュリアン殿下の執務室に呼ばれて、お茶をご馳走になる。
今日も、部屋いっぱいに甘い香りが広がっている。
フカフカのソファーに腰を降ろすと、アールグレイの紅茶と、アップルパイが饗された。
どちらも私の好物だ。
落ち込んでいる私を、気遣って下さったのだろうか?
「昨日の二人は、とりあえず停学処分になったよ。
これから色々調べて、証拠を固めてから、最終的な処分を下す予定だ」
「・・・・・・」
「どうしたの?リュシー。
まだ、何か気になる事がある?」
不安が顔に出ていたのか、殿下が心配そうに私の顔を覗き込む。
「・・・昨日は、殿下が庇って下さったお陰で、皆さん一応は納得して下さったみたいでしたが、確実な証拠を提示出来た訳ではありません。
まだ、私に疑惑を持っている生徒は多いのではないでしょうか?
そんな私が王子妃になるなんて・・・」
あんな簡単な罠に嵌ってしまった自分が情けなかった。
階段でのトラブルは、乙ゲー転生小説の定番だ。
このゲームをプレイした事が無いと言っても、予測は出来たはずなのに、警戒を怠った。
悔しさと悲しさで顔が上げられない。
「ねぇ、リュシー。
どんな事情があるのかは分からないけど、婚約解消なんて言うのは、もうやめないか」
ジュリアン殿下は、優しい声で、静かに私に語りかける。
「自惚れかもしれないけど、君が婚約解消の話をする時は、いつも少し悲しそうに見えるんだ。
それに、君が王子妃になる為に頑張ってくれていた事を、僕は知ってる」
ーーーそうか。私、頑張ってたのか。
確かに、大変な王子妃教育を、懸命に頑張っていた。
賢くも無い頭で、苦手な教科も必死に学んだ理由なんて、一つしかないではないか。
ああ、好きにならない様に気を付けていた筈だったのに。
自分でも気付かない内に、こんなにも、この人の事が好きになってしまっていたんだ・・・・・・
「・・・・・・ジュリアン殿下。
私・・・、貴方の事が、好きみたいです」
ずっと心の奥に閉じ込めてきた想いが溢れた瞬間、彼の水色の瞳が大きく見開かれ、幸せそうな笑顔に変わる。
「ああ・・・、やっとその言葉が聞けた」
テーブルを挟んで、向かいのソファに座っていた殿下が、私の隣に移動する。
「リュシー、大好きだよ」
目の前のアップルパイよりも、殿下の醸し出す空気の方がずっと甘い。
私の頬に触れる彼の手は、少しだけ震えている。
熱の籠った瞳で見つめられると、彼の事以外何も考えられなくなった。
その水色の瞳が少しづつ近付いて、自然に目を閉じると・・・
2人の唇が、一瞬だけ重なった。
・・・見つめ合ったまま、どのくらいの時間が過ぎたのか。
いつまでも治まらない動悸を抑えたくて、無意識の内に胸元に手を当てた。
ーーーあ。
指先に触れたペンダントの存在を思い出し、首元からそれを引き出す。
ポケットから、同じ物を取り出して、殿下に手渡した。
「これ、よかったら受け取って下さい」
「これは?」
「新作の魔道具の試作品です。
離れた場所にいる人物と、会話が出来ます」
「へえ、こんなに小さいのに?」
携帯電話の開発は難航している。
この試作品は、対になる一台としか通信出来ないのだ。
電話の様に一台づつに番号などを割り振って、誰とでも繋げられる様にしようとすると、どうしてもサイズが大きくなり、携帯には向かなくなってしまう。
私の頭脳ではなかなか難しかった。
しかし、これはこれで多少は需要がありそうな気がしている。
この世界にも、遠隔で会話が出来る道具はあるのだが、大きくて持ち歩きは出来ないし、高額だ。
主に王城と辺境の緊急連絡などに用いられている。
それが安価で小型化されたのだから、使い道は色々ありそうだ。
「まだ開発途中で、今の所、私が持っているコレとしか通信出来ませんが」
私が首元に下げた自分のペンダントを指すと、殿下が目を輝かせた。
「それって、リュシーといつでも話が出来るって事だよね?
凄く嬉しい。
でも、貴重な試作品を、僕が貰っても良いの?」
「ええ。殿下に持っていて欲しいです」
その言葉に嬉しそうに笑った彼は、私を腕の中に閉じ込めた。
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