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10 歌劇場での騒動
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私が好きな小説が、歌劇の原作になったらしい。
是非見に行きたい。
婚約者がいない状態に慣れてしまった私は、一人で行こうかと思ってしまったが、ジェラルド様が正式な婚約者になった今は、そうもいかないのだろう。
誘ってみようか・・・
一瞬、オズワルドの頃の悪夢が頭を過ぎるが、ジェラルド様なら喜んで付き合ってくれそうな気がした。
早速手紙を書いて誘うと、直ぐに嬉しそうな返事が届き、二度目のデートが決まった。
当日、ジェラルド様は大きな白百合の花束を抱えてやってきた。
近付くと、仄かな甘い香りが広がった。
「セシリア、会いたかった。
麗しい貴女にこの花束を。
私の中では、セシリアは白百合のイメージなので、これを選びました。
凛として美しい所がそっくりでしょう?
愛してます、セシリア」
「あ・・・、ありがとうございます」
百合の花束を受け取り、私の部屋に飾るよう、ドナに指示する。
純白の花を抱えた私の顔は、真紅に染まっていたに違いない。
使用人達が、いつも以上にニコニコと見守っている気がして、居た堪れない。
歌劇場に到着し、馬車を降りたところで、二度と会いたくない人物に呼び止められた。
「兄上!」
大股で寄ってくるオズワルドは、ライラと違うタイプの可愛らしい令嬢を侍らせていた。
ライラとはもう別れたのかしら?それともまた浮気?まあ、どっちでも良いけど。
「ちょっとぉ!オズワルド、待ってよぉ!」
「うるさい、お前は黙ってろ!!」
理不尽に怒鳴られた令嬢は、腹を立てて帰ってしまった。
「オズワルド、何の用だ?
セシリアに近付くなと言われてるだろう」
ジェラルド様が射殺さんばかりの目でオズワルドを睨む。
この人、よく外出先で遭遇するけど、私の事尾行してるんじゃ無いでしょうね?
「兄上、酷いじゃないですか!ランバート家には俺が婿入りする予定だったのに」
「その立場を捨てたのはお前自身だろ?
婚約者を大切にするという、当たり前の事さえ出来なかった癖に」
「で・・・・・・ですが、あそこまで傾いてしまった我が家を、俺だけで立て直せるとは思えません。
セルヴィッチ侯爵家がどうなっても良いのですか?」
身勝手な言葉に、ジェラルド様は深いため息を吐いた。
「どうでもいい。父上もお前も自業自得だろ。
お前は知らなかったかもしれないが、ランバート伯爵は初めから、セルヴィッチの2人の子息の内、優秀な方を婿にという条件で多額の支援をしてくださったのだ。
それなのにお前を婿にするなど、伯爵への大恩に報いるつもりがないと言っているも同然だろう。
父上は、初めから私を手離すべきだった。
嫡男に執着するあまり、大局を見失ったのだ。
今後はセルヴィッチ侯爵家に協力する者は少なくなるだろうな。
信用を無くしたのだから」
あまりの正論に、言葉を失ったオズワルドは、矛先を私の方に向ける。
「セシリア!お前もサッサと兄上に乗り換えるとは、とんだ尻軽だな!」
ジェラルド様の発する空気が、より一層鋭くなった。
「貴様っっ!!私の最愛を侮辱するつもりならいつでも相手になるぞ!」
あまりの怒声に、分が悪いと悟ったオズワルドは、舌打ちを残して逃げて行った。
オズワルドが去っても、なかなか怒りのオーラが収まらないジェラルド様を見上げて、背中をそっと撫でる。
私と目が合うと、一瞬で蕩ける様な笑顔をくれた。
是非見に行きたい。
婚約者がいない状態に慣れてしまった私は、一人で行こうかと思ってしまったが、ジェラルド様が正式な婚約者になった今は、そうもいかないのだろう。
誘ってみようか・・・
一瞬、オズワルドの頃の悪夢が頭を過ぎるが、ジェラルド様なら喜んで付き合ってくれそうな気がした。
早速手紙を書いて誘うと、直ぐに嬉しそうな返事が届き、二度目のデートが決まった。
当日、ジェラルド様は大きな白百合の花束を抱えてやってきた。
近付くと、仄かな甘い香りが広がった。
「セシリア、会いたかった。
麗しい貴女にこの花束を。
私の中では、セシリアは白百合のイメージなので、これを選びました。
凛として美しい所がそっくりでしょう?
愛してます、セシリア」
「あ・・・、ありがとうございます」
百合の花束を受け取り、私の部屋に飾るよう、ドナに指示する。
純白の花を抱えた私の顔は、真紅に染まっていたに違いない。
使用人達が、いつも以上にニコニコと見守っている気がして、居た堪れない。
歌劇場に到着し、馬車を降りたところで、二度と会いたくない人物に呼び止められた。
「兄上!」
大股で寄ってくるオズワルドは、ライラと違うタイプの可愛らしい令嬢を侍らせていた。
ライラとはもう別れたのかしら?それともまた浮気?まあ、どっちでも良いけど。
「ちょっとぉ!オズワルド、待ってよぉ!」
「うるさい、お前は黙ってろ!!」
理不尽に怒鳴られた令嬢は、腹を立てて帰ってしまった。
「オズワルド、何の用だ?
セシリアに近付くなと言われてるだろう」
ジェラルド様が射殺さんばかりの目でオズワルドを睨む。
この人、よく外出先で遭遇するけど、私の事尾行してるんじゃ無いでしょうね?
「兄上、酷いじゃないですか!ランバート家には俺が婿入りする予定だったのに」
「その立場を捨てたのはお前自身だろ?
婚約者を大切にするという、当たり前の事さえ出来なかった癖に」
「で・・・・・・ですが、あそこまで傾いてしまった我が家を、俺だけで立て直せるとは思えません。
セルヴィッチ侯爵家がどうなっても良いのですか?」
身勝手な言葉に、ジェラルド様は深いため息を吐いた。
「どうでもいい。父上もお前も自業自得だろ。
お前は知らなかったかもしれないが、ランバート伯爵は初めから、セルヴィッチの2人の子息の内、優秀な方を婿にという条件で多額の支援をしてくださったのだ。
それなのにお前を婿にするなど、伯爵への大恩に報いるつもりがないと言っているも同然だろう。
父上は、初めから私を手離すべきだった。
嫡男に執着するあまり、大局を見失ったのだ。
今後はセルヴィッチ侯爵家に協力する者は少なくなるだろうな。
信用を無くしたのだから」
あまりの正論に、言葉を失ったオズワルドは、矛先を私の方に向ける。
「セシリア!お前もサッサと兄上に乗り換えるとは、とんだ尻軽だな!」
ジェラルド様の発する空気が、より一層鋭くなった。
「貴様っっ!!私の最愛を侮辱するつもりならいつでも相手になるぞ!」
あまりの怒声に、分が悪いと悟ったオズワルドは、舌打ちを残して逃げて行った。
オズワルドが去っても、なかなか怒りのオーラが収まらないジェラルド様を見上げて、背中をそっと撫でる。
私と目が合うと、一瞬で蕩ける様な笑顔をくれた。
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