【完結】政略の価値も無い婚約者を捨てたら幸せになった

miniko

文字の大きさ
10 / 16

10 歌劇場での騒動

しおりを挟む
私が好きな小説が、歌劇の原作になったらしい。
是非見に行きたい。
婚約者がいない状態に慣れてしまった私は、一人で行こうかと思ってしまったが、ジェラルド様が正式な婚約者になった今は、そうもいかないのだろう。

誘ってみようか・・・
一瞬、オズワルドの頃の悪夢が頭を過ぎるが、ジェラルド様なら喜んで付き合ってくれそうな気がした。

早速手紙を書いて誘うと、直ぐに嬉しそうな返事が届き、二度目のデートが決まった。


当日、ジェラルド様は大きな白百合の花束を抱えてやってきた。
近付くと、仄かな甘い香りが広がった。

「セシリア、会いたかった。
麗しい貴女にこの花束を。
私の中では、セシリアは白百合のイメージなので、これを選びました。
凛として美しい所がそっくりでしょう?
愛してます、セシリア」

「あ・・・、ありがとうございます」

百合の花束を受け取り、私の部屋に飾るよう、ドナに指示する。
純白の花を抱えた私の顔は、真紅に染まっていたに違いない。
使用人達が、いつも以上にニコニコと見守っている気がして、居た堪れない。



歌劇場に到着し、馬車を降りたところで、二度と会いたくない人物に呼び止められた。

「兄上!」

大股で寄ってくるオズワルドは、ライラと違うタイプの可愛らしい令嬢を侍らせていた。
ライラとはもう別れたのかしら?それともまた浮気?まあ、どっちでも良いけど。

「ちょっとぉ!オズワルド、待ってよぉ!」

「うるさい、お前は黙ってろ!!」

理不尽に怒鳴られた令嬢は、腹を立てて帰ってしまった。

「オズワルド、何の用だ?
セシリアに近付くなと言われてるだろう」

ジェラルド様が射殺さんばかりの目でオズワルドを睨む。
この人、よく外出先で遭遇するけど、私の事尾行してるんじゃ無いでしょうね?

「兄上、酷いじゃないですか!ランバート家には俺が婿入りする予定だったのに」

「その立場を捨てたのはお前自身だろ?
婚約者を大切にするという、当たり前の事さえ出来なかった癖に」

「で・・・・・・ですが、あそこまで傾いてしまった我が家を、俺だけで立て直せるとは思えません。
セルヴィッチ侯爵家がどうなっても良いのですか?」

身勝手な言葉に、ジェラルド様は深いため息を吐いた。

「どうでもいい。父上もお前も自業自得だろ。
お前は知らなかったかもしれないが、ランバート伯爵は初めから、セルヴィッチの2人の子息の内、優秀な方を婿にという条件で多額の支援をしてくださったのだ。
それなのにお前を婿にするなど、伯爵への大恩に報いるつもりがないと言っているも同然だろう。
父上は、初めから私を手離すべきだった。
嫡男に執着するあまり、大局を見失ったのだ。
今後はセルヴィッチ侯爵家に協力する者は少なくなるだろうな。
信用を無くしたのだから」

あまりの正論に、言葉を失ったオズワルドは、矛先を私の方に向ける。

「セシリア!お前もサッサと兄上に乗り換えるとは、とんだ尻軽だな!」

ジェラルド様の発する空気が、より一層鋭くなった。

「貴様っっ!!私の最愛を侮辱するつもりならいつでも相手になるぞ!」

あまりの怒声に、分が悪いと悟ったオズワルドは、舌打ちを残して逃げて行った。


オズワルドが去っても、なかなか怒りのオーラが収まらないジェラルド様を見上げて、背中をそっと撫でる。
私と目が合うと、一瞬で蕩ける様な笑顔をくれた。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

花嫁に「君を愛することはできない」と伝えた結果

藍田ひびき
恋愛
「アンジェリカ、君を愛することはできない」 結婚式の後、侯爵家の騎士のレナード・フォーブズは妻へそう告げた。彼は主君の娘、キャロライン・リンスコット侯爵令嬢を愛していたのだ。 アンジェリカの言葉には耳を貸さず、キャロラインへの『真実の愛』を貫こうとするレナードだったが――。 ※ 他サイトにも投稿しています。

貴方が要らないと言ったのです

藍田ひびき
恋愛
「アイリス、お前はもう必要ない」 ケヴィン・サージェント伯爵から一方的に離縁を告げられたアイリス。 彼女の実家の資金援助を目当てにした結婚だったため、財政が立て直された今では結婚を続ける意味がなくなったとケヴィンは語る。 屈辱に怒りを覚えながらも、アイリスは離縁に同意した。 しかしアイリスが去った後、伯爵家は次々と困難に見舞われていく――。 ※ 他サイトにも投稿しています。

貴方の子ではありません

藍田ひびき
恋愛
国で唯一の聖樹の護り手「盟樹者」であるアーサー・レッツェル子爵は、妻のいる身でありながら平民の女性セリーヌへ手を出していた。しかし妻が身籠るとあっさりセリーヌを捨ててしまう。 数年後、次代の盟樹者を見定める儀式が行われることになり、アーサーは意気揚々と息子エリアスを連れて儀式に挑む。しかしエリアスに全く反応しない聖樹にアーサーは焦る。そこへセリーヌが現れて…? サクッと読める短編です。 ※ 他サイトにも投稿しています。

ごきげんよう、元婚約者様

藍田ひびき
恋愛
「最後にお会いしたのは、貴方から婚約破棄を言い渡された日ですね――」  ローゼンハイン侯爵令嬢クリスティーネからアレクシス王太子へと送られてきた手紙は、そんな書き出しから始まっていた。アレクシスはフュルスト男爵令嬢グレーテに入れ込み、クリスティーネとの婚約を一方的に破棄した過去があったのだ。  手紙は語る。クリスティーネの思いと、アレクシスが辿るであろう末路を。 ※ 3/29 王太子視点、男爵令嬢視点を追加しました。 ※ 3/25 誤字修正しました。 ※ なろうにも投稿しています。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

悔しいでしょう?

藍田ひびき
恋愛
「済まないが、君を愛することはできない」 結婚式の夜、セリーヌは夫であるシルヴァン・ロージェル伯爵令息からそう告げられた。 メロディ・ダルトワ元男爵令嬢――王太子を篭絡し、婚約破棄騒動を引き起こした美貌の令嬢を、シルヴァンは未だに想っていたのだ。 セリーヌは夫の身勝手な言い分を認める代わりに、とある願い事をするが…? 婚約破棄騒動に巻き込まれた女性が、ちょっとした仕返しをする話。 ※ なろうにも投稿しています。

白い結婚をめぐる二年の攻防

藍田ひびき
恋愛
「白い結婚で離縁されたなど、貴族夫人にとってはこの上ない恥だろう。だから俺のいう事を聞け」 「分かりました。二年間閨事がなければ離縁ということですね」 「え、いやその」  父が遺した伯爵位を継いだシルヴィア。叔父の勧めで結婚した夫エグモントは彼女を貶めるばかりか、爵位を寄越さなければ閨事を拒否すると言う。  だがそれはシルヴィアにとってむしろ願っても無いことだった。    妻を思い通りにしようとする夫と、それを拒否する妻の攻防戦が幕を開ける。 ※ なろうにも投稿しています。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

処理中です...