14 / 16
14 愚かな女の計算ミス
【side:ライラ】
ライラは苛立っていた。
「侯爵夫人になれるのだから、贅沢出来ると思ったのに!!」
セルヴィッチ侯爵から結婚の話があって、ひと月程経った頃、ライラは侯爵邸に移り住むように指示された。
これで良い生活が出来ると思ったのも束の間。
「オズワルドとライラ嬢に自由にさせる金はない。
最低限の衣食住の補償はするが、贅沢は一切させない」
侯爵からの信じられない宣言に、目の前が真っ暗になった。
実際、食事は提供されるし、普段使いのワンピースなどは用意されているが、夜会用のドレスや宝飾品の購入は、許されなかった。
これでは、社交の場に行くことも出来ない。
王子殿下の誕生日の夜会さえ、欠席する羽目になった。
お金が無いので、勿論、観劇やカフェにも、買い物にも行けない。
オズワルドに泣きつこうにも、彼も似たような状況で、自由な買い物は一切禁じられていた。
しかも後継教育で、常に寝る間もないほど忙しくしている為、なかなか会っても貰えず、ライラの話を聞いて貰うことすら難しかった。
「騙された。こんな話は聞いてない」
実家の子爵家に、婚約を解消して欲しいと頼んだが、アッサリと断られた。
「考えてもみろ。子爵家風情が侯爵家との縁談を断れるわけがないだろう。
しかも今回の縁談は別のお方の意向も含まれているのだから・・・・・・」
「別のお方の意向?」
「うるさい。お前は何も考えず、黙って嫁に行けば良いんだ」
詳細は教えてもらえなかったけど、この結婚に、誰か大物からの圧力がかかってるって事なのか?
ライラとオズワルドが結婚して、得をする人なんているのだろうか?
考えてみても、ライラにはよくわからなかった。
とにかく、婚約は解消出来ないらしい。
贅沢な暮らしは出来ないし、何も娯楽がなくて退屈だけど、仕方ない。
のんびり暮らそう。
・・・そう思って諦めた頃に、今度は侯爵夫人としての教育が始まる。
マナーに勉強にダンスなど、様々なレッスン。
どの講師も厳しく、間違えたり怠けたりすれば、すぐに鞭で打たれた。
下位貴族だったライラは、今まで多少のマナー違反は許して貰える立場だったので、ちっとも真面目に学んで来なかった。
基本さえも出来ていないライラに、講師達は容赦なく体罰を加える。
レッスンが始まり、一週間も経つ頃には身体中が痣だらけになった。
「こんな筈じゃなかったのに」
こんな事なら、予定通り、オズワルドにランバート伯爵家へ婿入りしてもらって、愛妾にしてもらった方がずっと良い生活が出来ただろう。
金持ちの伯爵令嬢である婚約者よりも、自分の方がオズワルドに愛されていると言う事実は、激しくライラの優越感を刺激した。
自分は選ばれたのだと、声高に叫びたくなってしまったのだ。
本来、愛妾を希望するならば、もっと密かに付き合わなければいけなかったのに・・・・・・
そう気付いてみても、既に遅すぎる。
ライラは苛立っていた。
「侯爵夫人になれるのだから、贅沢出来ると思ったのに!!」
セルヴィッチ侯爵から結婚の話があって、ひと月程経った頃、ライラは侯爵邸に移り住むように指示された。
これで良い生活が出来ると思ったのも束の間。
「オズワルドとライラ嬢に自由にさせる金はない。
最低限の衣食住の補償はするが、贅沢は一切させない」
侯爵からの信じられない宣言に、目の前が真っ暗になった。
実際、食事は提供されるし、普段使いのワンピースなどは用意されているが、夜会用のドレスや宝飾品の購入は、許されなかった。
これでは、社交の場に行くことも出来ない。
王子殿下の誕生日の夜会さえ、欠席する羽目になった。
お金が無いので、勿論、観劇やカフェにも、買い物にも行けない。
オズワルドに泣きつこうにも、彼も似たような状況で、自由な買い物は一切禁じられていた。
しかも後継教育で、常に寝る間もないほど忙しくしている為、なかなか会っても貰えず、ライラの話を聞いて貰うことすら難しかった。
「騙された。こんな話は聞いてない」
実家の子爵家に、婚約を解消して欲しいと頼んだが、アッサリと断られた。
「考えてもみろ。子爵家風情が侯爵家との縁談を断れるわけがないだろう。
しかも今回の縁談は別のお方の意向も含まれているのだから・・・・・・」
「別のお方の意向?」
「うるさい。お前は何も考えず、黙って嫁に行けば良いんだ」
詳細は教えてもらえなかったけど、この結婚に、誰か大物からの圧力がかかってるって事なのか?
ライラとオズワルドが結婚して、得をする人なんているのだろうか?
考えてみても、ライラにはよくわからなかった。
とにかく、婚約は解消出来ないらしい。
贅沢な暮らしは出来ないし、何も娯楽がなくて退屈だけど、仕方ない。
のんびり暮らそう。
・・・そう思って諦めた頃に、今度は侯爵夫人としての教育が始まる。
マナーに勉強にダンスなど、様々なレッスン。
どの講師も厳しく、間違えたり怠けたりすれば、すぐに鞭で打たれた。
下位貴族だったライラは、今まで多少のマナー違反は許して貰える立場だったので、ちっとも真面目に学んで来なかった。
基本さえも出来ていないライラに、講師達は容赦なく体罰を加える。
レッスンが始まり、一週間も経つ頃には身体中が痣だらけになった。
「こんな筈じゃなかったのに」
こんな事なら、予定通り、オズワルドにランバート伯爵家へ婿入りしてもらって、愛妾にしてもらった方がずっと良い生活が出来ただろう。
金持ちの伯爵令嬢である婚約者よりも、自分の方がオズワルドに愛されていると言う事実は、激しくライラの優越感を刺激した。
自分は選ばれたのだと、声高に叫びたくなってしまったのだ。
本来、愛妾を希望するならば、もっと密かに付き合わなければいけなかったのに・・・・・・
そう気付いてみても、既に遅すぎる。
あなたにおすすめの小説
花嫁に「君を愛することはできない」と伝えた結果
藍田ひびき
恋愛
「アンジェリカ、君を愛することはできない」
結婚式の後、侯爵家の騎士のレナード・フォーブズは妻へそう告げた。彼は主君の娘、キャロライン・リンスコット侯爵令嬢を愛していたのだ。
アンジェリカの言葉には耳を貸さず、キャロラインへの『真実の愛』を貫こうとするレナードだったが――。
※ 他サイトにも投稿しています。
悔しいでしょう?
藍田ひびき
恋愛
「済まないが、君を愛することはできない」
結婚式の夜、セリーヌは夫であるシルヴァン・ロージェル伯爵令息からそう告げられた。
メロディ・ダルトワ元男爵令嬢――王太子を篭絡し、婚約破棄騒動を引き起こした美貌の令嬢を、シルヴァンは未だに想っていたのだ。
セリーヌは夫の身勝手な言い分を認める代わりに、とある願い事をするが…?
婚約破棄騒動に巻き込まれた女性が、ちょっとした仕返しをする話。
※ なろうにも投稿しています。
真実の愛の裏側
藍田ひびき
恋愛
アレックス・ロートン侯爵令息の第一夫人シェリルが療養のため領地へ居を移した。それは療養とは名ばかりの放逐。
男爵家出身でありながら侯爵令息に見初められ、「真実の愛」と持て囃された彼女の身に何があったのか。その裏に隠された事情とは――?
※ 他サイトにも投稿しています。
貴方の子ではありません
藍田ひびき
恋愛
国で唯一の聖樹の護り手「盟樹者」であるアーサー・レッツェル子爵は、妻のいる身でありながら平民の女性セリーヌへ手を出していた。しかし妻が身籠るとあっさりセリーヌを捨ててしまう。
数年後、次代の盟樹者を見定める儀式が行われることになり、アーサーは意気揚々と息子エリアスを連れて儀式に挑む。しかしエリアスに全く反応しない聖樹にアーサーは焦る。そこへセリーヌが現れて…?
サクッと読める短編です。
※ 他サイトにも投稿しています。
婚約破棄された公爵令嬢は、王と交わらない道を選ぶ
富士山麓
恋愛
婚約者である王太子アルベルトから、一方的に婚約破棄を告げられた公爵令嬢エレノア。
だが彼女は、涙も復讐も選ばなかった。
「婚約は、役目でしたもの。終わったのなら、それで結構ですわ」
王宮を去ったエレノアは、領地に戻り、
干渉しない・依存しない・無理をしない
ただそれだけを軸に、静かに領地運営を始める。
一方、王となったアルベルトもまた、
彼女に頼らないことを選び、
「一人の判断に依存しない国」を作るための統治に身を投じていた。
復縁もしない。
恋にすがらない。
それでも、二人の選択は確かに国を安定へと導いていく。
これは、
交わらないことを選んだ二人が、
それぞれの場所で“続けられる世界”を完成させる物語。
派手なざまぁも、甘い溺愛もない。
けれど、静かに積み重なる判断と選択が、
やがて「誰にも壊せない秩序」へと変わっていく――。
婚約破棄から始まる、
大人のための静かなざまぁ恋愛ファンタジー
ごきげんよう、元婚約者様
藍田ひびき
恋愛
「最後にお会いしたのは、貴方から婚約破棄を言い渡された日ですね――」
ローゼンハイン侯爵令嬢クリスティーネからアレクシス王太子へと送られてきた手紙は、そんな書き出しから始まっていた。アレクシスはフュルスト男爵令嬢グレーテに入れ込み、クリスティーネとの婚約を一方的に破棄した過去があったのだ。
手紙は語る。クリスティーネの思いと、アレクシスが辿るであろう末路を。
※ 3/29 王太子視点、男爵令嬢視点を追加しました。
※ 3/25 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
貴方が要らないと言ったのです
藍田ひびき
恋愛
「アイリス、お前はもう必要ない」
ケヴィン・サージェント伯爵から一方的に離縁を告げられたアイリス。
彼女の実家の資金援助を目当てにした結婚だったため、財政が立て直された今では結婚を続ける意味がなくなったとケヴィンは語る。
屈辱に怒りを覚えながらも、アイリスは離縁に同意した。
しかしアイリスが去った後、伯爵家は次々と困難に見舞われていく――。
※ 他サイトにも投稿しています。
「代わりはいくらでもいる」とクビにされた事務官令嬢ですが、全書類に私の「指紋認証魔術」をかけていたのを忘れましたか?
クラム
恋愛
「君の代わりなど、掃いて捨てるほどいる」――。婚約者である第二王子にそう告げられ、事務官シルフィアは王宮を追放された。だが、傲慢な王子は知らなかった。王宮の全文書、宝物庫、果ては防衛結界に至るまで、彼女の「魔紋認証」で封印されていることを。彼女が隣国の冷徹な大公に熱烈に溺愛される中、王宮は物理的に「開かない」絶望の牢獄と化していく。