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23 救護室の美魔女
国境警備団は、妊娠出産時に休暇が貰えたり託児所が併設されていたりして福利厚生がしっかりしているので、女性にも人気の職場なのだとか。
流石に女性騎士はまだ少ないらしいが、掃除婦や洗濯婦、食堂の職員や事務員として沢山の女性が働いているみたい。
この国は女性の社会進出が少し遅れ気味なので、珍しい事例だ。
「まあ、魔獣が大量発生したりするとかなり忙しいけど、十年前に比べればノンビリしたもんよ。
空いた時間は、私とお茶でも飲みながら、お喋りしてくれると嬉しいわ」
十年前と言えば、隣国との関係が悪化して、国境付近が騒がしかった頃だ。
しかし、どう見てもマリリンさんは二十代前半。
十年前はまだ子供だったのでは?
そんな私の疑問を察して、彼女は衝撃の発言をする。
「十年前は、まだ私も駆け出しの治癒師だったけど。
私、今年で三十二歳なの」
「えっ!?本当ですか?
てっきり二十代前半くらいかと思いました……」
まさかのコールドウェル様より年上!?
コールドウェル様が老けているのか、マリリンさんが若見え過ぎるのか……或いは両方か?
「ふふっ。有難う。
フェリシアちゃん、良い子ねぇ」
嬉しそうに笑った彼女は、子供を褒めるみたいに、私の頭をぐりぐりと撫でた。
「程々にして下さい、マリリン様。
フェリシア様のお髪が乱れます」
放って置いたらいつまでも撫で回しそうなマリリンさんの手を、ミアがやんわりと止める。
「アハハ、ごめんごめん。
つい、ウチのチビと同じ扱いしちゃった」
………チビ?
「マリリンさん、お子さんがいらっしゃるんですね」
「うん。五歳の男の子。未婚の母」
見た目二十歳そこそこにしか見えないのに未婚の母かぁ。
でも、実年齢を考えると、もっと大きな子供が居てもおかしく無いのよね。
なんか脳が混乱してくる。
託児所があるのは、マリリンさんみたいな一人親でも働き易い環境を作る為かもしれないな。
嫌な想像だけど、やっぱり騎士をしていれば殉職してしまう事もある。
自分の配偶者がそうなった時、子供を抱えて生きていく為にはこういう職場があるのは有り難いよね。
コールドウェル様は残されてしまった家族の事も考えて職場環境を整えているのかも。
やっぱり見かけによらず、優しい人だ。
お互い簡単な自己紹介をし、仕事の説明を受けて、マリリンさんに指示されながら足りない薬草の手配や調剤などを行う。
国境警備団はかなり大所帯なので、薬を作る量も半端じゃない。
帳簿付けや書類の整理、器具の洗浄消毒など、意外と雑務も多く、今迄はこれをマリリンさん一人で処理していたかと思うと、彼女のノホホンとした性格とのギャップに驚かされる。
「いやぁ、手伝ってくれる人が居ると仕事が早く片付くわね」
しみじみと呟くマリリンさんに、少しはお役に立てた気がしてホッとした。
流石に女性騎士はまだ少ないらしいが、掃除婦や洗濯婦、食堂の職員や事務員として沢山の女性が働いているみたい。
この国は女性の社会進出が少し遅れ気味なので、珍しい事例だ。
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空いた時間は、私とお茶でも飲みながら、お喋りしてくれると嬉しいわ」
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しかし、どう見てもマリリンさんは二十代前半。
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「十年前は、まだ私も駆け出しの治癒師だったけど。
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「ふふっ。有難う。
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「程々にして下さい、マリリン様。
フェリシア様のお髪が乱れます」
放って置いたらいつまでも撫で回しそうなマリリンさんの手を、ミアがやんわりと止める。
「アハハ、ごめんごめん。
つい、ウチのチビと同じ扱いしちゃった」
………チビ?
「マリリンさん、お子さんがいらっしゃるんですね」
「うん。五歳の男の子。未婚の母」
見た目二十歳そこそこにしか見えないのに未婚の母かぁ。
でも、実年齢を考えると、もっと大きな子供が居てもおかしく無いのよね。
なんか脳が混乱してくる。
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自分の配偶者がそうなった時、子供を抱えて生きていく為にはこういう職場があるのは有り難いよね。
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お互い簡単な自己紹介をし、仕事の説明を受けて、マリリンさんに指示されながら足りない薬草の手配や調剤などを行う。
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帳簿付けや書類の整理、器具の洗浄消毒など、意外と雑務も多く、今迄はこれをマリリンさん一人で処理していたかと思うと、彼女のノホホンとした性格とのギャップに驚かされる。
「いやぁ、手伝ってくれる人が居ると仕事が早く片付くわね」
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