異世界転生したら・・・幼児体型になりました。(旧題:異世界転生したら性悪王子になりました?)

めんとうふ

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1. 夢心地

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 「マッシュ様。はい、アーンして下さい」

 メイド服に身を包んでいる美少女が、僕に向かってアーンしている。
 アーンしているのではないか・・・、僕がアーンされているのだ。
 美少女メイドにアーンして貰えるなんて、し・あ・わ・せ って、こんな呑気な事を言っている場合ではない。

 さっきまでネットを見ていた筈なのに何なんだこの状況?
 これは夢の中なのか・・・? という事は寝落ちしちゃったの?    
 最悪だな~大人の動画を嗜んでいる時に寝落ちしてしまうなんて・・・母親にもし見られたらどうしよ。

 ──・・・・・・

 「マッシュ様? どうされました? ご気分でも悪いのですか?」

 あどけなさが少し残る、可愛らしい顔をしたメイドが、僕の顔を心配そうに覗き込んでいる。
 ちょっと、見つめないで下さいよぉ。照れちゃう。
 って違う、こんな事を考えている場合ではない。
 先程までメイド物の大人の動画を見ていたから、こんな可愛いメイドが目の前にいるのか?
 ってこれも違う、雑念が頭の中に入り込み過ぎて正常に頭を働かせるのが困難になっている。これが"煩悩"というやつなのか・・・。
 まぁいいや、僕の名前はマッシュというらしいが、この夢を思う存分に楽しもうじゃないか。

 「あぁ、ごめん。ちょっと考え事をしてた」

 僕は意気揚々に答えた。こんな可愛い子と話す機会なんてもうないだろうと、精一杯のイケボで話したはず・・・なのに思ってた声と違う、なんで?
 まるで幼稚園児のような声で、あまりにも可愛らしい声だった。

 「‥‥ッ!?、マッシュ様ァ!? お喋りに‥‥!?」

 メイドが目に見て分かるように動揺し始めた。なんだなんだ? なんか喋っちゃダメな場面だったのか? しかし、動揺した顔のメイドも可愛いなぁ。

 「エブリダ様を呼んでくるので、少しお待ち下さい!!」

 今度はメイドが興奮した様子を見せ、エブリダという人物を呼びに走った。しかし、今までメイドに気を取られて気がつかなかったが、僕が今いる部屋は凄い。
 触り心地のいい真っ赤な絨毯は、白を基調した部屋に高級感を醸し出しながら映えている。部屋の中心に吊り下げられているシャンデリアは、ダイヤモンドが贅沢にちりばめられており、少し眩しすぎるくらい光輝いていた。
 そして部屋の片隅に置いてある、装飾に着飾られたキングサイズのベットには、様々な可愛らしいヌイグルミが並べられていて、豪華さと同時に可愛らしさも演出しているような印象を受けさせる。
 椅子・机・本棚などはアンティーク調の家具で一式揃えられており、五つ星ホテルにも引けを取らないほどに美しい部屋だった。

 僕はちなみに真っ赤な絨毯の上にポッツンと座っている。
 ちょっと待ってよ、僕の体なんか小さすぎないかい。
 手も赤ちゃん程の大きさしかないし、何より立つことが出来ない。これがすなわち表す事は──

 「マッシュ! まさか一歳にもならないのに言葉を喋れるようになるなんて・・・流石は私の自慢の息子ねッ!」

  ──やっぱり、そういう事かぁ......。

 金髪の綺麗な髪をなびかせながら近寄ってきたのは、どうやらエブリダという人物だ。
 エブリダの後ろには、先程一緒にいたメイドが涙目で立っている。僕はというと何故か、エブリダに抱き抱えられ、豊満な胸に包み込まれていた。
 今まで体験した事がない感触は、あまりにも柔らかく気持ちがよかった。
 うぐゥ、こんないい思いを出来るなら夢よ、どうか覚めないでくれ。

 「エブリダ様。マッシュ様は、抱き抱えられるのがお嫌いですよ」

 メイドが心配そうな声で話しかけて来た。余計な事を言ったメイドを睨もうとしたが、姿を見ることが出来ない。目の前には、おっぱいしか見えない。ここはなんだ? 天国なのか?

 「メイ・・・、それもそうね。しかし、急に言葉を喋れるようになるなんて何かあったのかしら?」

 エブリダはおもむろにそう言うと、僕を真っ赤な絨毯の上に降ろした。
 くそっ! メイというメイドのせいで、おっぱいから離れた。許さない。
 ってぼく落ち着け? おっぱいに執着しすぎて思考回路が幼稚園児並みになってきている。

 話を要約すると「エブリダは母親で、メイは母親に仕えるメイド。そして、僕はエブリダの息子で一歳にもなっていないのに完璧な喋りを見せつけ、母親から驚き歓喜されている」という事か。
 そういう事ならもっと歓喜させてあげよう。どうせ夢なのだから何をしても許されるだろう。

 「お母様、メイ様、この度はお騒がせしてしまい申し訳ありません」

 低脳な頭で振り絞った言葉に英国紳士のような喋り方を加えて話してみた。
 すると、エブリダとメイは驚愕した表情を見せながら、僕の体の至る所を確認し始めた。 
 フッフフフ・・・美女達に体を触ってもらえるなんて夢にも思わなかった。まぁ、実際に夢なんだけどね。
 しかし、なんで洋服を脱がしながら体を確認してるんだ? そこまでする意味なんかないはずなのに、恥ずかしいけど興奮しちゃう。

 「メイ……これは"賢者の刻印"よ! 急ぎ、ダンテ様にお伝えせねば!」

 突然、エブリダが僕の右肩を見ながら叫んだ。
 僕も右肩を見てみると見たことの無い変な紋章が浮かび上がっていた。
 この紋章はどうやら「賢者の刻印」と呼ばれる紋章らしい。
 古より伝わりし逸話に登場する伝説的な紋章だと、エブリダが興奮しながら話し始めたあたりから僕は猛烈な睡魔に襲われていた。
 尋常じゃない程に目が重たくなり、とても起きていられる状態ではなかった。そんな状況なのに僕は冷静にとある考え事をしていた。

 夢だったらもう目が覚めてもいい頃なのに目が覚めないのは何故?
 これってもしかして? まさかあるわけないよなぁ・・・? 
 僕は、様々なフラグを乱立させながら、とある考えに結び付けた。


  まさか、なんてしてませんよね?




 その言葉が頭に過ぎった瞬間、僕は糸が切れた操り人形の様に倒れた。


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