悲哀人形日記 

龍賀ツルギ

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第二部 蘭から薔薇へ 第二章

真希、稲垣屋敷へ。

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「なんですって、立花。
稲垣とダブルスで大会に出たいって?」

真希の申し出に女子部キャプテンの今井成美は驚いた。
今や和希は男女に限らずテニス部全員のマゾ奴隷に堕とされた身。
性の玩具に処された和希はもはやテニス部の大会に選ばれる事は無く、男子部キャプテンの高橋勉も和希を選ぶつもりはもう無いのだが。

「いいじゃないですか!
実際和希は男子部でも指折りの実力はあったし、私とのペアならば結構いいとこまで行けると思うんですよね。」

「まあ…確かに稲垣は実力はあったけど…決めるのは私じゃなく顧問の大野さんや男子部の高橋だからねえ…」

「だから女子部部長の今井先輩に高橋先輩にとりなしてもらいたいんですよ!」

「う~ん…まあ…立花がそこまで言うなら私は構わないわ。
なんとか高橋にも話してみましょう。」

頭を掻く成美に真希は手を合わせ拝む仕草。
成美は真希と和希が稲垣家から逃げ出す為に手を組んだ事を知らない。

和希は2年B組。
和希は稲垣家の奴隷の立場なので、テニス部の活動以外はクラスメートと出かける機会もない為クラスに親しい友人もいない。
そんな和希に2年B組に尋ねてきたのが1年でも美少女と評判の立花真希だから取り次ぎのクラスメートも驚いた。
ただ和希は3日前から欠席していたのだが。
和希に会えず失望する真希。
何か病気なのだろうか?
和希のクラスメートに尋ねても、知らない!とすげない態度。
心配になった真希は和希を尋ねて稲垣家に向かう事にした。

◈そして真希は思い知る。
和希の住む稲垣家は悪魔共の跋扈する屋敷だと言う事を!
ーーーーー
「でっかい屋敷よね!
何人住んでんだろ?」

稲垣家の屋敷の大きさに真希は絶句する。
真希は隣の市に住んでいて稲垣太蔵が地元の名士だとは聞いていたが、これほど大きな屋敷に住んでいるとは知らなかった。
インターホンを鳴らし訪問した用事を明かすと中から目つきの悪い若い女が出てきた。
稲垣の娘だろうか?

「あっ私は九藤学園のテニス部1年の立花と申します。
実は稲垣先輩にテニス部員としての言伝がありお尋ね致しました。
稲垣先輩はもう3日も学校を休まれているそうで、病気かと心配になりまして、もし病気であるなら見舞いも兼ねてお尋ね致しました。
稲垣先輩に取り次いで頂けませんか?」

すると目つきの悪い感じの悪い女は面倒くさそうな態度。

「はっ…和希に用事?
テニス部から?へぇ…
和希でもダチなんかいるんだね。『笑』
和希は今忙しくて会えないよ。
また今度にしてくれる!」

✧なんだ?この女…態度は悪いし、人を睨むみたいに見やがってなんかムカつくんですけど!

「あの!一目会うだけでいいんですが!
本人に直接話さなければいけないし。
病気で無ければ会わせてもらえませんか?」

「はぁ…会わせられないって言ってるだろ!」

「一目でいいんです!」

✧私は言葉こそは慇懃な言葉使いだが、目線はガンを飛ばしてやった。
するとこいつ、多分元ヤンキーだから険悪な目つきで返してきやがった。
へぇ…上等じゃん!『笑』

「なんだ!てめー!
それが人に物を頼む時の目つきか?
あんまりなめるとシメるぞ!こらっ!『怒』」

「冷静になってよ!
キレてるのはあんたじゃん!『笑』
タイマンはんなら勝負してやるけど、その前に稲垣先輩に会わせろよ!
あっちなみに私はヤンキー嫌いなんだよね!
センスがダッサイから!『笑』」

「ぶっ殺されてえか?コラ!『怒声』」

✧ヤンキー女が私の制服の襟首を掴んできた。
あっこの馬鹿女!
お気に入りの制服なのよ!
私は空手に柔術の応用の護身術でヤンキー女の手首を掴み、腕を捻り上げてやった!

「痛てててて!ざけんなてめえ!」

「ふざけてんのはあんたでしょ!
いきなり喧嘩吹っかけてきてさ!」

するとそこに図体のでかい太った男が。

「真央、いったいどうした?
貴様!人の屋敷で何してやがる!『怒』」

✧ヤンキー女の腕を決めてやったら今度は大男!
やばいな!こいつは結構強そう!
雰囲気で分かる!『汗』

「おい!真央、彦丸、お前ら何やってんだ?
うん…そこにいるのはうちのテニス部の1年じゃねえの!」

✧えっ…そこにいるのは…九藤学園の制服を着ているうちの学園では有名人。
理事長の息子でもある麻吹寅雄!
ーーーーー
寅雄の手引きで真希は稲垣屋敷の中へ。
歩きながら寅雄と話をする。

「なんだ、テニス部の用で稲垣家に来たのか。
テニス部の用ならコーチの大野に頼みゃいいのによ。」

「いえ…私が用があっての事ですので。
でも麻吹先輩はなんでここに?」

✧私の問いかけに麻吹は答えない。
ただニヤニヤ笑いを繰り返すだけだ。

「なあ…大野から聞いてるんだけど、和希ってテニス部の奴隷部員に堕とされたんだってな。『笑』」

✧…ん?なんで麻吹がそれを?

「大野から聞いてるぜ。
立花が大野に協力して和希を奴隷部員にしたんだろ?
この前も和希とお楽しみだったみたいだしな。」

「…なんで麻吹先輩がそれを知ってんすか?」

「ハハハハハ!
まあ…それはこれから教えてやるよ。
俺は稲垣のおじさんに雇われているんだぜ!」

「雇われている?」

✧答えもせずにニヤニヤ笑いながら麻吹は私を屋敷の裏庭の入り口に案内する。
麻吹の態度!
なんか鼻につくんだけど!

「ここさ。和希は下人の小僧が病気になって代わりに働いていたんだけど、粗相をして屋敷の物を間違って壊しちまった。
だからお仕置きされているんだぜ!『笑』」

そこで私が見た光景!
な…何よこれ…
あんたら何をやってんだよ!
か…和希…和希…『呆然』

和希が白いハイソックス裸で後ろ手高手小手緊縛で足首を揃えて縛られて逆さ吊りにされていた。
和希は足首を吊るす縄は滑車に巻かれていて、和希の逆さまの頭の下には…
大量の水が入った大きな水瓶。
そんな和希の目の前には、十字架緊縛された中学生くらいの男の子が和希と同じ白ハイソックス裸で縛られている。
この子がツカサ?
私は頭に血が登り激昂して叫んだ!

「ふざけんな!あんたらいったい何をしてるんだ❗️」

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