◈縄炎のラグビー少年 

龍賀ツルギ

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前章

後輩少年 長澤紅葉

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長澤紅葉は池崎高校ラグビー部の1年生。身体はラグビー部員にしては痩せていて、むしろ貧相と呼んでも良い体型。
真面目な紅葉は髪は艶の有る黒髪ストレートで眉毛はやや濃いめ。
瞳は大きく鼻は高めで少年と言うより美少女と呼んでも良いような顔立ちだった。
肌はラグビー部に入ってからは程よく日焼けして少しだけ健康的な雰囲気にはなったのだが。
紅葉には懸念してる事があった。
紅葉が敬愛するラグビー部の先輩である高嶺椿が今週学校に来ていないのだ。
椿は池崎高校に転校してくる前は千葉県でラグビー強豪校の風林高校でスタンドオフを務め1年で花園に出場して活躍した高校ラグビー界のスター選手。
なぜ千葉県の風林高校から埼玉県でラグビーが強くない池崎高校に転校してきたのか?
紅葉自身とても気にはなるのだが、何か深い事情が有るのだろうし、あえて何も聞かない事にしていたのだ。
そんな紅葉のクラスである1年A組に、同じラグビー部員で同じ1年でC組の才賀幸也が訪ねて来たのだ。
幸也は中学時代に暴走族グループに所属していたとの噂も有る少年。
顔立ちはイケメンとは程遠く獅子頭を甘くしたような顔。
体型も小太りで身長もやや低いくらいなのだが、気が強く喧嘩にも長けていた。
幸也自身あまり他人の言う事を聞かない性格だが、唯一3年でラグビー部部長の夏木龍司にだけは何故か従順だった。

「何?才賀君。才賀君がA組に来るなんて珍しいね?」

池崎高校はあまり偏差値は高い高校ではないのだが、各学年A組だけは進学コースで大学受験志望者で成績優秀者のみのクラス。
実際あまり学内で評判の良くない幸也を白い目で見ているクラスメイトもいる。
もっともあまりジロジロ見ると幸也に絡まれたら怖いので、チラ見してる程度だが。

「いやっ…何。実はよ、部長の龍司さんからの伝言を頼まれてよ。
同じ1年の俺が来たのさ。
1年でラグビー部員でまともに練習に出てるのは俺と長澤ぐらいだろ。」

幸也は夏木部長の事を唯一龍司さんと名前で呼んでいる。
他は名字でもちろん紅葉も長澤と呼ばれていた。

「うん…部長が?僕に伝言って?」

「ああ。最近高嶺先輩がラグビー部に顔を出さねえだろ。
お前は高嶺先輩と親しかったし何か聞いてねえの?」

椿の話題が出て紅葉の表情も曇る。
実際紅葉も何も知らないのだ。
実は椿の事を何一つ。

「いやっ…僕は何も知らない。
高嶺先輩は今日も学校に来てないみたいだね。
今日は金曜日だからもう1週間以上も会ってないんだ。
それに高嶺先輩の事なら由良先輩に聞いた方が確実だよ。
高嶺先輩は由良先輩の家に下宿してるって言ってたし、確か高嶺先輩と由良先輩って従兄弟なんだよね。」

紅葉の表情に悲しげな陰り。
紅葉自身椿に会えないのが淋しくて仕方ない。
椿自身、紅葉に浩と自分の関係を説明するのが難しく、高嶺家と由良家は親戚だと嘘をついていたのだ。

「そうか。実はな夏木部長が高嶺先輩の事を心配していてな。
それで部長と俺で高嶺先輩が世話になっている由良先輩の家に行こうと思ってるんだ。
実は由良先輩もここ1週間学校を休んでいるんだぜ!」

「えっ…それは本当に?由良先輩も学校に来てないの?」

紅葉は浩も学校を休みだとは知らなかった。
浩は身体が紅葉以上に貧弱で紅葉すらこの人はラグビーを続けるのがきつくなって部に来なくなっているだけと思っていたのだ。
椿も浩も学校に来ていない。
何かあったのではないか?

「才賀君。僕も部長や才賀君と一緒に由良家に行くよ!
高嶺先輩が心配なんだ!」

すると、しめた!と幸也の獅子頭顔に笑みが浮かぶ。

✧高嶺椿の事になら紅葉は必ず部長や俺について由良家にやって来る。
さっすが龍司さん。
読み通りだぜ!『謀笑』
ーーーーー
ラグビー部部長の夏木龍司は高身長で185センチの背丈がある。
肩幅もガッチリしていてラグビー選手としては理想的な体型。
龍司は中学までは柔道をやっていて埼玉県下でもかなり高成績で、柔道で高校の特待生にもなれたのだが、何故か柔道は中学でやめてしまい高校でラグビー部に入部した。
池崎高校を選んだ理由は単に池崎が偏差値が高くなく、龍司が確実に入学できる高校を選んだだけ。
その意味では幸也と立場が似ていた。
3人はラグビー部部室で待ち合わせる。
紅葉に会うと龍司は紅葉に奇妙な部長命令を下した。

「長澤。お前はすぐにラグビーの練習用ユニフォームに着替えろ。」

紅葉は唐突な部長命令に怪訝な表情。

「えっ…どうしてラグビーユニフォームに着替えて行くんですか。
練習する訳じゃないですよね?」

紅葉の疑問に龍司は明晰に答える。

「それは高嶺を元気づける為だ。
由良家に連絡して聞いたら高嶺は病気みたいだからな。
長澤のラグビー姿で高嶺を元気づけようって訳さ。
それに俺もラグビーユニフォームを着ていくから別に恥ずかしくもないだろ。
電車に乗っていく訳でもない。
由良家には徒歩で行けるしな。」

椿を元気づける。
その言葉に紅葉はラグビーユニフォームに着替えた。
紅葉の練習用の上着は紫色のジャージ、白のショートパンツに白のラグビー用ハイソックス。
部長の龍司は池崎高校ラグビー部のユニフォームで上着は緑が基調で肩と袖口は黄色のラインが入っている。ショートパンツは白でソックスは緑で折り返しに2本の黄色のライン。
幸也は制服のブレザーのままだ。

由良家は池崎高校から歩いて20分程。
大きな屋敷で資産家でも有る事から有名な家だった。
由良家の大きな門前に着いた3人はインターホンを鳴らす。
すると中より太った中年女性が出てくる。
中久保佳代子と言う通いの家政婦で愛想もあまり良くない。
ただ由良家使用人の猪原の様な由良家への忠誠心は無いが、由良家は給与待遇が良いので満足していた。

「ああ。話は、坊っちゃんから聞いてますよ。母屋では無く離れに行って下さい。」

佳代子の指す方向で屋敷の庭の奥に1軒のまるで教会を小さくした様な離れがポツンと建っていた。

✧椿先輩…こんな気持ちの悪い離れに…一人で…暮らしていたの…?

紅葉の内心が不安に曇る❗️

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