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第1章
第11話:本当の気持ち
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それからというもの、
その日、私は薬草を採りにでかけるも木陰で佇んだり、倒木に座り込んだりしながら
ずっと考えていた。
私はカシオペイアに訪れる人は、最後には気持ちよく出て行ってもらいたいと思っている。
スミカが毎日、いつ寝ているかもわからないくらいに準備をしたものが、
人の役にたったり、誰かを幸せにするようなものであって欲しいと願っている。
それなのに、私が今集めている薬草でさえも、誰かを癒すためでなく
誰かを傷つけてもいい理由の手助けになっているようで、胸が痛い。
例え誰かを傷つける対象がその人自身であっても、私はそんなことあっちゃいけないと考えている。
「はぁ…。」
考えれば考えるほど、ずぶずぶと沼に嵌っていくようで
思わず大きなため息がでてしまう。
そんな声を聞きつけてか、今の私とは正反対のテンションの持ち主が声をかけてきた。
「おーリッカじゃねーか!
なんだ~?サボりなのか~?
姉さんに叱られるぞー?
きゃ~それだけはやめて~!ボビーさま~!なんでもしますぅ~!
よしよしよし、こちとら森の調律師様だ、そこまで鬼じゃあない…
ってなんだ?元気ねぇな」
このときばかりは、さすがに私もめんどくさい時に絡まれてしまったと心から思った。
でも一人で考えていてもこのまま底なし沼から出れない状態にあったのは変わりなかったので、解決することに一切期待せず、ダメもとで師匠に事情を話したのだった。
「なるほどな。話はだいたいわかったぜ」
スミカと違って師匠は悲しい顔一つせずに聞いてくれた分、
少しは気が楽に心の荷物を下ろせたような気がした。
「師匠なら、どう…思うかな?」
率直に聞いてみた。
すると師匠からは思いもよらない言葉が返ってきた。
「どうも思わん!」
「…えっ?」
思わず私は気聞き返してしまった
「わいは自分に正直な生き方しか知らん!そのなんや…自分のこと気に入らん言うて自分痛めつけてホンマもんの気持ち隠してるようなヤツの気持ちなんて分かるわけあるかい!」
「ホンマもんの気持ち…?」
「そうや、ホンマもんの気持ちや。
心っちゅーもんには必ず裏がある。その裏にある気持ちがホンマもんの気持ちや。」
「心の裏にある気持ち…。」
「商売でも交渉でもなんでもな、相手のホンマもんの気持ちを引き出すんが大切や。
これがちょっとやそっとじゃ見えへんもんでな。
わいも森の調律師として苦労しているところやで、ホンマ」
「どうやってその、ホンマもんの気持ちを引き出すことができるの?」
「カーッ!簡単に聞いてくれるぜ…。
まあやり方はいろいろある。相手が男やったら拳で語り合ったり、一緒に風呂に入ったり しょんべ…いや、用をいっしょにたしたり、付き合いが長けりゃ選択肢の幅が広がるんだが…相手が出会って間もないとなると手段を変える必要があるな」
ところどころ師匠らしい表現が入っているが、どことなくそうかもしれないと思うところもあった。
「どう…したらいいかな?」
「せやな~。まずは観察することや。
ホンマもんの気持ちを相手から引き出すことが難しいなら、
こっちから弱いところ目掛けてひっぱり出すまでや。」
「観察。」
「そうや。言動に矛盾するような点はなかったか。
あったらなんでそんなことになってるのか徹底的に探る。
そしてらそこを分かりやすいように突く!」
「…うん。」
「おかしなことしてるヤツって、
けっこう自分ではそのことに気づいてなかったりすんねんな。
そこをわかりやすーいように突きつけるわけやな。」
「…なるほど」
「ただ1点きいつけや、ここまで相手の懐に飛び込んでると
一歩間違えれば、取り返しのつかない反撃をもらって、仕切り直しもできず
再戦叶わずで終わることがある。注意するんやで。」
「…わかった。気をつける。」
師匠の言うことにはどこか抽象的なところもあったが、
なんとなく説得力を感じることができた。
たぶんスミカが言っていた『他人がどうこういっても』というのは、
『懐の外から』という条件が関係してるように思う。
スミカはカシオペイアの管理人で薬を扱う店主だ。
お客に対して踏み込める域を考えると、やはりスミカの考えは正しい…というよりは
至極当然である。
「ありがとう師匠。ちょっと気になることがあるから私戻るね。」
師匠と短い別れの挨拶を済ませ、私はスミカのもとへ足早に帰った。
その日、私は薬草を採りにでかけるも木陰で佇んだり、倒木に座り込んだりしながら
ずっと考えていた。
私はカシオペイアに訪れる人は、最後には気持ちよく出て行ってもらいたいと思っている。
スミカが毎日、いつ寝ているかもわからないくらいに準備をしたものが、
人の役にたったり、誰かを幸せにするようなものであって欲しいと願っている。
それなのに、私が今集めている薬草でさえも、誰かを癒すためでなく
誰かを傷つけてもいい理由の手助けになっているようで、胸が痛い。
例え誰かを傷つける対象がその人自身であっても、私はそんなことあっちゃいけないと考えている。
「はぁ…。」
考えれば考えるほど、ずぶずぶと沼に嵌っていくようで
思わず大きなため息がでてしまう。
そんな声を聞きつけてか、今の私とは正反対のテンションの持ち主が声をかけてきた。
「おーリッカじゃねーか!
なんだ~?サボりなのか~?
姉さんに叱られるぞー?
きゃ~それだけはやめて~!ボビーさま~!なんでもしますぅ~!
よしよしよし、こちとら森の調律師様だ、そこまで鬼じゃあない…
ってなんだ?元気ねぇな」
このときばかりは、さすがに私もめんどくさい時に絡まれてしまったと心から思った。
でも一人で考えていてもこのまま底なし沼から出れない状態にあったのは変わりなかったので、解決することに一切期待せず、ダメもとで師匠に事情を話したのだった。
「なるほどな。話はだいたいわかったぜ」
スミカと違って師匠は悲しい顔一つせずに聞いてくれた分、
少しは気が楽に心の荷物を下ろせたような気がした。
「師匠なら、どう…思うかな?」
率直に聞いてみた。
すると師匠からは思いもよらない言葉が返ってきた。
「どうも思わん!」
「…えっ?」
思わず私は気聞き返してしまった
「わいは自分に正直な生き方しか知らん!そのなんや…自分のこと気に入らん言うて自分痛めつけてホンマもんの気持ち隠してるようなヤツの気持ちなんて分かるわけあるかい!」
「ホンマもんの気持ち…?」
「そうや、ホンマもんの気持ちや。
心っちゅーもんには必ず裏がある。その裏にある気持ちがホンマもんの気持ちや。」
「心の裏にある気持ち…。」
「商売でも交渉でもなんでもな、相手のホンマもんの気持ちを引き出すんが大切や。
これがちょっとやそっとじゃ見えへんもんでな。
わいも森の調律師として苦労しているところやで、ホンマ」
「どうやってその、ホンマもんの気持ちを引き出すことができるの?」
「カーッ!簡単に聞いてくれるぜ…。
まあやり方はいろいろある。相手が男やったら拳で語り合ったり、一緒に風呂に入ったり しょんべ…いや、用をいっしょにたしたり、付き合いが長けりゃ選択肢の幅が広がるんだが…相手が出会って間もないとなると手段を変える必要があるな」
ところどころ師匠らしい表現が入っているが、どことなくそうかもしれないと思うところもあった。
「どう…したらいいかな?」
「せやな~。まずは観察することや。
ホンマもんの気持ちを相手から引き出すことが難しいなら、
こっちから弱いところ目掛けてひっぱり出すまでや。」
「観察。」
「そうや。言動に矛盾するような点はなかったか。
あったらなんでそんなことになってるのか徹底的に探る。
そしてらそこを分かりやすいように突く!」
「…うん。」
「おかしなことしてるヤツって、
けっこう自分ではそのことに気づいてなかったりすんねんな。
そこをわかりやすーいように突きつけるわけやな。」
「…なるほど」
「ただ1点きいつけや、ここまで相手の懐に飛び込んでると
一歩間違えれば、取り返しのつかない反撃をもらって、仕切り直しもできず
再戦叶わずで終わることがある。注意するんやで。」
「…わかった。気をつける。」
師匠の言うことにはどこか抽象的なところもあったが、
なんとなく説得力を感じることができた。
たぶんスミカが言っていた『他人がどうこういっても』というのは、
『懐の外から』という条件が関係してるように思う。
スミカはカシオペイアの管理人で薬を扱う店主だ。
お客に対して踏み込める域を考えると、やはりスミカの考えは正しい…というよりは
至極当然である。
「ありがとう師匠。ちょっと気になることがあるから私戻るね。」
師匠と短い別れの挨拶を済ませ、私はスミカのもとへ足早に帰った。
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