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第1章
第19話:ポロローカ山脈②
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天気は快晴、日の光が直接当たらずともその温かさを感じ取ることができるほどだ。
ドームを出るときスミカからお守りだと渡された腕輪を身に着けて
私は今、空を飛んでいる。
「良い眺めだろう!これから2時間ほどのフライトになるけど、もし気持ち悪くなったりしたら遠慮なく言ってくれ!」
「は、はいー!」
さっきまでは軽くフランクだった声の持ち主は、野太い声に変化しており、人の姿をしていた体はほとんど鳥の姿そのものだった。
私は背中をワッカに預けるような形で胴体をガッシリと腕で掴まれた状態で空を飛んでいる。
最初は驚いたものの、一度師匠が湖で体を変化させるのを見ていたので、人の言葉を話す異種族は皆そういうものだと割り切った感もあった。
少し面白かったのは、師匠もだが獣の姿に変化させると声が低くなり、口調まで変わってしまうところだ。
そんなことを思いながらクスクスとしていると、私の鼓動を感じ取ってかワッカが尋ねてきた。
「何かおかしなところでもあったかい?」
「いえ、ワッカさん、さっきまでと雰囲気が変わったなーって」
風を切るように飛んでいるせいか、風の音が激しいため私は少し大きな声を心がけながら答える。
「あー。どうも僕らは先祖の姿や力を借りる時はこうなっちゃうらしいんだ。野生の本能ってやつなのかもな!」
「そうなんですね!」
と口では、さも納得しているかのように振る舞ってみたが、彼らの先祖を想像するだけでゾッとした。
きっと私くらいの女の子ならペロッと丸のみにしてしまいそうな獣種族がうようよいた事だろう。
私はワッカの大翼からチラリと見える鋭い爪を横目で見ながら、ワッカを怒らせるようなことは絶対にしまいと胸に誓った。
空のフライトから体感で半刻ほど過ぎたころ、森が続く地上の景色に変化が見受けられた。
それは途中ちらほらと見えた川や湖の類とは一線を画する大きな噴水が見上げた先にあった。
「ワッカさん!あれは…?」
「ああ、あれはホエール湖だよ、天候がうまくハマれば、いくつも連なる虹のアーチを潜れるよ!」
ホエール湖と呼ばれる大きな湖は、中央に岩肌が剥き出しの状態の山が空までズドンと突き出ていた。
その山に沿ってうねるように水が吹き出しており、噴水なのか滝なのかよくわからない水の流れをしていた。
「あそこには海蛇の巫女がいてね、湖を脅かすやつにはあのうねる水流が海蛇のように襲いかかるって言い伝えがあるんだ!」
あんな大きな湖を脅かす存在とはいったいどんな存在なのだろうか、
私が想像するドラゴンが4・5匹は水浴びできそうな湖だ。
まもなくその上空に差し掛かろうとしたとき、
私は一応ワッカに確認しておくことした。
「巫女って何か神聖なイメージがするんですけど、そんな人がいる上空を飛んじゃって大丈夫なんですか?」
「なあに、僕らは毎回このコースを飛ぶんだ。海蛇は疎か水しぶきすらかけられたことはないさ!」
ワッカの余裕そうな声を聞いて、やはり言い伝えは言い伝えかと胸を撫で下ろしたそんな時だった。
湖の山をうねる水流から紐状の1本の水がふよふよと宙を漂っているのが見えた。
上空から見る限りその紐状の水は細く見えるが、
間近にするともしかしたら大木を何本かまとめた太さに匹敵するかもしれないと
いろんな考えを巡らせながらも静かに見守った。
次第にその水がまるで意思ある生き物のように見えはじめ、
私はその生き物に気配を悟られないように、ひっそりと息を殺すようにワッカの体の一部になろうとした。
「なんだったらちょっと高度を落としてみるかい?もしかしたら巫女の昼寝が見れるかもよ?」
ワッカが冗談まじりに少し高度を落としかけたその瞬間、さっきの水の先がこちらに向いた気がした。
「ワッカさん!!!」
私はとっさに叫ぶとワッカもその声から何かしらの危険を感じ取ったようで
私たちは急加速して湖の上空を渡り切った。
「ま、まさかホントに海蛇がいたなんて…」
あと少し加速が遅かったら私たちはワッカが海蛇と呼ぶ存在と接触していたことだろう。
まだ追ってきていないか、自分の腹部に視線を落とし、逆さの世界から海蛇を探したがどうやら撒けたらしい。
そもそも目視で確認できたのは叫んだ直後、こちらに向かって急上昇したっきりだったので、その後追いかけてきていたのかは正直わからなかった。
私たちを突如として襲った海蛇。この正体と意味を私が知るのは今よりずっと先の話だ。
ドームを出るときスミカからお守りだと渡された腕輪を身に着けて
私は今、空を飛んでいる。
「良い眺めだろう!これから2時間ほどのフライトになるけど、もし気持ち悪くなったりしたら遠慮なく言ってくれ!」
「は、はいー!」
さっきまでは軽くフランクだった声の持ち主は、野太い声に変化しており、人の姿をしていた体はほとんど鳥の姿そのものだった。
私は背中をワッカに預けるような形で胴体をガッシリと腕で掴まれた状態で空を飛んでいる。
最初は驚いたものの、一度師匠が湖で体を変化させるのを見ていたので、人の言葉を話す異種族は皆そういうものだと割り切った感もあった。
少し面白かったのは、師匠もだが獣の姿に変化させると声が低くなり、口調まで変わってしまうところだ。
そんなことを思いながらクスクスとしていると、私の鼓動を感じ取ってかワッカが尋ねてきた。
「何かおかしなところでもあったかい?」
「いえ、ワッカさん、さっきまでと雰囲気が変わったなーって」
風を切るように飛んでいるせいか、風の音が激しいため私は少し大きな声を心がけながら答える。
「あー。どうも僕らは先祖の姿や力を借りる時はこうなっちゃうらしいんだ。野生の本能ってやつなのかもな!」
「そうなんですね!」
と口では、さも納得しているかのように振る舞ってみたが、彼らの先祖を想像するだけでゾッとした。
きっと私くらいの女の子ならペロッと丸のみにしてしまいそうな獣種族がうようよいた事だろう。
私はワッカの大翼からチラリと見える鋭い爪を横目で見ながら、ワッカを怒らせるようなことは絶対にしまいと胸に誓った。
空のフライトから体感で半刻ほど過ぎたころ、森が続く地上の景色に変化が見受けられた。
それは途中ちらほらと見えた川や湖の類とは一線を画する大きな噴水が見上げた先にあった。
「ワッカさん!あれは…?」
「ああ、あれはホエール湖だよ、天候がうまくハマれば、いくつも連なる虹のアーチを潜れるよ!」
ホエール湖と呼ばれる大きな湖は、中央に岩肌が剥き出しの状態の山が空までズドンと突き出ていた。
その山に沿ってうねるように水が吹き出しており、噴水なのか滝なのかよくわからない水の流れをしていた。
「あそこには海蛇の巫女がいてね、湖を脅かすやつにはあのうねる水流が海蛇のように襲いかかるって言い伝えがあるんだ!」
あんな大きな湖を脅かす存在とはいったいどんな存在なのだろうか、
私が想像するドラゴンが4・5匹は水浴びできそうな湖だ。
まもなくその上空に差し掛かろうとしたとき、
私は一応ワッカに確認しておくことした。
「巫女って何か神聖なイメージがするんですけど、そんな人がいる上空を飛んじゃって大丈夫なんですか?」
「なあに、僕らは毎回このコースを飛ぶんだ。海蛇は疎か水しぶきすらかけられたことはないさ!」
ワッカの余裕そうな声を聞いて、やはり言い伝えは言い伝えかと胸を撫で下ろしたそんな時だった。
湖の山をうねる水流から紐状の1本の水がふよふよと宙を漂っているのが見えた。
上空から見る限りその紐状の水は細く見えるが、
間近にするともしかしたら大木を何本かまとめた太さに匹敵するかもしれないと
いろんな考えを巡らせながらも静かに見守った。
次第にその水がまるで意思ある生き物のように見えはじめ、
私はその生き物に気配を悟られないように、ひっそりと息を殺すようにワッカの体の一部になろうとした。
「なんだったらちょっと高度を落としてみるかい?もしかしたら巫女の昼寝が見れるかもよ?」
ワッカが冗談まじりに少し高度を落としかけたその瞬間、さっきの水の先がこちらに向いた気がした。
「ワッカさん!!!」
私はとっさに叫ぶとワッカもその声から何かしらの危険を感じ取ったようで
私たちは急加速して湖の上空を渡り切った。
「ま、まさかホントに海蛇がいたなんて…」
あと少し加速が遅かったら私たちはワッカが海蛇と呼ぶ存在と接触していたことだろう。
まだ追ってきていないか、自分の腹部に視線を落とし、逆さの世界から海蛇を探したがどうやら撒けたらしい。
そもそも目視で確認できたのは叫んだ直後、こちらに向かって急上昇したっきりだったので、その後追いかけてきていたのかは正直わからなかった。
私たちを突如として襲った海蛇。この正体と意味を私が知るのは今よりずっと先の話だ。
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