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3話 無茶振りから
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同居生活を始めて、1週間あまり。未だに関係値は変わらないまま、生活を続けていた。
「ただいま。」
「おかえり。ご飯できてるよ。」
今日相変わらず、夫婦のように雨森は出迎えてくれる。雨森は正直顔が整っている。モデルと遜色ないほどにスタイルも良くて、肩にかかる黒い髪の毛は、雨森のイメージを清楚という二文字に限定していた。
そんな美人な同居人がいつも出迎えてくれる事が、僕の中で一つの楽しみとなっていた。
制服のまま、僕は雨森の反対側に座り、一つの提案をした。
「雨森さんや。」
「どうしたの? そんな変な口調でさ。」
「明日僕が帰ってきた時にさ、ご飯にする? お風呂にする? それともわたし? って言って欲しいんだよね!」
雨森がエプロン姿で、出迎えてくれてさ、それを僕に言ったらもう……。考えるだけでたまらない!!
「嫌だよ。そんな恥ずかしい事。絶対言いたくないし、やらない。」
「えー、お願いだって。僕の幸せのためだと思ってさ、ね?」
「ズルくない? そこで、その手札を使うのはさ。私に拒否権ないの?」
「まあ、ないね!」
僕は目を輝かせながらそう言った。
「分かった。気が向いたらね。」
「ホント!? 絶対だからね!」
僕は有頂天になった。嬉しくてたまらなかった。
照れた雨森、可愛かったな……。
僕は、ご飯を食べ終わらせると雨森の食器と一緒に皿洗いを始めた。
「なあ、雨森。」
「今度はどうしたの?」
「雨森のことさ、友達に紹介したいんだけど良いかな?」
僕は雨森を親友に紹介するつもりだった。それは二人なら雨森の助けになってくれると、僕が確信しているから。
「嫌だよ。」
ハッキリ雨森は拒絶した。
「そんな信用できない人達を、何で合わせようとするの?」
「信用できないって、僕の親友だよ? 信用できるって。安心して。」
「晴山が信用できても、私は信用できないの。あんまり、人と関わりたくないんだからさ……。」
なるほど。そういえば、僕と同居を始めてまだ一週間。信頼も出来上がっていないのは、頷けるな。不安を抱える彼女にこれ以上の不安材料を与えるのは、些か鬼畜なことをやろうとしていたわけだ。
「だな。ごめん。もうちょっと時間が経ってからにするよ。」
「うん。ありがとう。」
雨森はそういうと立ち上がりお風呂場の方に向かった。僕はそれを見て、自室に戻った。そろそろ勉強を始める頃合いだったから、ちょうど良かった。
翌日、今日はバイト終わりの帰宅だった。夜の11時。流石に雨森も寝る準備を始めている頃だろう。
「ただいま。」
「あ、おかえり。」
奥からはエプロン姿の雨森が出てきた。こんな時間まで、待たせてしまったことに罪悪感を抱えつつ、僕は靴を脱いだ。
「どうしたんだ?」
ずっと、目の前でモジモジしている雨森がいた。どうも何か隠しているようで、僕は雨森の次の行動を少し予想した。
何だ? 何か言いずらい事でもあるのか?
生理用品が無くなったとか? 他には……。
すると雨森は決心したような顔をして。
「ご飯にする? お風呂にする? それともわ•た・し?」
雨森はそういうと、真っ赤になった顔を隠すようにして、両手で顔を覆った。
可愛い……。僕の同居人が可愛すぎる件について、これは一大問題だ!
「最高だったよ、雨森。」
僕は右手の親指を立てながらそう言った。
「もー! 変なことさせないでよ! 恥ずかしくて死にたくなったじゃん!」
雨森はフグのように顔を膨らませながら、僕の右肩を何度も叩いた。
「ありがとう、雨森。疲れてるだろうって、心配してやってくれたんだろ?」
僕が笑いながらそう言うと、顔を背けながら、首を縦に振った。
やっぱ、うちの同居人は可愛い……。
「今日みたいに、勉強とかバイトとかで遅くなる日があるからさ、少しでも気分が良くなってもらいたくてさ……。」
理由まで可愛い……。最高かよ……。
「最高でした……。」
「ならよかったよ! もうご飯食べよ。」
彼女は顔を赤らめながら、リビングに行った。僕は、今日から彼女を「最高に可愛い同居人」と呼ぶ事にした。
「ただいま。」
「おかえり。ご飯できてるよ。」
今日相変わらず、夫婦のように雨森は出迎えてくれる。雨森は正直顔が整っている。モデルと遜色ないほどにスタイルも良くて、肩にかかる黒い髪の毛は、雨森のイメージを清楚という二文字に限定していた。
そんな美人な同居人がいつも出迎えてくれる事が、僕の中で一つの楽しみとなっていた。
制服のまま、僕は雨森の反対側に座り、一つの提案をした。
「雨森さんや。」
「どうしたの? そんな変な口調でさ。」
「明日僕が帰ってきた時にさ、ご飯にする? お風呂にする? それともわたし? って言って欲しいんだよね!」
雨森がエプロン姿で、出迎えてくれてさ、それを僕に言ったらもう……。考えるだけでたまらない!!
「嫌だよ。そんな恥ずかしい事。絶対言いたくないし、やらない。」
「えー、お願いだって。僕の幸せのためだと思ってさ、ね?」
「ズルくない? そこで、その手札を使うのはさ。私に拒否権ないの?」
「まあ、ないね!」
僕は目を輝かせながらそう言った。
「分かった。気が向いたらね。」
「ホント!? 絶対だからね!」
僕は有頂天になった。嬉しくてたまらなかった。
照れた雨森、可愛かったな……。
僕は、ご飯を食べ終わらせると雨森の食器と一緒に皿洗いを始めた。
「なあ、雨森。」
「今度はどうしたの?」
「雨森のことさ、友達に紹介したいんだけど良いかな?」
僕は雨森を親友に紹介するつもりだった。それは二人なら雨森の助けになってくれると、僕が確信しているから。
「嫌だよ。」
ハッキリ雨森は拒絶した。
「そんな信用できない人達を、何で合わせようとするの?」
「信用できないって、僕の親友だよ? 信用できるって。安心して。」
「晴山が信用できても、私は信用できないの。あんまり、人と関わりたくないんだからさ……。」
なるほど。そういえば、僕と同居を始めてまだ一週間。信頼も出来上がっていないのは、頷けるな。不安を抱える彼女にこれ以上の不安材料を与えるのは、些か鬼畜なことをやろうとしていたわけだ。
「だな。ごめん。もうちょっと時間が経ってからにするよ。」
「うん。ありがとう。」
雨森はそういうと立ち上がりお風呂場の方に向かった。僕はそれを見て、自室に戻った。そろそろ勉強を始める頃合いだったから、ちょうど良かった。
翌日、今日はバイト終わりの帰宅だった。夜の11時。流石に雨森も寝る準備を始めている頃だろう。
「ただいま。」
「あ、おかえり。」
奥からはエプロン姿の雨森が出てきた。こんな時間まで、待たせてしまったことに罪悪感を抱えつつ、僕は靴を脱いだ。
「どうしたんだ?」
ずっと、目の前でモジモジしている雨森がいた。どうも何か隠しているようで、僕は雨森の次の行動を少し予想した。
何だ? 何か言いずらい事でもあるのか?
生理用品が無くなったとか? 他には……。
すると雨森は決心したような顔をして。
「ご飯にする? お風呂にする? それともわ•た・し?」
雨森はそういうと、真っ赤になった顔を隠すようにして、両手で顔を覆った。
可愛い……。僕の同居人が可愛すぎる件について、これは一大問題だ!
「最高だったよ、雨森。」
僕は右手の親指を立てながらそう言った。
「もー! 変なことさせないでよ! 恥ずかしくて死にたくなったじゃん!」
雨森はフグのように顔を膨らませながら、僕の右肩を何度も叩いた。
「ありがとう、雨森。疲れてるだろうって、心配してやってくれたんだろ?」
僕が笑いながらそう言うと、顔を背けながら、首を縦に振った。
やっぱ、うちの同居人は可愛い……。
「今日みたいに、勉強とかバイトとかで遅くなる日があるからさ、少しでも気分が良くなってもらいたくてさ……。」
理由まで可愛い……。最高かよ……。
「最高でした……。」
「ならよかったよ! もうご飯食べよ。」
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