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41話 路地裏の攻防戦
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再び僕らは落ち合った。残りは1時間。僕らは作戦を立てるのをやめて、4人で残り時間乗り切ろうと考えた。見渡してみると、チンピラは細かく連携を取り合い、そのたびに僕らの体力を削っていた。残りわずかの体力の中で、最後の力を振り絞り、僕らは葵を守り抜くと決めた。
「やけに散らばり過ぎてない?」
「逃さないよう、隈なく探すためだろうな。ほらまた来たし。」
そうして僕らはまた巻くために、全速力で走っていく。体力の底ももうすぐ来そうで、残り時間を考えると不安だけが僕の体を動かしていた。余裕だと思っていたこのゲームが、一転して過酷に感じていたい。
でもどうしてここまで感じ方が変わったのだろうか。僕には知る由もなかった。
残り20分、僕らは鬼がいない方向に進んでいき、元の裏路地に戻ってきてしまった。
「やあやあ。よく来たな~。君たちはここからどう逃げる?」
やられた、これはこいつらの策略だったわけだ。鬼がいない方向に進ませるように誘導し、その先には挟み撃ちが待っているというわけだ。いわゆる、詰んだということだろう。
あと少しだけ葵を守ればいいのだが、この人数を相手にできる余裕はない。他に戦える人はいないし、どうしたものだろうか。何か打開策ないか。主犯の男は勝ったと言わんばかりの笑みを浮かべていた。僕はそれが憎くてたまらなかった。
「あんた達、そこで何してるの?」
「先生!」
そこに現れたのはうちの担任だった。この先生がいればもしかするといけるかもしれない。
「先生、こいつらを倒すために協力して下さい!」
「嫌だよそんな面倒事は。後はこの人達に解決してもらうから。」
そう先生が言うと後ろから100人くらいの警官がやってきた。
「何でここに警察がいるだよ!」
「私が呼んだのよ。ある一班がね、私のところにやってきて、葵達が危ないんです。なんて言うものだからさ、話を聞いてみると、捕まると葵が連れていかれるって言っててさ。だからこうして警察を呼んだってわけ。」
何と始めに協力してくれた班の人たちが、先生に異変を報告してくれていたそうで、葵から話を聞いて警察に連絡。元々このチンピラ達は全国でさまざまな問題を起こしている、犯罪者集団だったのだ。
「インスタ見てびっくりしたわよ。晴山ってあんなに強かったのな。」
「昔から色々やってたからですよ。」
「まあ、そこは何でもいいけど。君の彼女を助けられたのは大きいね。」
「もちろんですよ。でないとこんなに真面目にやりませんもん。」
僕は照れ隠しをしながら言った。チンピラ達は抵抗虚しく、あっさり警官に捕まってそのまま警察署へ連れて行かれた。
こうして鬼ごっこは、鬼逮捕という異例の結果を持って終了した。僕らは先生の許可を得て先にバスに戻ってもいい事になった。
「葵、大丈夫か?」
「うん…………まだ足は震えてるけどね。」
「怖かったか?」
「かなりね。やっぱり昔にあんなことがあって、その主犯とこうして会うことなんてないからさ、ずっと誰かに励まされてたよ。」
葵の表情に前向きなものは一切入っていなかった。出口の見えないトンネルの先を見ているような、そんな顔に見えた。その後僕ら4人は夢の世界に旅立った。それがこの鬼ごっこの過酷さをうまく伝えられているような気がした。
「やけに散らばり過ぎてない?」
「逃さないよう、隈なく探すためだろうな。ほらまた来たし。」
そうして僕らはまた巻くために、全速力で走っていく。体力の底ももうすぐ来そうで、残り時間を考えると不安だけが僕の体を動かしていた。余裕だと思っていたこのゲームが、一転して過酷に感じていたい。
でもどうしてここまで感じ方が変わったのだろうか。僕には知る由もなかった。
残り20分、僕らは鬼がいない方向に進んでいき、元の裏路地に戻ってきてしまった。
「やあやあ。よく来たな~。君たちはここからどう逃げる?」
やられた、これはこいつらの策略だったわけだ。鬼がいない方向に進ませるように誘導し、その先には挟み撃ちが待っているというわけだ。いわゆる、詰んだということだろう。
あと少しだけ葵を守ればいいのだが、この人数を相手にできる余裕はない。他に戦える人はいないし、どうしたものだろうか。何か打開策ないか。主犯の男は勝ったと言わんばかりの笑みを浮かべていた。僕はそれが憎くてたまらなかった。
「あんた達、そこで何してるの?」
「先生!」
そこに現れたのはうちの担任だった。この先生がいればもしかするといけるかもしれない。
「先生、こいつらを倒すために協力して下さい!」
「嫌だよそんな面倒事は。後はこの人達に解決してもらうから。」
そう先生が言うと後ろから100人くらいの警官がやってきた。
「何でここに警察がいるだよ!」
「私が呼んだのよ。ある一班がね、私のところにやってきて、葵達が危ないんです。なんて言うものだからさ、話を聞いてみると、捕まると葵が連れていかれるって言っててさ。だからこうして警察を呼んだってわけ。」
何と始めに協力してくれた班の人たちが、先生に異変を報告してくれていたそうで、葵から話を聞いて警察に連絡。元々このチンピラ達は全国でさまざまな問題を起こしている、犯罪者集団だったのだ。
「インスタ見てびっくりしたわよ。晴山ってあんなに強かったのな。」
「昔から色々やってたからですよ。」
「まあ、そこは何でもいいけど。君の彼女を助けられたのは大きいね。」
「もちろんですよ。でないとこんなに真面目にやりませんもん。」
僕は照れ隠しをしながら言った。チンピラ達は抵抗虚しく、あっさり警官に捕まってそのまま警察署へ連れて行かれた。
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