2 / 3
尋問
しおりを挟む
「さあ、説明してもらおうか」
「な、なにを?」
ここは取り調べ室。周りには十人を超える刑事たちがいる。もう逃れることは出来ない。
「とぼけるのもいい加減にしてもらおうか」
「そうだぞ! ふざけんな!」
取り調べ室の机に座る僕、その反対側に座る刑事。そいつの声に反応して周りの刑事たちが声を上げた。
「説明も何も、ただの幼馴染ってだけだよ」
「ふーん、ただの幼馴染ね……」
「何だよ、その含みのある言い方」
何か掴んでいるような言い方してたけど、本当に何も無いんだよな。
「んじゃあ、昨日の買い物デートはどう説明するんだ! ただの幼馴染でも中々行かないぞ?」
えっと……そういうものなのか? あんまりよく分かってないんだけど、幼馴染で買い物ぐらい行くだろ。
「別に普通じゃない?」
僕は首を傾げながらそう言うと、目の前の刑事の剣幕が一層厳しくなった。
「普通だと!? お前どんだけ羨ましい人生歩んできたんだよ!」
それ、お前の妬み以外の何物でもないだろ。ただの逆恨みじゃないかよ。
「僕にどうしろって言うんだよ……」
「俺にその子を紹介してほしい」
「却下」
どうせここにいる奴ら全員、アイツの体目当てだろうし。しずくに送る目線が大体顔より下にあるのは、男の僕にも分かる。
そんなエロ猿共にアイツを渡せるか!
「頼むよ~、友達でもいいから~」
「そんな下心しかない奴に、紹介したくない」
「お前……」
目の前の刑事は机を強く叩くと、唇を噛み締めるように。
「女と接する時に下心ない男がいるかよ!!」
「ロクデナシだな、お前は……」
まったく男の本能をそのまま体現しているような奴だな。
「お前は分かってないよ、俺らみたいな女子と接点がない男の気持ちが」
分かってたまるか。そんな下心しかない奴らに近寄りたい女子なんていないだろ。
「まあ、分からないな」
「そうだろ! お前は女に恵まれているんだ!」
「め、恵まれてる? 僕が?」
「だってそうだろ? 俺らが話したことないような女子とよく話してるじゃないよ!」
コイツ、それだけで恵まれてるとか言ってんのかよ。普通に世間話してるだけだろ。
「大した話してないぞ?」
僕はそう言うと、目の前の刑事はどういう訳か涙を流し始めた。
「俺らには、それがないんだぞ……! この苦しみを分かってくれよ……!」
ったく、何だよこの茶番……
周りの刑事達も泣いてるし、コイツらどんだけ女子に飢えてるんだよ。
「そうは言っても僕の一存じゃ、紹介なんて無理だぞ?」
しかもしずく、他の男子の事「猿ども」なんて言ってたし、会わせるのもなんか抵抗あるんだよな。
「それはそうか……盲点だったな」
いや、そこは一番最初に浮かぶ所だろ! それぐらい気づけや。
ていうか、コイツらガチなのかボケなのかすらも分からない。
ツッコミたい所満載だし、疲れてきたから、そろそろこのコント劇を終わらせようと思う。
「んで奏真、これいつまで続けんの?」
「いつまで? そんなの決まってるだろ?」
「そんなカッコつけながら言う事じゃないよ」
「良いだろうが! 水刺すなよ、せっかく楽しくやってんだから」
「何で、僕が巻き込まれなきゃいけないんだよ」
「ちょっとくらい付き合ってくれても良いだろ?」
何がちょっとだよ。
放課後になって僕の周りを囲って恐喝のように、自分たちの欲望を押し付けて。
しかも一時間もこんな茶番続けてさ、こっちの時間も考えてもらいたいもんだよ。
「これが俺の青春なんだよ! これしか青春できないんだよ! いいよな、お前はあんな幼馴染がいてよ!」
「やめてくれ、悲しくなってくる……」
それからようやく解散になったのは、授業が終わってから二時間が経過した後だった。
「な、なにを?」
ここは取り調べ室。周りには十人を超える刑事たちがいる。もう逃れることは出来ない。
「とぼけるのもいい加減にしてもらおうか」
「そうだぞ! ふざけんな!」
取り調べ室の机に座る僕、その反対側に座る刑事。そいつの声に反応して周りの刑事たちが声を上げた。
「説明も何も、ただの幼馴染ってだけだよ」
「ふーん、ただの幼馴染ね……」
「何だよ、その含みのある言い方」
何か掴んでいるような言い方してたけど、本当に何も無いんだよな。
「んじゃあ、昨日の買い物デートはどう説明するんだ! ただの幼馴染でも中々行かないぞ?」
えっと……そういうものなのか? あんまりよく分かってないんだけど、幼馴染で買い物ぐらい行くだろ。
「別に普通じゃない?」
僕は首を傾げながらそう言うと、目の前の刑事の剣幕が一層厳しくなった。
「普通だと!? お前どんだけ羨ましい人生歩んできたんだよ!」
それ、お前の妬み以外の何物でもないだろ。ただの逆恨みじゃないかよ。
「僕にどうしろって言うんだよ……」
「俺にその子を紹介してほしい」
「却下」
どうせここにいる奴ら全員、アイツの体目当てだろうし。しずくに送る目線が大体顔より下にあるのは、男の僕にも分かる。
そんなエロ猿共にアイツを渡せるか!
「頼むよ~、友達でもいいから~」
「そんな下心しかない奴に、紹介したくない」
「お前……」
目の前の刑事は机を強く叩くと、唇を噛み締めるように。
「女と接する時に下心ない男がいるかよ!!」
「ロクデナシだな、お前は……」
まったく男の本能をそのまま体現しているような奴だな。
「お前は分かってないよ、俺らみたいな女子と接点がない男の気持ちが」
分かってたまるか。そんな下心しかない奴らに近寄りたい女子なんていないだろ。
「まあ、分からないな」
「そうだろ! お前は女に恵まれているんだ!」
「め、恵まれてる? 僕が?」
「だってそうだろ? 俺らが話したことないような女子とよく話してるじゃないよ!」
コイツ、それだけで恵まれてるとか言ってんのかよ。普通に世間話してるだけだろ。
「大した話してないぞ?」
僕はそう言うと、目の前の刑事はどういう訳か涙を流し始めた。
「俺らには、それがないんだぞ……! この苦しみを分かってくれよ……!」
ったく、何だよこの茶番……
周りの刑事達も泣いてるし、コイツらどんだけ女子に飢えてるんだよ。
「そうは言っても僕の一存じゃ、紹介なんて無理だぞ?」
しかもしずく、他の男子の事「猿ども」なんて言ってたし、会わせるのもなんか抵抗あるんだよな。
「それはそうか……盲点だったな」
いや、そこは一番最初に浮かぶ所だろ! それぐらい気づけや。
ていうか、コイツらガチなのかボケなのかすらも分からない。
ツッコミたい所満載だし、疲れてきたから、そろそろこのコント劇を終わらせようと思う。
「んで奏真、これいつまで続けんの?」
「いつまで? そんなの決まってるだろ?」
「そんなカッコつけながら言う事じゃないよ」
「良いだろうが! 水刺すなよ、せっかく楽しくやってんだから」
「何で、僕が巻き込まれなきゃいけないんだよ」
「ちょっとくらい付き合ってくれても良いだろ?」
何がちょっとだよ。
放課後になって僕の周りを囲って恐喝のように、自分たちの欲望を押し付けて。
しかも一時間もこんな茶番続けてさ、こっちの時間も考えてもらいたいもんだよ。
「これが俺の青春なんだよ! これしか青春できないんだよ! いいよな、お前はあんな幼馴染がいてよ!」
「やめてくれ、悲しくなってくる……」
それからようやく解散になったのは、授業が終わってから二時間が経過した後だった。
0
あなたにおすすめの小説
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる