『ラノベ作家のおっさん…異世界に転生する』

来夢

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第1章 異世界転生

第3話

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転生をして二日目、俺は名はヴェルグラッドと名付けられた。フルネームは、ヴェルグラッド=フォレスタ。略称ヴェルだ。

まあ、自分が書いているのでもちろん知っている。とはいえ実際に自分がそう呼ばれるとなると、なんというか、思うところがある。

この先この世界で生きていく為に、俺が書いたこの世界の事を復習しよう。まあ備忘録的な?

小説なら読み飛ばされる可能性が高い面倒な設定説明だが、もし自分の書いたとおりならば改めて確認しておく必要があるだろう。ラノベなら神様や女神様が教えてくれるチュートリアルみたいなものである。

まずは世界観から。この世界は異世界らしく剣と魔法の世界と言う設定だ。ファンタジーの世界らしく、国や町は便宜上で中世より発展をしたイメージで書いていた。

星、つまり世界の名はファーベルと名付け、地球に近い設定にした。

居住可能な土地に関しては大きな大陸が一つにその半分の大陸、計6つの国がそれぞれ存在していると小説には書いた。しかしながら、この世界がどうなっているのかは不明だ。自分の書いた小説がどう補正されているのかは非常に興味がある。

それから異世界もので重要なもののひとつにステータスがある。

だがこの世界にはレベルと言う概念は無いのだがスキルと言う概念はある。これは成人になると身分証明書として貰えるステータスカードに魔力を流すと可視化出来るようになっている。また自分が許可をしないと他人には見えないようになっているはずだ。

やはり個人情報は守られるべきだからな。オレの良識として。

ゲームのように「ステータス・オープン」と詠唱をすれば、各ステータスが可視化出来るようにしようと思ったが、現実的には空中に文字が浮かぶなどありえないし、明るい場所では逆光や反射で見難いはずだ。

それに、もしステータス画面を見ている最中に敵に襲われたらどうするんだ?とリアルに考えてしまいそれはやめておいた。なぜなら歩きスマホよりも危険だろ。

ただし。自分で設定したとは言え、自分の書いたとおりであれば神託の儀が行われる12歳まではステータスの確認は出来ない仕様となっている。

もっとも魔力や剣術はステータスが確認が出来ないだけで鍛える事はできる。この確認できない期間にどれだけ成長できるかが12歳以降の大きなアドバンテージになるのだから。

したがって、書き掛けの主人公ヴェルは12歳、つまり神託の儀が執り行われるまでに、とにかく剣と魔法を鍛えまくっていたのだ。

となるとオレもやるきゃない。自分で書いておいてなんだが、普通の子供からいくと物心が付く前から訓練をしなきゃならないのか…でも上手く生きていけるよう赤子ながらがんばろうと誓う。

ちなみに、神託の儀とは、12歳になると教会に該当者が集められる儀式があって、神様から魔法と職業スキルを与えられるようにした。

まあ良くある設定だが勘弁して欲しい。良くあると言うのはわかりやすいと言う事だ。な?ついつい同意を得る言い方になってしまうけど。

教会で魔法属性とスキルを与えられると、ジョブは神様から与えられたスキルで決める事が出来る。

この時、神様から与えられるスキルは大きく分けると3種類あり、誰もが神託の儀で与えられる一般スキル、職業スキル、神様から特別に使命を与えられていると考えられているユニークスキルがある。

一般スキルとは、魔法には火、風、水、土、雷、聖、光、闇の8属性があり、書いた世界では火、風、水、土の4属性が生活魔法として誰にでも与えられる一般属性とされている。ちなみに使用可能な魔法は全てが殺傷能力の無い初級である。

ラノベで言えば生活魔法と呼ばれる程度の威力しか使えない。

実際に屋敷で生活を見てみると、照明は肉から取れる動物性油、料理には薪を使う時に火の魔法を着火程度に使う程度だ。水は大量に使うので井戸からと言った具合に生活魔法と言ってもそこまで生活に対して依存度が高いわけでは無いようだ。

これは個人的な見解だが、生活魔法があっても使える魔力には個人差もあるし、バッテリーのような蓄積出来る代替ストレージは魔石があるようだがコスパが悪いようだ。

次に職業スキルだが、火、風、水、土の4属性の中のどれか1属性が特化しており中級魔法以上が使えるみたい。職業スキルは鍛錬で習得出来るようで主な職業は農民、商人、事務、教師、鍛冶師、ギルド職員などでステータスカードには一般と表示されて世界の7割はこの職業に当たる。

細かく設定すると職業差別やなんやら設定上、面倒な事になりそうなのでこのようなな設定にした。

最後にユニークスキルについてだがこれは大いに血筋が関わっている。この世界には様々な固有スキルがあり詳しい話は割愛するが、その中でもよく知られているのは例えるなら教会関係者や医者などだ。怪我、病気、解毒、浄化が出来るスキルなどが挙げられる。

これらのユニークスキル持ちは上級職と呼ばれる職業に就く事が国から定められている。

そんな訳で12歳で信託の儀を受けると、ある程度自分の人生が決められてしまうのだが、でも、それだけではフレキシビリティに欠けるだろ?

だからジョブは16歳になると、今度は成人の儀と言うものがあるので、その時にステータスカードに表示をされた選択肢の中から転職を出来る事にした。

神様から与えられたスキル以外にも、鍛錬で得たスキルもまた習得出来るからだ。そもそもだ、血筋や親の職業だけで人生が左右するなどナンセンスだと思わないか?努力をすれば報われなきゃ駄目だろ?

だから、一般職の血筋でも魔力を鍛えればそれなりに魔力が上がるし、一般的な生活魔法、魔法の武器は、魔道具を使えば魔法が使える様に設定したんだ。その設定が反映されているのかはまだ分からない。

夢で見たヴェルの職業の一つが王宮騎士と言う職業だった。なので小説の中では、この職業は騎士の上位の役職に設定をした。

王宮騎士になる為には、教養も然る事ながら、冒険者になってB級ライセンス以上の資格が必要と設定した。文武両道と言った感じだな。

なので夢で見たとおり、書ていた物語中のヴェルは最終的にこれを目指す予定であった。

最後の夢で見た、聖女や聖騎士と言う職業は、昨日見た夢の中で初めて出てきた職業なので詳しい詳細や、自分の書いていた小説にも書く予定はなかったので設定すらしていない。どうなる事やら。

さて、お次は家族の立ち位置についてだ。

オレの生まれた国の名は、レディアス王国と言う人族が中心となる国だ。家柄はギリギリ貴族と位置づけられている上級騎士の家系にした。この位置からなら王宮騎士も目指せる。

上級騎士と下級騎士について説明すると、この世界の伯爵以下の貴族は下級貴族と位置付けられていて世襲制にしていない。

代わりに下級貴族の子弟は一代限りだけど、上級騎士か上級文務官に叙する言う形をとった。いわゆる救済措置だな。

父は血筋的に騎士家系のようなので、上級騎士を選んだわけだ。こちらも一代限りなのでオレは実力で何とかしなきゃいけない。じゃないと大人になったら平民だ。貴族に未練はないけどね。

で、下級騎士は一般的な騎士になるが功績を残せば陞爵される可能性がある。同様に下級文務官もだ。

平民がいきなり貴族になるには養子に入るしかない。そのうえ領主など執政が出来るまで勉強や試験があり、合格するまで貴族を名乗れないと言うおまけつきだ。

文務官や文官ならともかくとして、騎士はこの辺りが大変そうだ。だが、文字も計算も出来ない輩が領地や町や村の運営や土地を治めるなんて目も当てられない、当然と言えば当然だ。

ここまでオレが書いた小説のストーリーが現実になるのならば、オレは神託の儀が終わり次第に貴族が入る王都の学園に入るはずだ。

ありふれた学園物を長々と書くつもりは無いが、人生において勉強は必要不可欠だと考えて、学園の事も書く事にしようとは思っていた。丁度このあたりの事を書き始めた時に死んじまったがね。

まぁそんなわけで、主人公の身分が高すぎると成り上がり要素が無くなって面白みにかける事になるし、低すぎると貴族階級のみ入れる学園に入れなくなる。土俵にも乗れないのでは話の広げようも無いだろ?

最後に一番重要な、今後起きる問題について触れておこう。今後の流れを変えなければならない重要な案件だ。書いたシナリオのとおり進むなら、つまりは全ての責任が自分にある。

書き終えてある部分と初期プロットだけではあるが、これからの出来事をさっくり説明する。

まずオレが9歳になるとこの世界でコレラが大流行する。母親であるグレースと侍女のテーゼはコレラに感染して米のとぎ汁のようなものを吐き、脱水症状が悪化して死亡してしまう。

父親はその2年後に、オレの為にと再婚をするのだが、この義母と言うのが美人ではあるが性格が最悪だった。連れ子の義兄ばかり贔屓をして、オレには教育と言う名目で体罰を繰り返すと言う感じで書いてしまった。

あざ笑うように見ている二人を見て、子供ながらに復讐を誓うと言う感じだ。当時流行っていた?ざまぁ系って感じだな。

物語にはこういった浮き沈みは必要だと思って書いたが自分の書いた未来を変える事は出来るのか?いや、変えないとおれも周りの人達も不幸になる。

見た夢を参考にした部分も多いけど書いた以上責任がある。物語が進めば転生をしてしまった自分も青年になると死んでしまう。

こうなったら全力で自分の書いた物語に全力で抗ってやる。そう心に誓う。
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