『ラノベ作家のおっさん…異世界に転生する』

来夢

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第1章 異世界転生

第64話

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翌日、午前の筋肉トレーニングの鍛錬を終えたので、昼食を摂った後、アイテムボックスがどの程度のものなのか検証してみる事になった。

「それでは、この机から試すとするか」

最初は小さな物からがいいだろう。机に手を置いて「収納」と詠唱すると、3歳の時には何も起こらなかったのに今回は机が光に包まれ、そして消えた。

「凄いなこれ!」

「ほんとににね。これなら竜車に何も積まなくていいから、竜馬に負担が掛からなくていいわね」

アイテムボックスに収納した物はステータスカードに表示された。取り出す時は念じればいいだけだ。使い勝手はこの上ない。

つい調子に乗っておもしろ半分で「むんっ!いでよ机」と言ってみる。あら不思議。机が現れた。ニヤニヤしているとみんながジト目で見てくる。

そう。念じればいいだけなのはわかっているんだが、これ、男の子の浪漫だろ?わかるよね!まあ、恥ずかしいから今回限りにしておくけど。

さっ次っ!次っ!と外に出て、馬車を収納してみるとさらっと収納出来た。無制限と表示はされていたがこんな大きな物まで入るとは。
それじゃ屋敷は?やってみたいが自重する。基礎や配管はどうなるんだろう。塩ビ菅(いや、この世界には無いんだけど)がプラプラしてる家を思い浮かべそっと思考を止める。

てな事で、外に出てから馬も試してみたけど馬まで収納できたのは驚きだ。スラすけも入れてみたが普通に入れられた。旅に一緒に連れていけそうだ。そうか。生き物もいけるのか。おれの知ってる小説では命NGが多かったからちょっと嬉しい。

「それじゃ人間はどうかな?」

ジュリエッタは興味津々で聞いてきた。

「いやいや。そこは流石に試さないってば!」

倫理的に、もし何かあったときに責任が取れない。いや、馬やスラすけがいけるならとは思うけど。とりあえず今度神様にお会いする機会があったら聞いてみるよう。入れっぱなしになったらどうなるんだろう?とも思うし。

ひととおりアイテムボックスを試したあと、午後から昨日シャロンさんに「実演を兼ねて野外で」と言う約束をしていたので、声を掛けたら「準備を致しますのでお待ちください」と言われたので待っていると馬車がやってきた。

「お待たせしました。こちらも準備が整いましたので採石場に向かいましょう」

「野外でっていってたから屋敷の庭だと思っていたんだけど、何で採石場なんだい?」

「王都に流れているの川はご存知ですよね?砕石に使う山から削りだされた岩や瓦礫は、その川のある砕石場に運ばれています。魔法を覚えたみなさんは、そこで試し打ちしています。砕石に使う岩なので、どれだけ壊しても怒られませんから」

そう。これから攻撃魔法を試してみるわけだ。

ちなみに、王都の中には自然の川と人工河川がある。火事や魔物の進入を防ぐ為らしい。

孫子の兵法?水攻め?とちょっと期待したけどそうでは無いようだ。

単純に魔物は泳げないので水があれば魔物避けになるとの事だった。個人的な嗜好だけど陛下には水攻めを出来るように進言したい。

馬車に乗り閑静な住宅街を抜けて人口の川沿いに走っていくと、川は想像していたよりも大きく釣り人もいる。

「なにが釣れますか?」と、釣りキチ○平世代のおれとしてはマストと言える質問だが、今は王族であるマイアも連れているので声を掛ける雰囲気では無い。残念…

まあいい。到着するまでに、武器や魔石について疑問に思ったことを聞いておこう。釣り人じゃなくてジュリエッタとマイアに。

「ちょっと聞いていいかな?スキルリストを見ると全属性魔法が使えるよね?発動するときに杖とかロッドとかって必要ないのじゃないの?」

「相手に触れて発動する魔法だけなら武器はいらないけど、魔法を詠唱した後、放つタイミングとか方向を決めるのに武器は必要だわ」

お?指向性を持たせるだけなら指でもいけるんじゃね?

「なるほどね。それでは剣や槍にに魔法を付与する意味は?」

「剣技のレベルが上がると魔法剣が使えるのよ」

「じゃさ、雷の魔法を付与した状態で剣を交えれば感電させる事が可能じゃないのか?」

「ミスリルなどの魔鉱石は磁気や電気を通さないし、魔鉱石じゃなくても武器の持ちてはゴムか、もしくはミスリルの粉末を精錬する時のコーティングで配合してあるから感電はしないわよ。もちろん体に触れれば感電するけどね」

なるほど。んじゃ、次は魔石についてだ。

2人によれば、魔石の価値は色々あって内訳を纏めるとこうだ。

まず、1cm未満は銀貨数枚で魔法レベルが1~2までの魔法が付与できる。主に家庭生活用の魔道具として使われている。

1cm以上~2cm未満は小金貨1枚~2枚で魔法レベルが1~3までの魔法が付与できる。耐久性に優れ主に生活用の魔道具や初心者~中級者用の武器や防具に使用されている。

2cm以上~3cm未満は小金貨3枚~金貨1枚で魔法レベル1~4までの魔法が付与出来る。主に日本で言う業務用の魔道具や中級冒険者用の武器や防具に使用されている。値段に開きがあるのはレベル4の魔法を付与する時に掛かる値段との話だ。

3cm以上~4cm未満は金貨2枚~5枚で魔法レベル1~5までまでの魔法が付与出来る。主に大型設備の魔道具や中級~上級冒険者の武器や防具に使用されている。

4cm以上~5cm未満は金貨6枚~大金貨1枚で魔法レベル1~6までまでの魔法が付与出来る。主に大型設備の魔道具やBランク冒険者の武器や防具に使用されている。

5cm以上~ 要応談。魔法レベルが7となると付与出来る魔法付与スキル持ちが希少。魔道具に使うと十年単位の回数に耐えられる。Aランク迷宮の下層、もしくはSランク迷宮の中層レベルの魔物からしか得られない。

なお現在発見されている最大の魔石は8cm。神話級の魔石と呼ばれており、500年前に勇者が付与したレベル10のエリア エクストラヒールが付与されているらしい。

神聖国ヴァリスタの大神殿に保管されていると言う話なのだか、発動するのに莫大な魔力を必要とするため誰も発動出来た者はいない。

こっそりジュリエッタに過去の記憶に使った事が無いか聞いたところ、聖女の魔力があればギリで使えるようで、効果は欠損部分を治すまでの治癒魔法であるエクストラヒールが半径100m以内であるが掛かるらしい。

「まさに聖女様の大魔法だな~。そんな魔法が使えるなら無敵じゃないの?」と聞いてみたら、その時のジュリエッタの聖属性のレベルは8、無理やり使ったのが悪かったのか発動後に気絶して魔力が戻るまでに3日かかったそうだ。

そのせいで戦況が悪くなったうえに、エクストラヒールは呪いには効かないので、前々世の俺の死を止めることができなかったらしい。なんだかそんな高度な魔法を使って貰って死んじゃって申し訳ない。
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