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第1章 異世界転生
第67話
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全ての剣技の試し終えるともう夕方だった。屋敷に戻ろうと刀を鞘に収めているとシャロンさんが興味深げに話しかけてきた。
「しかし、その刀と言う得物は変わった形状だな?一度握らせては貰えないだろうか?」
シャロンさんに手渡そうとすると受け取ろうとしたその手が弾かれる。
「おわっ、他の者には触れることができないのか?レリクお前も試してみろ」
レリクさんも同じように弾かれる。ただジュリエッタ、マイアは弾かれることなく受け取った。ホントに勇者の血筋じゃないと触れることができないようだ。
「そういうことか。それはそれで盗まれる事が無いから安全安心だな。ただ、刀は模擬戦や対人戦では使わない事をお勧めするよ。あまりにも性能が出鱈目すぎる」
そもそも、この戦争のない平和な世界で対人の真剣勝負なんてあるのか?せいぜい盗賊とかそんなんだろう。
それはさておき馬車の中でこれからの修練について考える。
真剣を使って鍛錬が出来ないと魔王が現れた時にいわゆる熟練度で問題は出ないんかな?使いこなせてなかったらそっちが問題だろう。
どうしたものか考えてると屋敷に着いた。
「夕食が出来るまでまだ時間があるみたいだし、お風呂の用意も出来ていないらしいから軽く汗を拭いて着替えてくるわね」
「そっか。なら俺もそうするよ」
「お互いに拭きっこしますか?」
「いいね。そうしよう。だが断る!!」
相変わらずからかい好きのマイアを軽くいなしながら、風呂の脱衣場でお湯で絞ったタオルで体を拭いて着替えを済ませた。
夕食が出来るまで寝室に戻るとジュリエッタとマイアがやってきたので、ジュリエッタに転生前の事で気になった事があるので質問してみる。
「ジュリエッタ、転生前の事で聞きたいんだけど、僕とジュリエッタの強さはどんな感じだった?」
「そうね~。16歳までの記憶しかないけど、今のレリクより上、シャロンさんより下って感じかな。私は火属性魔法はレベル6聖属性魔法はレベル7まで、ヴェルは剣技レベル7で魔法属性は平均レベル5と言ったところだったかしら」
「そっか。レベルもそうだけどユグドクラシルがチート級だからひょっとしたら当時の自分よりも今の方が強いかもと思って」
「確かに勇者の力が解放されて昔より強いかも知れないけど、それは勇者の加護と言うよりヴェルが3歳から鍛えた結果だと思うな。今のヴェルの強さは努力の成果だから」
3歳~9歳まで6年間+地球で剣道をがんばった7歳~21歳まで。前世が12歳~15歳までのたったの3年間。確かに比べるのは間違いかも知れない。
シャロンさんもレリクさんもBランク冒険者だがそれはあくまでも目安であり、ユグドクラシルの武器を使えば、あの二人を超える力がすでに備わっている。
『後は魔物戦での経験の差だな』
今回の結果を見るかぎり、ユグドクラシルの武器にしろ剣技にしろチート過ぎて、実戦経験を積む前に魔物を無双してしまい、経験不足になりそうだ。ホントにこれからどうしよう。
「今日ユグドクラシルの武器を使ったじゃない?剣技と組み合わせすると、あまりにも強すぎるから封印をした方がいいかな?」
「なに言ってるのよ。神様が言ってたじゃない?ユグドクラシルの武器もまた成長すると」
「そうですよ。武器を鍛えていないと、今の魔物はそれでもいいでしょうが魔王は別物と考えるべきでしょう」
「となると。技術も武器も磨いていくにはやっぱりAランクかSランク迷宮しかないと思う。強く無い魔物相手だと、本気を出すと明らかなオーバーキルだ。単純作業を繰り返すだけではすぐに手詰まりになっちゃうからな」
「そうね。転生前の私もヴェルもBランク迷宮までしか攻略してなかったけど、今の感じだとファミリエとミラとさえ合流すればAランク迷宮に挑戦出来そうね」
「その方向で進めるのはいいけど、それでそのファミリエとミラ?って娘は武器はなんなんだい?異世界の知識だとエルフは弓、獣人は近接戦闘が得意ってのが定番なんだけど?」
「大方はそうね。でもファミリエは槍が得意で、ミラは斥候役でナイフと闘技ね。ヴェルが転生した日本?にはエルフや獣人はいたの?」
「いや空想の種族だよ。だからいるって聞いた時は随分と興奮したものだよ」
「えっ!興奮って!興奮?ムラムラとかしたんですか!!」
「こら!お姫様がムラムラと言っちゃダメだろう!!それにそういう意味じゃないから!!」
恋愛とかの本が好きだとは聞いていたけどムラムラ言うか?残念すぎるおませさんだよ。まったく…
「あら。ムキになるなんて怪しいですわ。なら約束してください。もしミラさんと合流しても、しっぽをむふもふしたいなんて言わないって」
「えっ!えーーー!もふもふ持ちなんか!!まあ流石にいきなりそんな事は言わないさ。だが断る!」
そんなやり取りを見てジュリエッタが笑う。が、ワタクシはそんな約束できませんよ?
「おっほん」ジュリエッタが咳払いをすると俺とマイアは姿勢を正す。
「ま、兎に角だ。明日冒険者ギルドに行ってから、王宮に用意して貰った防具を取りに行って準備を進めよう。シャロンさんに魔石返しちゃったから自分用に買いたいしね。その後の事はまたみんなで考えるとしようか」
「もぅ。誤魔化しましたね。でもそうですね。私も学園の迷宮に行くのが楽しみです」
婚約者の二人は笑みを浮かべた。迷宮すらちょっと遠足?と言う感じ。楽しそうなのは良いことだけど…まあいいか。今は何も言うまい。
「しかし、その刀と言う得物は変わった形状だな?一度握らせては貰えないだろうか?」
シャロンさんに手渡そうとすると受け取ろうとしたその手が弾かれる。
「おわっ、他の者には触れることができないのか?レリクお前も試してみろ」
レリクさんも同じように弾かれる。ただジュリエッタ、マイアは弾かれることなく受け取った。ホントに勇者の血筋じゃないと触れることができないようだ。
「そういうことか。それはそれで盗まれる事が無いから安全安心だな。ただ、刀は模擬戦や対人戦では使わない事をお勧めするよ。あまりにも性能が出鱈目すぎる」
そもそも、この戦争のない平和な世界で対人の真剣勝負なんてあるのか?せいぜい盗賊とかそんなんだろう。
それはさておき馬車の中でこれからの修練について考える。
真剣を使って鍛錬が出来ないと魔王が現れた時にいわゆる熟練度で問題は出ないんかな?使いこなせてなかったらそっちが問題だろう。
どうしたものか考えてると屋敷に着いた。
「夕食が出来るまでまだ時間があるみたいだし、お風呂の用意も出来ていないらしいから軽く汗を拭いて着替えてくるわね」
「そっか。なら俺もそうするよ」
「お互いに拭きっこしますか?」
「いいね。そうしよう。だが断る!!」
相変わらずからかい好きのマイアを軽くいなしながら、風呂の脱衣場でお湯で絞ったタオルで体を拭いて着替えを済ませた。
夕食が出来るまで寝室に戻るとジュリエッタとマイアがやってきたので、ジュリエッタに転生前の事で気になった事があるので質問してみる。
「ジュリエッタ、転生前の事で聞きたいんだけど、僕とジュリエッタの強さはどんな感じだった?」
「そうね~。16歳までの記憶しかないけど、今のレリクより上、シャロンさんより下って感じかな。私は火属性魔法はレベル6聖属性魔法はレベル7まで、ヴェルは剣技レベル7で魔法属性は平均レベル5と言ったところだったかしら」
「そっか。レベルもそうだけどユグドクラシルがチート級だからひょっとしたら当時の自分よりも今の方が強いかもと思って」
「確かに勇者の力が解放されて昔より強いかも知れないけど、それは勇者の加護と言うよりヴェルが3歳から鍛えた結果だと思うな。今のヴェルの強さは努力の成果だから」
3歳~9歳まで6年間+地球で剣道をがんばった7歳~21歳まで。前世が12歳~15歳までのたったの3年間。確かに比べるのは間違いかも知れない。
シャロンさんもレリクさんもBランク冒険者だがそれはあくまでも目安であり、ユグドクラシルの武器を使えば、あの二人を超える力がすでに備わっている。
『後は魔物戦での経験の差だな』
今回の結果を見るかぎり、ユグドクラシルの武器にしろ剣技にしろチート過ぎて、実戦経験を積む前に魔物を無双してしまい、経験不足になりそうだ。ホントにこれからどうしよう。
「今日ユグドクラシルの武器を使ったじゃない?剣技と組み合わせすると、あまりにも強すぎるから封印をした方がいいかな?」
「なに言ってるのよ。神様が言ってたじゃない?ユグドクラシルの武器もまた成長すると」
「そうですよ。武器を鍛えていないと、今の魔物はそれでもいいでしょうが魔王は別物と考えるべきでしょう」
「となると。技術も武器も磨いていくにはやっぱりAランクかSランク迷宮しかないと思う。強く無い魔物相手だと、本気を出すと明らかなオーバーキルだ。単純作業を繰り返すだけではすぐに手詰まりになっちゃうからな」
「そうね。転生前の私もヴェルもBランク迷宮までしか攻略してなかったけど、今の感じだとファミリエとミラとさえ合流すればAランク迷宮に挑戦出来そうね」
「その方向で進めるのはいいけど、それでそのファミリエとミラ?って娘は武器はなんなんだい?異世界の知識だとエルフは弓、獣人は近接戦闘が得意ってのが定番なんだけど?」
「大方はそうね。でもファミリエは槍が得意で、ミラは斥候役でナイフと闘技ね。ヴェルが転生した日本?にはエルフや獣人はいたの?」
「いや空想の種族だよ。だからいるって聞いた時は随分と興奮したものだよ」
「えっ!興奮って!興奮?ムラムラとかしたんですか!!」
「こら!お姫様がムラムラと言っちゃダメだろう!!それにそういう意味じゃないから!!」
恋愛とかの本が好きだとは聞いていたけどムラムラ言うか?残念すぎるおませさんだよ。まったく…
「あら。ムキになるなんて怪しいですわ。なら約束してください。もしミラさんと合流しても、しっぽをむふもふしたいなんて言わないって」
「えっ!えーーー!もふもふ持ちなんか!!まあ流石にいきなりそんな事は言わないさ。だが断る!」
そんなやり取りを見てジュリエッタが笑う。が、ワタクシはそんな約束できませんよ?
「おっほん」ジュリエッタが咳払いをすると俺とマイアは姿勢を正す。
「ま、兎に角だ。明日冒険者ギルドに行ってから、王宮に用意して貰った防具を取りに行って準備を進めよう。シャロンさんに魔石返しちゃったから自分用に買いたいしね。その後の事はまたみんなで考えるとしようか」
「もぅ。誤魔化しましたね。でもそうですね。私も学園の迷宮に行くのが楽しみです」
婚約者の二人は笑みを浮かべた。迷宮すらちょっと遠足?と言う感じ。楽しそうなのは良いことだけど…まあいいか。今は何も言うまい。
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