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第一章
木剣を振る
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地下訓練場につくなりガロはすぐに囲いの一つにと入って障壁を起動した。さらに壁を開けて木剣を2つ取り出すと、僕に一つ渡してきた。
「え、えっと、これは?」
「見ての通り木剣だ。いや、見たことなかったか?」
「実物を見るのは初めてというところかな。ってそうじゃなくって、これで何するのって意味なんだけど。」
「これからキオには近接戦闘を覚えてもらう。つっても簡単な剣の振り方くらいしか教えられないけどな。俺も基礎は学んだが結局今は我流に振ってるからな。」
「うっ、いきなり剣の練習ってこと?まぁやるけどさ、Gランクになるのとどういう関係があるの?」
断れない雰囲気だけど、こういうことはできればなんでやるのかを知っておきたい。別にそうしないと真剣にできないってわけじゃないけど、聞いてた方が取り組みやすいのは確かだ。
「あぁ、ランクHからGに上がるには2つの方法がある。一つは実践経験だ。実際の戦闘というだけの意味じゃなく、ギルドで定めた仕事をこなすということだな。で、もう一つが魔法と近接の能力証明だ。すでにキオはじじいに魔法の証明してるからな。あとはあれがしっかり使えるところをもう一度俺にでいいから見せてくれればいい。んで、近接のほうを並みでいいからできるようになればすぐにGランクにできるってわけだ。」
「あー、なるほど?それでガロが基礎を教えてくれるってことなのね。」
「そうだ。剣は、握ったことはないよな?」
「うん、ないね。おもちゃの剣なら子供のころに振りましたことあるけど。」
なつかしい、確か京都だったか、つい少ないお小遣いで衝動買いして買って二日で飽きちゃったっけ。そういえばあのおもちゃいつの間にか見なくなってたけど、どこに行ったんだろう。ただもう見ることはないんだろうな。
「そうか、じゃあとりあえず何でもいい。俺に向かって振ってみろ。」
「え、えぇ?」
「大丈夫だ。お前がすさまじい剣の腕でもなきゃ全部受け止められるからな。むしろ今このためしてる間に俺の体に一発でも当てたら何でも言うこと聞いてやるよ。」
「・・・いったね?」
人間の時と違って体は軽い。真面目に剣を振ったことなんてないけど、体に一発当てるくらいならもしかしたらいけるかもしれない。特に初めの一発目、今完全に油断してるこの瞬間に、右手に持った木剣をガロに向かって思い切り振りぬいた。
ゴンッと鈍い音がした。かなり力を入れてふるったのに、あっけなくガロの体からは全然遠いところで防がれてしまった。
「意外といい振り抜きじゃないか。ほら、どんどんこい!」
「油断してそうだから行けると思ったのに!」
そこから僕は一心不乱に木剣を振るけど、どんなに振っても木剣の先でチョンとつつくようにあっけなく止められたり、そらされたりして、ガロの体に当てるどころか木剣の真ん中より下にさえ当てられなかったと思う。
「よし、そこまで。まぁ初めてにしてはというところか。」
「はぁ、はぁ、ちょっと息切れたけど、まだやれるよ?」
まだ剣当てを習おうとする僕を見てにやりとちょっと不気味に笑って言い放った。
「あぁ、ここからはまじめに剣の基礎だ。徹底的にやるぞ?」
「ひ、ひぇ、お、お手柔らかに。」
「そう怖がるな。まずは持ち方だ。確かに片手で持って振ると機転聞かせやすくなるが、やはり剣の速度も威力も落ちる。両手で持つんだ。」
「あ、そっか、確かにそうだね・・・」
むきになって片手でずっと振り回してたけど、いくら軽い木剣といえど両手で持って振ったほうがいいに決まってる。それを失念しちゃうようじゃだめだよね。
「それと降る時だが、上下左右まずはまっすぐ振ることを意識しろ。斜め切りはそれができた後からだ。」
「え、なんで?」
「今は木剣だからまだいいが、実際の剣は刃が付く。さっきのキオの振り方じゃ刃がちゃんと相手にまっすぐ入っていかないから、すぐ流されるぞ。木剣だって一応は刃もどきを付けてるからな?」
「あ、なるほど、それで全然駄目だったんだね。」
「まぁそれだけじゃないが、そういう基礎が大事ってことだ。ほら、まっすぐ盾にまずは降ってみろ。」
「うん!」
いわれるままに木剣をまっすぐ前に構えて、頭の上に振りかぶり、何もない場所にだけどまっすぐ叩き落す。
「刃の向きは悪くはない。片足を前に出して、足を曲げて、もう少し体の重心を低く。」
「はい!」
そろえてた右足を前に出して少し曲げて、体の重心を下に落とす。刃の向きは悪くないらしかったから、さっきと同じように振り下ろした。
「いいぞ。縦ぶりはそれだけできればこのあたりのなら仕留められるだろ。次は横降りだ。」
「はい!」
あぁそういえばこれって戦闘するための訓練になるんだよね。そのうち魔物と戦うんだろうか。ちょっと不安と楽しみが混ざるけど、今悩んでもしょうがない。
そういえばいつの間にかちゃんと教官ぽく教えてもらってるからか返事がハイになっちゃってたけど、ガロは時に気にするような感じはなくそのまま横降りの仕方の練習に入った。
「え、えっと、これは?」
「見ての通り木剣だ。いや、見たことなかったか?」
「実物を見るのは初めてというところかな。ってそうじゃなくって、これで何するのって意味なんだけど。」
「これからキオには近接戦闘を覚えてもらう。つっても簡単な剣の振り方くらいしか教えられないけどな。俺も基礎は学んだが結局今は我流に振ってるからな。」
「うっ、いきなり剣の練習ってこと?まぁやるけどさ、Gランクになるのとどういう関係があるの?」
断れない雰囲気だけど、こういうことはできればなんでやるのかを知っておきたい。別にそうしないと真剣にできないってわけじゃないけど、聞いてた方が取り組みやすいのは確かだ。
「あぁ、ランクHからGに上がるには2つの方法がある。一つは実践経験だ。実際の戦闘というだけの意味じゃなく、ギルドで定めた仕事をこなすということだな。で、もう一つが魔法と近接の能力証明だ。すでにキオはじじいに魔法の証明してるからな。あとはあれがしっかり使えるところをもう一度俺にでいいから見せてくれればいい。んで、近接のほうを並みでいいからできるようになればすぐにGランクにできるってわけだ。」
「あー、なるほど?それでガロが基礎を教えてくれるってことなのね。」
「そうだ。剣は、握ったことはないよな?」
「うん、ないね。おもちゃの剣なら子供のころに振りましたことあるけど。」
なつかしい、確か京都だったか、つい少ないお小遣いで衝動買いして買って二日で飽きちゃったっけ。そういえばあのおもちゃいつの間にか見なくなってたけど、どこに行ったんだろう。ただもう見ることはないんだろうな。
「そうか、じゃあとりあえず何でもいい。俺に向かって振ってみろ。」
「え、えぇ?」
「大丈夫だ。お前がすさまじい剣の腕でもなきゃ全部受け止められるからな。むしろ今このためしてる間に俺の体に一発でも当てたら何でも言うこと聞いてやるよ。」
「・・・いったね?」
人間の時と違って体は軽い。真面目に剣を振ったことなんてないけど、体に一発当てるくらいならもしかしたらいけるかもしれない。特に初めの一発目、今完全に油断してるこの瞬間に、右手に持った木剣をガロに向かって思い切り振りぬいた。
ゴンッと鈍い音がした。かなり力を入れてふるったのに、あっけなくガロの体からは全然遠いところで防がれてしまった。
「意外といい振り抜きじゃないか。ほら、どんどんこい!」
「油断してそうだから行けると思ったのに!」
そこから僕は一心不乱に木剣を振るけど、どんなに振っても木剣の先でチョンとつつくようにあっけなく止められたり、そらされたりして、ガロの体に当てるどころか木剣の真ん中より下にさえ当てられなかったと思う。
「よし、そこまで。まぁ初めてにしてはというところか。」
「はぁ、はぁ、ちょっと息切れたけど、まだやれるよ?」
まだ剣当てを習おうとする僕を見てにやりとちょっと不気味に笑って言い放った。
「あぁ、ここからはまじめに剣の基礎だ。徹底的にやるぞ?」
「ひ、ひぇ、お、お手柔らかに。」
「そう怖がるな。まずは持ち方だ。確かに片手で持って振ると機転聞かせやすくなるが、やはり剣の速度も威力も落ちる。両手で持つんだ。」
「あ、そっか、確かにそうだね・・・」
むきになって片手でずっと振り回してたけど、いくら軽い木剣といえど両手で持って振ったほうがいいに決まってる。それを失念しちゃうようじゃだめだよね。
「それと降る時だが、上下左右まずはまっすぐ振ることを意識しろ。斜め切りはそれができた後からだ。」
「え、なんで?」
「今は木剣だからまだいいが、実際の剣は刃が付く。さっきのキオの振り方じゃ刃がちゃんと相手にまっすぐ入っていかないから、すぐ流されるぞ。木剣だって一応は刃もどきを付けてるからな?」
「あ、なるほど、それで全然駄目だったんだね。」
「まぁそれだけじゃないが、そういう基礎が大事ってことだ。ほら、まっすぐ盾にまずは降ってみろ。」
「うん!」
いわれるままに木剣をまっすぐ前に構えて、頭の上に振りかぶり、何もない場所にだけどまっすぐ叩き落す。
「刃の向きは悪くはない。片足を前に出して、足を曲げて、もう少し体の重心を低く。」
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「いいぞ。縦ぶりはそれだけできればこのあたりのなら仕留められるだろ。次は横降りだ。」
「はい!」
あぁそういえばこれって戦闘するための訓練になるんだよね。そのうち魔物と戦うんだろうか。ちょっと不安と楽しみが混ざるけど、今悩んでもしょうがない。
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