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第一章
初素振りの後
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「ぜぇ、はぁ、ちょ、ちょっと、もう無理・・・」
「そうだな、このあたりで休憩にするか。」
多分時間にしたら3,4時間くらいは永遠と木剣を振ってたんじゃないだろうか、いや、長く感じただけでまだそんなには立ってないのかもしれないけど、とにかく素振りをずっとやらされていた。
特に横降りはどうにも軸がずれてるらしく何度もやり直しを言われて、ようやく及第点といわれてからが長かった。さっきの縦ぶりと今の横降り合わせて100回ずつ同じように振ってみろって、さすがに大きくないしそれほど重くもなかった木剣だけど、それだけ降ったらもう持ってるのもしんどくていったん木剣を床に降ろしておく。
「今は素振りだぞ。このくらいで音を上げるようじゃ、さすがにまだ森の魔物との実戦はきついかもな。」
「そうはいっても、そもそも剣を振り慣れてないからね・・・」
まだ座り込んではいないけど、ほんとは体を立たせ続けたい気分じゃなかったけど、ガロがちょっと残念そうでそんなこというから無理に立ってるような状態だ。
「それはわかってる。だから訓練あるのみだろ。休憩したら次は実際に的に当ててみるんだ。用意はしておくからな。」
「ん、ありがとう、でも用意はしておくってどういうこと?」
「俺は役員として書類仕事もしないといけないからな。そろそろ戻ってそっちを片付けないと、役員でいる期間が長くなっちまう。」
僕のために魔法の時に使った的じゃなく、2つの丸太で作られた十字の的を取り出して用意してくれながら、ちょっと悲しげにそう話してくれた。
「なるほど、じゃあガロは戻るんだね。」
「そうだな。的はこれで大丈夫だ。俺が打ち込んでも倒れたりしないくらいにしておいた。人とはあまり似てないが、これを人だと思って打ち込むといい。この辺が肩、この辺が胴、あとはこの辺が首とか思ってな。」
十字の的をさしながら人だと思って打ち込めっていうけど、普通魔物相手にするなら人相手だと仮定するのはちょっと違うような気もするんだけど、聞いてみるか。
「なんで人相手を想定するの?魔物相手じゃないの?」
「確かに戦うのは魔物相手のほうが多いだろうな。だが魔物は個体によって四足だったり、植物だったり、飛んでる鳥だったりとまちまちだ。俺たち人は二足の形は同じで、一応人と戦う可能性だってある。種族の違いで身長差は結構あるけどな。」
「うーん、まぁそういうもんだと思っておくよ。」
「各魔物別の大まかな特徴をとらえた的もあるっちゃあるが、それは魔物討伐に行く前にやるぞ。今はこの的でだ。試験も人相手だからな。おそらくじじいが剣のほうをやるだろ。」
あのビャクラクさんともしかしてガロとやったような打ち込みをやるってこと?
「それって、大丈夫なの?」
「あー、どうだろうな。じじいは結構用者ねぇから、打ち込まれてきたら防御できるようそっちの練習もしないとな。」
あ、心配されるのは僕の方なんだ。僕は一応そこそこの年齢なんだろうと思ってたからそっちの心配をしたんだけど、杞憂だったみたいだな。
「それじゃあその時に一緒に魔法の成果もビャクラクさんに見せることになりそうだね。」
「あー、それもそうだな。俺が見てやればいいと思ってたが、そこもじじいがやった方が贔屓せず見てくれるだろうからな。俺も贔屓するつもりはないが、無意識にそうしちまうかもしれねぇ。」
うーん、今の素振り訓練からしても贔屓するつもりがないのは伝わってきたんだけど、もしかしてこれでも優しかったりするんだろうか?
「まぁとにかくだ。明日もう一度見せてもらうつもりだが、今日はこっちの仕事が終わるまでは帰れねぇ。先に帰っててもいいし、そうじゃないならここで待っててくれよ?」
「うん、わかった。訓練して待ってるよ。」
「魔法訓練だけじゃなく、ちゃんと剣の訓練もな?」
「わかってる、ちゃんとやるよ。」
ちょっとだけ魔法訓練の方を優先しちゃおうって考えを読まれたんだろうか?いや、そんなことはないかな?僕が魔法のほうが楽しみにしてたからそっちにかまけるのを心配したんだろう。
しばらくやすんでいたけれどガロが行っちゃって静かになったのもあって、少し寂しくなってくる。体のほうももういけそうだし、気晴らしにまずは魔法訓練!いや、ちゃんと剣のほうも後でやるけど。
昨日もやったから覚えている。水の粒を手の前に集めるイメージを浮かべながら集中する。とにかく礫一つ部分小さくてもいいからと集中する。
「ウォーターバレット!」
気合を入れて技を叫ぶと両手の目の前に昨日と同じくらいの大きさの水の粒が出てきた。でもちゃんと宙に浮いてるし、このまま発射する!
「ウォーターバレット、発射!」
水の粒はやっぱり上下左右に揺れながら、僕が狙ってた丸太のクロスしてる部分からはだいぶずれて、さっきガロが首だと思えと指さしてた場所に命中した。
「はぁ、ふぅ、まぁまだ2回目だし、こんなもんだよね。」
昨日と違って意識してたから座り込むことはなかったけど、さっきの素振りの疲労がまた蒸し返すようだ。こりゃ先に魔法訓練したのは失敗だったかもしれない。もう一発やろうと思ってたけど、木剣の的あてに切り替えるか・・・
「そうだな、このあたりで休憩にするか。」
多分時間にしたら3,4時間くらいは永遠と木剣を振ってたんじゃないだろうか、いや、長く感じただけでまだそんなには立ってないのかもしれないけど、とにかく素振りをずっとやらされていた。
特に横降りはどうにも軸がずれてるらしく何度もやり直しを言われて、ようやく及第点といわれてからが長かった。さっきの縦ぶりと今の横降り合わせて100回ずつ同じように振ってみろって、さすがに大きくないしそれほど重くもなかった木剣だけど、それだけ降ったらもう持ってるのもしんどくていったん木剣を床に降ろしておく。
「今は素振りだぞ。このくらいで音を上げるようじゃ、さすがにまだ森の魔物との実戦はきついかもな。」
「そうはいっても、そもそも剣を振り慣れてないからね・・・」
まだ座り込んではいないけど、ほんとは体を立たせ続けたい気分じゃなかったけど、ガロがちょっと残念そうでそんなこというから無理に立ってるような状態だ。
「それはわかってる。だから訓練あるのみだろ。休憩したら次は実際に的に当ててみるんだ。用意はしておくからな。」
「ん、ありがとう、でも用意はしておくってどういうこと?」
「俺は役員として書類仕事もしないといけないからな。そろそろ戻ってそっちを片付けないと、役員でいる期間が長くなっちまう。」
僕のために魔法の時に使った的じゃなく、2つの丸太で作られた十字の的を取り出して用意してくれながら、ちょっと悲しげにそう話してくれた。
「なるほど、じゃあガロは戻るんだね。」
「そうだな。的はこれで大丈夫だ。俺が打ち込んでも倒れたりしないくらいにしておいた。人とはあまり似てないが、これを人だと思って打ち込むといい。この辺が肩、この辺が胴、あとはこの辺が首とか思ってな。」
十字の的をさしながら人だと思って打ち込めっていうけど、普通魔物相手にするなら人相手だと仮定するのはちょっと違うような気もするんだけど、聞いてみるか。
「なんで人相手を想定するの?魔物相手じゃないの?」
「確かに戦うのは魔物相手のほうが多いだろうな。だが魔物は個体によって四足だったり、植物だったり、飛んでる鳥だったりとまちまちだ。俺たち人は二足の形は同じで、一応人と戦う可能性だってある。種族の違いで身長差は結構あるけどな。」
「うーん、まぁそういうもんだと思っておくよ。」
「各魔物別の大まかな特徴をとらえた的もあるっちゃあるが、それは魔物討伐に行く前にやるぞ。今はこの的でだ。試験も人相手だからな。おそらくじじいが剣のほうをやるだろ。」
あのビャクラクさんともしかしてガロとやったような打ち込みをやるってこと?
「それって、大丈夫なの?」
「あー、どうだろうな。じじいは結構用者ねぇから、打ち込まれてきたら防御できるようそっちの練習もしないとな。」
あ、心配されるのは僕の方なんだ。僕は一応そこそこの年齢なんだろうと思ってたからそっちの心配をしたんだけど、杞憂だったみたいだな。
「それじゃあその時に一緒に魔法の成果もビャクラクさんに見せることになりそうだね。」
「あー、それもそうだな。俺が見てやればいいと思ってたが、そこもじじいがやった方が贔屓せず見てくれるだろうからな。俺も贔屓するつもりはないが、無意識にそうしちまうかもしれねぇ。」
うーん、今の素振り訓練からしても贔屓するつもりがないのは伝わってきたんだけど、もしかしてこれでも優しかったりするんだろうか?
「まぁとにかくだ。明日もう一度見せてもらうつもりだが、今日はこっちの仕事が終わるまでは帰れねぇ。先に帰っててもいいし、そうじゃないならここで待っててくれよ?」
「うん、わかった。訓練して待ってるよ。」
「魔法訓練だけじゃなく、ちゃんと剣の訓練もな?」
「わかってる、ちゃんとやるよ。」
ちょっとだけ魔法訓練の方を優先しちゃおうって考えを読まれたんだろうか?いや、そんなことはないかな?僕が魔法のほうが楽しみにしてたからそっちにかまけるのを心配したんだろう。
しばらくやすんでいたけれどガロが行っちゃって静かになったのもあって、少し寂しくなってくる。体のほうももういけそうだし、気晴らしにまずは魔法訓練!いや、ちゃんと剣のほうも後でやるけど。
昨日もやったから覚えている。水の粒を手の前に集めるイメージを浮かべながら集中する。とにかく礫一つ部分小さくてもいいからと集中する。
「ウォーターバレット!」
気合を入れて技を叫ぶと両手の目の前に昨日と同じくらいの大きさの水の粒が出てきた。でもちゃんと宙に浮いてるし、このまま発射する!
「ウォーターバレット、発射!」
水の粒はやっぱり上下左右に揺れながら、僕が狙ってた丸太のクロスしてる部分からはだいぶずれて、さっきガロが首だと思えと指さしてた場所に命中した。
「はぁ、ふぅ、まぁまだ2回目だし、こんなもんだよね。」
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