そこは獣人たちの世界

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第一章

特訓帰り

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結局かなり日が傾くまでたっぷり訓練してヘロヘロになりながらの帰り道、淡い期待を抱きながらも聞いてみた。

「ねぇ、あの剣受けの訓練の時の話って、僕をあおるための話だったんだよね?」

「ん?夜の話か?いや、大マジだな。」

「う、やっぱそうなの?でももう僕ヘロヘロなんだけど。」

まだ日は傾いてないけど、早ければ夕飯を作り始めているくらいの時間だ。切り上げたのは僕がヘロヘロで帰る足が遅くなりそうだからって理由だったし。実際今の僕は歩きがかなり遅い。

「確かにだいぶきてるみたいだが、ゆっくり風呂に入ればすぐよくなるだろ。」

「え、それってお湯につかった後にやるって話?」

「そうだ、もちろん部屋でな。」

「ん?それだとそのあとどうするの?」

「もう一回は入ればいいだろ?」

当たり前のことをという顔をされるけど、疲れをとるためにお風呂に入って、その後また疲れるし洗わなきゃいけないしってことするってのがあれだよね。

「ねぇ、今日はやめておかない?夕飯に鶏のから揚げもつくるしさ。明日もう少し楽な訓練にして、そのあとでならまぁ、しょうがないから甘んじて受けるよ。」

「何言ってるんだ。明日も打ち込む訓練をするぞ?」

「うぇ!?まじ!?それならなおさら・・・」

「いや、昨日だって今日の討伐をこなすために我慢したんだ。今日もお預けはきついぜ?まぁ鶏のから揚げはくいてぇけどな。」

「はぁ、まぁ夕飯はから揚げでもいいけど、全部入れてしかもちょっと痛いかもしれないことするんでしょ?それ明日に響きそうだよ?」

「響いてるようだと、王都に行った後がきついぞ?」

う、そっか。今訓練がきついのは完全に僕の王都行きが決定したからなんだ。初めの依頼書には明確に僕の同伴について書かれてなかったけど、ビャクラクさんから返事のことを聞いた次の日に依頼不備の謝罪文がとどいた。
ただ謝罪文とともにパートナー同伴の元できうる限り早く王都に到着すること。王都のギルドにて謝礼として王都への転移石5個と可能なものなら要求品を受け渡すと記載されていた。

「王都には、やっぱり早めに転移石で行くの?」

「そのつもりだからここでこうして訓練している。徒歩や馬車の乗り継ぎで行くとなるとすさまじい時間がかかるからな。それに道中の街にあまりよりたくはない。万が一もとのっ姿に戻ったらな?」

「まぁ、それを考えるとそうだよね。でも王都についた後もずっとってわけにはいかないでしょ?」

「いや、王都には王都用の俺の家がある。ここほど広くはないが、風呂もちゃんとある。」

わお、さすがガロ。お金持ち。どれだけ稼いでるのってくらい気軽にお金使ってるもんね。なのに食事だけはあんまりお金使ってこなかってのが不思議。いや、冒険者としていろんな町に遠征依頼で旅をしていたみたいだし食事をとるのも大変だったのかな?


「そっか、でも王都についてからは夜のことで疲れたからって言えで休むのも難しいかもってことだよね?」

「まぁそういうことだ。それに王都にいる間はまだいいが、そのあとおそらく遠征依頼か遠征任務を入れられるだろうな。そうなったとき遠征先の街次第では徒歩か馬車乗り継ぎになる。できない夜も多くなるから、元の姿に戻る危険性も高まる。」

「さすがに人前で元の姿に戻ったらやばいよね。」

「だからだ、俺のをすべて入れてたっぷり注いでおく。そうすると時間は増えるみたいだからな。もちろん、俺がそれをしたいって気持ちのほうが強いんだけどな。」

「こ、こういう話を外でしてると思うとかなり恥ずかしいけど、まぁ注がれた分だけ長くなるっぽいよね。」

歩きながらだし、そんな大きな声なわけじゃないし、具体的に言ってるわけじゃないし、そもそも夕食の時間時なせいかほぼ道行く人はいないけど、外で堂々とする話でもない気はする。

「確かに、外でするべき話ではなかったな。家に帰ってゆっくりとするか。で、夕飯から唐揚げなのか?」

「うん、そのつもり。まだまだ鶏肉買ってきてもらった分あるしね。味付けは似たような感じになっちゃうけど、いいよね?」

「かまわないぜ?十分うまかったからな。」

ほんとは醤油ベースに味付けで来たら一番だけど、肝心のしょうゆどころか大豆もまだ見てないからな。王都に行ったら見つかるといいんだけど。やっぱ唐揚げにはそういう下味をつけた方がいい気がする。
ないものねだりしてもしょうがないからコンソメで味付けして揚げるとしよう。あれもあれでおいしかったし。
から揚げ決定の話をしたからか、僕に合わせてゆっくり歩いていたガロが心なしかそわそわとし始めて足取りが早くなっていく。やば、この速さは今はきついかもしれない。

「が、ガロ、ちょっと、はやい。」

「ん、あ、あぁ、わるい。いや、このくらいでへばってるようじゃだめだな。」

「うへぇ。」

結局その速さであるかされてさらにばて気味で家まで到着した、これから唐揚げ作るのか。足が重くてだるいよ。高い椅子でもあれば座りながら揚げれただろうに。まぁこれも特訓の一つだと思って頑張るか。
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