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第二章
*リヴァイアサン戦 中編
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ドラドの作った浮島から魔素纏いで足を強化し一気に飛んでいく。地上なら楽にできることだが、水上をけって飛ぶときがかなり危ない。水面が凪いでいるならある程度問題なく飛べるが、当然俺とカレントが踏めば波が立つし、あの巨体のリヴァイアサンが水面に顔を出しても波が立つ。今回はさっきの下見で見た限りせいぜい5回が限界だ。
「行くぞガロ!ウォーターアロー!」
まずはカレントがリヴァイアサンをおびき出す。水矢の魔法が海中にまで深く突き刺さっていくと、けたたましい声とともに海面に顔を出してくる。少しおちょくるだけですぐ怒るからこそ、近くの海面を通った船を無差別に襲う危険な魔物ともいえる。
もちろんただいかって顔を出しただけではない。体の周りに水球をいくつも出していて、それが大まかにこちらに飛んでくる。当たりそうなのを俺は剣でそらし、カレントは自分の周りにも似たように水球を出して防いでいる。
無差別的に撃ってるように見えて、空中というほとんど動けない俺たちが下手によけようとすれば他のに当たるように打ち込んでる。さっきはまっすぐにしか来なかったのに、学習してるやつだ。
「姑息なことしてきやがるなぁ。前見た個体よりも頭いいんじゃないかこいつ?」
「そうだな。俺たちを見てるばかりではない。キオとドラドのほうにも目を言っている。もっとも、そこが狙い目だが!」
一気にリヴァイアサンの胴体に落ちていき手持ちの体験で一閃したらすぐに海面をけり離脱する。といってもドラドの浮島の時ほどは空に上がれていない。魔物さえいなければ跳躍距離がなくてもいいが、万が一にもリヴァイアサンの前で高い波に足を取られたら終わりだ。
跳躍距離が低いと見るや、俺に切られて痛みの叫びをあげながらもしなる首を俺のほうにとむけて、口から水のブレスを吐いてくる。剣でそらすこともできるが体勢が崩れるのを気にしてくれたのか、すぐにカレントが反撃する。
「オレのより威力があるか?化身!水龍砲!」
カレントの水龍砲とブレスがぶつかり合ったが、ブレスが押し負けてリヴァイアサンの顔面に龍の形の水の塊がぶつかる。少し痛みを得たようなうめきをあげたが、すぐに持ち直してカレントを睨むところを見るとやはり水は効きづらいな。
「カレントを見てる場合か?」
剣の重みを利用しつつリヴァイアサンに再度近づき、また切り裂く。紫色の血が吹き出すが、これでも軽傷レベルだ。俺とカレントともに二回目の海面跳躍今回はさっきよりもさらに低いが確実に離れる。完全に俺たちに意識が向いてるが、そろそろ下がらせてもらおう。
キオのほうからサンダーショットが飛んでくると、魔物の感なのかすぐに気がついて深く水に潜る。潜る速度が遅くなるほどに痛めつけたら俺の雷を直撃させればいい。3,4回目の跳躍でドラドの浮島にと戻ってくる。
「こっちには来なさそうか?」
「どうだろうな、いつ近づいてきてもおかしくはない。だがこれの近くでは地の利がこちらにあると気づくだろう。ブレスも先ほどふせいで見せたしな。」
「それってリヴァイアサンがガロ達のことを学習し始めてるってこと?大丈夫なの?」
「問題ねぇよ。ただまぁちんたら休むわけにもいかねぇ。すぐ3回目いくぞ!」
「わかっている。」
浮島は足を休める一瞬いるだけだ。ここを狙われてもドラドとキオだけだと防げるかは怪しい。俺たちがいる間なら問題ないが、俺たちがいすぎると学習していない間に狙ってくるかもしれない。
もっとも、いない間に狙わせるようなへまをするつもりはない。飛び出して先ほどと同じようにカレントが水矢で誘い出すとあっけなく顔を出す。だがさっきまでと違いやはり少しキオの方向にも意識が行ってるのがうかがえる。
「あっちの雷が気になるかぁ?よっぽど食らいたくねぇみたいだなっ!」
「そのすきは命とりだぞ。気になるなら顔を出さなければいいんだ。」
そのすきを俺たちが逃すはずもない。俺が切り裂き、カレントは殴り掛かる。相変わらず武器を持っていないのか。魔法と拳だけで戦う。その鍛えた肉体よりも魔法重視なところも変わらずだ。
血を吹き出し叫びをあげながらもリヴァイアサンは今度は大きな尾を俺たちのほうへと振りかぶってくるが、海面跳躍であっけなくさける。だがさらに水球を作り出しこちらに打ち出してくる。もちろん俺は剣でそらし、カレンとも同じ水球でそらしている。
とはいえやはり学習してきている。前のリヴァイアサンとは格が違うようだ。まぁ湖に唐突にわいたような個体と海の奥から来た個体を同一視する方が問題なんだが。
「まだまだ弱ってねぇなぁ。一回くらいガロの雷ぶち込んでおくべきじゃねぇか?武器に纏わせれば当てられるだろ。」
「それこそ警戒されるだろ。それでこの海域から逃げればいいが、仕留めきったほうが安心だ。確実に弱らせていこう。」
「ちっ、わかってる、ちょっといってみただけだ。水龍砲は打ち込んでもいいよな?」
「お前な・・・まぁそれはすきを見て打ち込むのはいいが、その後のブレスに気をつけろよ?連発できないんだからな。」
「それもそうなんだよなぁ、効き目も薄いしよ。オレの仕事はガロの支援ばかりで攻撃面では役立てねぇからな。」
確かに火力面では拳ではやはり少し威力不足、魔法も水で相性が悪い。だが俺とカレントで気を引きあわせてるからこそどっちを狙うかをリヴァイアサンが決め切れていない。そこにキオのサンダーショット。ほんとこいつはなんで少し水矢で煽ると出てくるんだろうな。キオのサンダーショットでそのまま元の海域に戻ってくれれば俺たちも苦労せずに済むんだが。
「行くぞガロ!ウォーターアロー!」
まずはカレントがリヴァイアサンをおびき出す。水矢の魔法が海中にまで深く突き刺さっていくと、けたたましい声とともに海面に顔を出してくる。少しおちょくるだけですぐ怒るからこそ、近くの海面を通った船を無差別に襲う危険な魔物ともいえる。
もちろんただいかって顔を出しただけではない。体の周りに水球をいくつも出していて、それが大まかにこちらに飛んでくる。当たりそうなのを俺は剣でそらし、カレントは自分の周りにも似たように水球を出して防いでいる。
無差別的に撃ってるように見えて、空中というほとんど動けない俺たちが下手によけようとすれば他のに当たるように打ち込んでる。さっきはまっすぐにしか来なかったのに、学習してるやつだ。
「姑息なことしてきやがるなぁ。前見た個体よりも頭いいんじゃないかこいつ?」
「そうだな。俺たちを見てるばかりではない。キオとドラドのほうにも目を言っている。もっとも、そこが狙い目だが!」
一気にリヴァイアサンの胴体に落ちていき手持ちの体験で一閃したらすぐに海面をけり離脱する。といってもドラドの浮島の時ほどは空に上がれていない。魔物さえいなければ跳躍距離がなくてもいいが、万が一にもリヴァイアサンの前で高い波に足を取られたら終わりだ。
跳躍距離が低いと見るや、俺に切られて痛みの叫びをあげながらもしなる首を俺のほうにとむけて、口から水のブレスを吐いてくる。剣でそらすこともできるが体勢が崩れるのを気にしてくれたのか、すぐにカレントが反撃する。
「オレのより威力があるか?化身!水龍砲!」
カレントの水龍砲とブレスがぶつかり合ったが、ブレスが押し負けてリヴァイアサンの顔面に龍の形の水の塊がぶつかる。少し痛みを得たようなうめきをあげたが、すぐに持ち直してカレントを睨むところを見るとやはり水は効きづらいな。
「カレントを見てる場合か?」
剣の重みを利用しつつリヴァイアサンに再度近づき、また切り裂く。紫色の血が吹き出すが、これでも軽傷レベルだ。俺とカレントともに二回目の海面跳躍今回はさっきよりもさらに低いが確実に離れる。完全に俺たちに意識が向いてるが、そろそろ下がらせてもらおう。
キオのほうからサンダーショットが飛んでくると、魔物の感なのかすぐに気がついて深く水に潜る。潜る速度が遅くなるほどに痛めつけたら俺の雷を直撃させればいい。3,4回目の跳躍でドラドの浮島にと戻ってくる。
「こっちには来なさそうか?」
「どうだろうな、いつ近づいてきてもおかしくはない。だがこれの近くでは地の利がこちらにあると気づくだろう。ブレスも先ほどふせいで見せたしな。」
「それってリヴァイアサンがガロ達のことを学習し始めてるってこと?大丈夫なの?」
「問題ねぇよ。ただまぁちんたら休むわけにもいかねぇ。すぐ3回目いくぞ!」
「わかっている。」
浮島は足を休める一瞬いるだけだ。ここを狙われてもドラドとキオだけだと防げるかは怪しい。俺たちがいる間なら問題ないが、俺たちがいすぎると学習していない間に狙ってくるかもしれない。
もっとも、いない間に狙わせるようなへまをするつもりはない。飛び出して先ほどと同じようにカレントが水矢で誘い出すとあっけなく顔を出す。だがさっきまでと違いやはり少しキオの方向にも意識が行ってるのがうかがえる。
「あっちの雷が気になるかぁ?よっぽど食らいたくねぇみたいだなっ!」
「そのすきは命とりだぞ。気になるなら顔を出さなければいいんだ。」
そのすきを俺たちが逃すはずもない。俺が切り裂き、カレントは殴り掛かる。相変わらず武器を持っていないのか。魔法と拳だけで戦う。その鍛えた肉体よりも魔法重視なところも変わらずだ。
血を吹き出し叫びをあげながらもリヴァイアサンは今度は大きな尾を俺たちのほうへと振りかぶってくるが、海面跳躍であっけなくさける。だがさらに水球を作り出しこちらに打ち出してくる。もちろん俺は剣でそらし、カレンとも同じ水球でそらしている。
とはいえやはり学習してきている。前のリヴァイアサンとは格が違うようだ。まぁ湖に唐突にわいたような個体と海の奥から来た個体を同一視する方が問題なんだが。
「まだまだ弱ってねぇなぁ。一回くらいガロの雷ぶち込んでおくべきじゃねぇか?武器に纏わせれば当てられるだろ。」
「それこそ警戒されるだろ。それでこの海域から逃げればいいが、仕留めきったほうが安心だ。確実に弱らせていこう。」
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