そこは獣人たちの世界

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第二章

パスタとイカリング

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丸々では触ったことのなかったイカとタコの下処理は終えたので、次は帆立の下処理だ。貝は貰い物で一度さばいたことがある。といっても不安はあるのでスマホで確認はする。
まず一番初めの下処理はガロの雷撃だ。ここだけは確実に元の世界ではない処理方法だよね、魔法だし。あ、でも電気での寄生虫処理なら元の世界にもあったのかな?今調べることじゃないけど。
貝の表面をしっかり洗ってから口にナイフを入れて端から端まで切りこんで、まず開く。次に下側も切って貝から中身を取り出す。貝柱周りのヒモって部分と生殖器を取り除く。今日は使わないので瓶箱行き。黒いうろって部分はスライムごみ箱へポイ。貝が大きめで中身も大きいけど、量は必要だからなかなかに手間がかかった。

「うーん、オリーブオイルがあったらよかったんだけど。」

「おいおい、あれはかなり高いぞ。別に買えなくもないんだが、見たときには別にいいやって言ってただろ。」

「さすがに焼くために敷いたりする油にあの値段はもったいないと思って。でも魚貝系には合うんだよねぇ。」

「はぁ、そんなことだろうと思った。ほら、一本だけあるぞ。」

ドンとポーチから出したのは確かにエレプスさんのところで見たオリーブオイルと同じ瓶だ。いつの間にかってくれてたんだろう?ずっと一緒にいたと思ったんだけど、気づかかなかった。

「いつの間にかってたの!?使っていいの?」

「あぁ、そのために買ったからな。」

「ありがとうガロ。」

3つの海の幸の下ごしらえを終えていよいよ調理開始。まずはパスタのための準備、もちろん乾燥パスタなんてこったものはないのでこの場で手作りだ。こっちの粉には強力粉を使う。今回は細麺にした。
タコと帆立はちょっと肉厚にスライスしつつ上から大葉と刻んでかける。そしてガロが買ってくれていたオリーブオイルもかけていく。ほんと感謝だ、これで良いマリネができる。
マリネの味をしみこませてる間にイカに手を付ける。胴体を輪切りに、頭は半分にヘラのような部分は3等分に切るだけで済ます。塩コショウで下味をつけたら軽く小麦粉をまぶした後、卵、牛乳、小麦粉で作ったバッター液と作っておいたパン粉をまぶす。小麦粉というかこれは王都で買った薄力粉だ。
前は強力粉しかなかったけど、たまたま買い足した分は薄力粉だった。セリーヌの町のと違う物を王都で買ったとはいえ、そこまで違って良いんだろうか?いまさら気にしたってしょうがないし、どうやってわかったんだと騒がれそうだから指摘できもしないけど。
がっつり油の温度を上げるために火は強くしておいた。温度計とかほしいところだけど、こればっかりは感覚だ。まぁ前も感覚で作っちゃったけどうまくいったし大丈夫だろう。
イカを揚げている間にパスタの準備再開。こんどははニンニクを半分に切って火にかけていく。ここでもオリーブいるを使いたいところだけど、ちょっともったいない気がしたのでここはコーン油で代用。
柔らかくなって香りだって来たのでタコのゆで汁を混ぜ合わせて、そこにパスタ、タコ、帆立を投入。ソースを吸わせるように和えたらお皿に盛って、大葉をさらにちょっと振りかけて完成!唐辛子があったら完璧だったけどしょうがない。
イカリングのほうも浮かび上がってきていた。ジューッといういい音がしてる。良い感じのところでどんどんお皿に盛り付けていって完成!付け合わせのサラダはトマトとレタスを切ってお皿に盛るだけ。マヨネーズと胡椒があるから好みでかけてもらおう。

「お待たせ!出来上がりました!」

「ガロも運んでるのかよ!というか結構な量だな!」

「お前が前回かなり食べたんじゃないか?それにしても、パスタはわかるがそっちの茶色いのが気になるなんだ?」

「イカを揚げたものだそうだ。」

ドラドさんが指さす山盛りイカリングを適当に説明するガロ。揚げるって調理法自体はあるんだっけ?まぁ使の説明は必要だよね。

「イカリングって言います。とりあえず食べてみてください。合わなかったらガロと水竜がきっと食べてくれるので。味が足りなかったら好みでお塩、マヨネーズをつけて食べてください。ではいただきます。」

「あぁ、いただきますだな。」

「そういえばそんなことお前ら前もいてったな。いただきますか。ってかオレが食うのは前提かよ!まぁ食うんだけどな。」

「いただきます?不思議な言葉だが食事前の言葉か。」

なんとなくガロも習慣になってるいただきますがドラドさんにまで広がったところで、さっそくイカリングに手を伸ばす。歯を入れた瞬間、サクッとした歯ごたえの後にイカの味が広がる。うん、おいしい、かなり大成功。

「うまっ!なんだ、これ?これが前いてった揚げ物ってやつか。店で油で揚げたやつとは全然ちげぇじゃねぇか。うますぎるぞ!」

「・・・正直驚いた。特にマヨネーズを着けるとより濃厚な味わいになるな。これはうまい。」

「サクサクのうちにこれも食べてほしいけど、パスタのほうもそれぞれ山盛りにしちゃったんで食べてくださいね。」

なお僕の分のパスタは適量だ。ドラドさんにも山盛り持っちゃったけど大丈夫だろうか?まぁあの体格だしガロと水竜と一緒で結構食べるんだろうと予想したんだけど。

「あー、タコが入ってやがる。こっちよりも俺はこのイカリングだけ食っていたいぜ。」

「カレント、キオが作った料理だぞ?残したりすれば、分かってるだろうな?」

「いや、食うよ!食うからそんなににらむな!」

「まぁまぁ、ダメだったら残しちゃってもいいから。瓶箱に詰めて置けばまた食べれるでしょ?」

「まぁそうだが、こっちもうまいぞ?」

あっという間に半分ほどパスタを平らげているガロ、相変わらず早い。そんなガロを見てちょっと遅めにフォークでパスタを食べ始める。ちゃんとタコも一緒に食べてるところがすごいと思う。多分普通だったら苦手な食材はいってたらまずそれをよけて食べるもん。
ただ一口食べてもぐもぐとやっていると目を見開いて、二口目がいっぱいだったし早かった。どうやら気に入ってくれたらしい。よかった。ドラドさんのほうもちらっと見たけど、半分なくなってる、こっちもいつの間に。

「ガロ、もし可能ならでいいんだが、この後キオ君に料理を習ってもいいか?ここの延長料金がかかりそうなら自分が払う。」

「別にかまわないと思うが、俺はキオに教えてもらったやり方で料理しようとしてもうまくいかなかったからな。」

「・・・異能的な力なのか?8属性を持っているし、可能性はなくもないか。それなら今はやめておこう。ただよければレシピだけでも書いてくれると助かる。」

「それくらいでよければ全然書きますよ。」

「ありがとう、王都に戻ったら正式に依頼にしよう。」

え?ここで書くんじゃなく?さっきはここで習うって話だったのに。もしかしてそっちもあと後でしっかり依頼にするつもりだった?とにかくそれほどに気に入ってくれたってことだろう。よかったよかった。
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