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第三章
試験官との接触
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日が少し傾き始めたころにあたりの安全を確認したのち昼食、といってもゆっくりと歩きながらサンドイッチを食べるだけだからじっくり止まることはない。たまに気配は感じるけど遠くに歪角鹿の気配くらいで危険そうな気配はない。60人くらいは受験者いたはずなのにデミルさん以外にあってないし。
そう思ってたら人の気配を発見。残り一口のサンドイッチを口にほおり込んで、できるだけ僕の気配を消しながら見つけた人の気配にと近寄ってみる。木の陰から覗くと朝に見せてもらったようなふーをかぶっているけど、色が青い。配置されたひっかけ要因の教官か。一応接近してみよう。
「すいませんそこの人、この森は魔物もいて危ないですが、そんなフードをかぶりどこに行くのですか?」
「う、うわぁ!え、えっと、冒険者さん?よかった、護衛の冒険者とはぐれてしまったんです。」
驚くおぶりを見せつつ見事な演技だ。声色とあの胸からして雌なんだろうけど、フードのせいでナンのしゅじょくかわからない。本当にはぐれた人ではなく、そういう設定の教官なのは明らかだけど、こっちもきちんと対応しなきゃいけない。
「すいません、失礼でなければフードをとっていただいても?」
「あぁ、すいません!」
僕が顔見せを要求するのは冒険者とはぐれた、と言いながら実は窃盗犯の手下という可能性もあるからだ。実際の依頼だったら手下の種族特徴などを教えてくれることもあるので照らし合わせなきゃいけないこともある。
それに顔を隠しているっていうのは何かしら後ろ暗い理由があるか、魔物から気配を消す魔道具的な防具かの二択だ。まぁ前者でも気配を消す能力を持ってることは多いらしいけど、取ってほしいといわれてすぐにとるようなことはないだろうとガロが言ってた。つまりこの教官の人は手下設定ではないってことだ。
フードの下は猫種の人だった。この人、以前受付で見たことがある。やっぱり教官だったか。オドオドと演技してるけどおそらくこの森の魔物くらいは平気で倒せる実力があるはずだ。
「お手数おかけしました。実はこの森の賊が侵入した恐れがあるのです。その護衛の冒険者はほんとに冒険者でしたか?」
「え?そういえば、冒険者と名乗ってはいましたが、少し変だなとは思ったんです。お金に困っているといっても無償でいいといって、このフードも貸してくださって・・・」
「なるほど、その人もフードをしていませんでしたか?」
「えぇ、同じような青色のフードが3人と、緑色のフードが一人いました。」
つまり冒険者を装って森にと入り、この人も手下と思わせる。という設定なんだろう。まぁおおよその人がギルドからあっせんした人を護衛に雇うだろうけど、村の貧民だとそのお金もない可能性があるか。
「ご協力ありがとうございます。こちらは転移石です。王都の教会にと続いています。王都でギルドを頼るといいでしょう。被害者だと分かれば一時的な保護はしてもらえるはずです。」
「おぉ、ありがとうございます。と、いう感じのこともある、という試験だったのですが、お見事ですね。」
深々とお辞儀して転移石を受け取った、と思った次の瞬間にはきりっとした試験官の顔にと変わっていた。そして僕にと転移石を返してくれたので受け取りながら一応聞いておく。
「いえ、実際の依頼でもこういう可能性はないとも言えないんですよね?」
「こういうケースは少ないですが、可能性がないとは言い切れません。似たフードだと即襲い掛からないのはかなりの評価点ですよ。」
「点数制、なのですか?」
「秘密です。」
にっこり笑って秘密にされてしまった。まぁしょうがないか、一応の目標は窃盗犯の確保だ。このサブイベント的なのはどのくらい試験にかかわってくるのか不明だけど、ここで不合格にされなかっただけ良しとしよう。
「それでは、私は再びフード役に戻りますので。」
「あ、すいません、もう一つ質問しても?」
「どうぞ、試験官への質問は許可されています。同じ冒険者への質問と同意義ですからね。」
「なるほど、それで、とある冒険者から聞いたのですが、以前の試験のことらしいですけど森のすごい奥地でビッグフォレストベア二であったそうなのですが、遭遇する可能性はあるのでしょうか?」
「デミルさんですか・・・ただの奥地ではなく、別のダービスの森との境界線ですよ。あんな奥にまで一気に行ってしまう冒険者はなかなかいません。」
あぁ、どうやらなんかしらの失敗をしちゃったてたようだ。あからさまなあきれ顔だ。笑顔ばかりしかないようなギルド役員の顔らしくない顔だよ。そんな顔させちゃうんだもん。しかも名前覚えられてるし。
「なるほど、ダービスの森ですか。その、かなり奥、ですよね?」
「えぇ、5日間歩いてつくくらいの距離です。彼女は3日間走りたどり着いてしまったんですけれど、運悪く縄張りから外れたビッグフォレストベアに見つかり襲われただけです。」
「そ、そうですか、それ犯罪者役を見つける速度では、無いですよね?」
「隠れている相手に対して行おう行為では、無いでしょうね。もっと警戒してゆっくり練り歩いて探索するべきです。」
うん、それ多分監視されてたなら一日目の時点で不合格になってただろうな。もし監視されてるなら、危険になるまでは5日間あえて放置して生活できるか見定めるつもりだったんだろう。
「その森との境目の試験官が配置されていて彼女は助かったのですか?」
「・・・どうやらうすうす気づいているようですね。ガロさんの指導がいいのでしょうか?それとも直接聞きましたか?うまい質問をしてきますね。」
「えっと、どういう意味でしょう?」
ガロの名前を出されて、指導がいいのは確かだけど直接聞いたかどうかとかを言われてちょっと気を害して言葉が強くなってしまった。顔をゆがませなかったのは、くすぐり特訓のおかげかもしれないけど。
「おっと、すいません。出過ぎた言葉でした。お詫びいたします。境目には教官は配置していませんよ。」
「なるほど、ありがとうございます。こちらこそ申し訳ないです。」
「いえいえ、では、私はこれにて失礼いたします。」
いけないいけない。本番の試験の時にこれじゃいけない。今のも試験に含まれていなかっただろうか?ちょっと不安になってくる。でもいい情報も仕入れられた。やっぱり気配は感じないけど度かから教官によるある程度の監視はされてると思っていいだろう。ある程度は一つ一つの行動に注意して森での生活をしないとな。
そう思ってたら人の気配を発見。残り一口のサンドイッチを口にほおり込んで、できるだけ僕の気配を消しながら見つけた人の気配にと近寄ってみる。木の陰から覗くと朝に見せてもらったようなふーをかぶっているけど、色が青い。配置されたひっかけ要因の教官か。一応接近してみよう。
「すいませんそこの人、この森は魔物もいて危ないですが、そんなフードをかぶりどこに行くのですか?」
「う、うわぁ!え、えっと、冒険者さん?よかった、護衛の冒険者とはぐれてしまったんです。」
驚くおぶりを見せつつ見事な演技だ。声色とあの胸からして雌なんだろうけど、フードのせいでナンのしゅじょくかわからない。本当にはぐれた人ではなく、そういう設定の教官なのは明らかだけど、こっちもきちんと対応しなきゃいけない。
「すいません、失礼でなければフードをとっていただいても?」
「あぁ、すいません!」
僕が顔見せを要求するのは冒険者とはぐれた、と言いながら実は窃盗犯の手下という可能性もあるからだ。実際の依頼だったら手下の種族特徴などを教えてくれることもあるので照らし合わせなきゃいけないこともある。
それに顔を隠しているっていうのは何かしら後ろ暗い理由があるか、魔物から気配を消す魔道具的な防具かの二択だ。まぁ前者でも気配を消す能力を持ってることは多いらしいけど、取ってほしいといわれてすぐにとるようなことはないだろうとガロが言ってた。つまりこの教官の人は手下設定ではないってことだ。
フードの下は猫種の人だった。この人、以前受付で見たことがある。やっぱり教官だったか。オドオドと演技してるけどおそらくこの森の魔物くらいは平気で倒せる実力があるはずだ。
「お手数おかけしました。実はこの森の賊が侵入した恐れがあるのです。その護衛の冒険者はほんとに冒険者でしたか?」
「え?そういえば、冒険者と名乗ってはいましたが、少し変だなとは思ったんです。お金に困っているといっても無償でいいといって、このフードも貸してくださって・・・」
「なるほど、その人もフードをしていませんでしたか?」
「えぇ、同じような青色のフードが3人と、緑色のフードが一人いました。」
つまり冒険者を装って森にと入り、この人も手下と思わせる。という設定なんだろう。まぁおおよその人がギルドからあっせんした人を護衛に雇うだろうけど、村の貧民だとそのお金もない可能性があるか。
「ご協力ありがとうございます。こちらは転移石です。王都の教会にと続いています。王都でギルドを頼るといいでしょう。被害者だと分かれば一時的な保護はしてもらえるはずです。」
「おぉ、ありがとうございます。と、いう感じのこともある、という試験だったのですが、お見事ですね。」
深々とお辞儀して転移石を受け取った、と思った次の瞬間にはきりっとした試験官の顔にと変わっていた。そして僕にと転移石を返してくれたので受け取りながら一応聞いておく。
「いえ、実際の依頼でもこういう可能性はないとも言えないんですよね?」
「こういうケースは少ないですが、可能性がないとは言い切れません。似たフードだと即襲い掛からないのはかなりの評価点ですよ。」
「点数制、なのですか?」
「秘密です。」
にっこり笑って秘密にされてしまった。まぁしょうがないか、一応の目標は窃盗犯の確保だ。このサブイベント的なのはどのくらい試験にかかわってくるのか不明だけど、ここで不合格にされなかっただけ良しとしよう。
「それでは、私は再びフード役に戻りますので。」
「あ、すいません、もう一つ質問しても?」
「どうぞ、試験官への質問は許可されています。同じ冒険者への質問と同意義ですからね。」
「なるほど、それで、とある冒険者から聞いたのですが、以前の試験のことらしいですけど森のすごい奥地でビッグフォレストベア二であったそうなのですが、遭遇する可能性はあるのでしょうか?」
「デミルさんですか・・・ただの奥地ではなく、別のダービスの森との境界線ですよ。あんな奥にまで一気に行ってしまう冒険者はなかなかいません。」
あぁ、どうやらなんかしらの失敗をしちゃったてたようだ。あからさまなあきれ顔だ。笑顔ばかりしかないようなギルド役員の顔らしくない顔だよ。そんな顔させちゃうんだもん。しかも名前覚えられてるし。
「なるほど、ダービスの森ですか。その、かなり奥、ですよね?」
「えぇ、5日間歩いてつくくらいの距離です。彼女は3日間走りたどり着いてしまったんですけれど、運悪く縄張りから外れたビッグフォレストベアに見つかり襲われただけです。」
「そ、そうですか、それ犯罪者役を見つける速度では、無いですよね?」
「隠れている相手に対して行おう行為では、無いでしょうね。もっと警戒してゆっくり練り歩いて探索するべきです。」
うん、それ多分監視されてたなら一日目の時点で不合格になってただろうな。もし監視されてるなら、危険になるまでは5日間あえて放置して生活できるか見定めるつもりだったんだろう。
「その森との境目の試験官が配置されていて彼女は助かったのですか?」
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ガロの名前を出されて、指導がいいのは確かだけど直接聞いたかどうかとかを言われてちょっと気を害して言葉が強くなってしまった。顔をゆがませなかったのは、くすぐり特訓のおかげかもしれないけど。
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