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第三章
*逃げた教官
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思わず無意識に腕輪で受けてしまった。腕輪で受けなければキオ君のハンガーソードは壊れなかっただろう。まさか受験者の武器を壊してしまうとは、相手がよすぎて少しはしゃぎすぎた。いや、キオ君の魔素纏いに耐えきれなかった可能性もあるか。
だが、まさか腕輪が壊れるとは、今の一撃で壊れたのか。普通は直撃しても魔素纏いをしていれば壊れることはない。剣の魔素纏いがすごかったという証拠だ。不通にきられていたならば下手をすれば重傷だったのかもしれない。
「いや、キオ君、すごかったな。」
「・・・僕の、剣が。」
「ん?」
少し様子がおかしい。剣を見つめている。雷剣と呼ばれるガロさんの教えで何かあったんだろうか?剣からこちらにと目線が来る。いや、この感じは怒りだ。一見表情には出ていないが、目線に怒りを感じる。
「すいません、ガロに買ってもらった、初めての剣だったんです。無理させた僕にも原因はありますね。ひびが入った時点で降参するべきでした。その魔道具を壊すことに集中していたんです。」
「あ、あぁ、こちらがたきつけてしまったからな。」
さっきまでは確かにこちらが優位と感じていたが、今はそんなことは言えない。視線だけでも異様な威圧感がある。そして本人はおそらく取り繕って気づいていないのだろう。背後に8色の弾が浮かんでいる。
大きさは先ほどのガンの魔法ほどのものだろう。それぞれが基本属性の火、水、風、土、爆、氷、雷、樹の属性を持っているのはわかる。8属性もちとは聞いていなかった。しかも発動したことに気づかなかった。
いや、それだけならいい。普通3属や4属性を持つとされるものでも同時に3属性以上操れるとは聞いたことがない。2族持ちが2属同時にとは聞いたことがある。だが魔素の消耗が半端なく、威力的に使い物にならないと聞いていた。
だがキオ君の後ろで不気味にこちら歪な形の尖った先を向けるあの8つの弾は受けてはいけないと感じさせている。不正でも致命傷を負うだろう。下手をすれば、死すらあり得ると。
おそらくキオ君はトランス状態なんだろう。これ以上刺激するわけにはいかない。ガロさんから始めたもらった剣というのがこちらが思っている以上に特別なものだったということだろう。まだどこかで自分を保てている今のうちに落ち着かせるのが得策だ。
「とりあえず、君は完璧に合格だ。残り二日間サバイバルしてもいいし、王都に戻ってもいい。」
「わかりました、少しここにいます。後で転移石で飛びますがとりあえず自分のを使います。マーシャルさんはどうされるので?腕輪、壊してしまったでしょう?」
「一度王都に戻る。君の合格を報告するからな。では先に戻らせてもらう。」
ほぼ逃げるように転移石を使ってしまった。これでもAランクだ。それなりに強敵とも戦ってきた。リヴァイアサンのようなやばい個体とは戦ったことはないが、おそらくそれよりもやばいと思う。つまりガロさんはあれ以上ということか。末恐ろしいものだ。少し前まで同じAランクだったのが不思議なくらいに。
自分がSランクに到達することはなさそうだと実感しつつ、あの8色の異様な光景を思い出す。恐ろしくも美しい。あれならば虹弾と呼ぶのがふさわしそうだな。
そんなくだらないことを考えつつギルドにとつく。キオ君がいつ戻ってきて誰が受付してもCランクに昇格できるように手続きしなくてはいけない。そこで聞きたくない話を聞いてしまった。
「あぁ、キオ君ですか。たしかあの雷剣のガロさんのパートナー。確か貴族関連で無理やり三日前に呼び出されて帰ってきてないんですよね。」
「な、なんだと?それは問題ではないのか?Sランクの行方不明者など聞きたくないぞ。」
「自分だって考えたくないですよ。そんなのが起こったらSSランクの人以外に対応できないでしょうからね。まさかグランドマスターが出るわけにもいかないでしょうけど。」
もちろんそうなのだろうが、それをキオ君が聞いたらどうなるのかという不安があった。まさかとは思うがギルドで暴れたりはしないだろうな?自分が受付の時には帰ってきてほしくないものだ。
そんな風に考えていたのに日が暮れ始めた頃にキオ君がギルドにと来たことを伝えられる。そして自分が対応するようにと。結構な時間がたっているが、整理をつけてきてくれているだろうかと不安になっているところにサブマスターから追加の不安要素を伝えられる。
「それとキオ君にガロが拘束されている可能性があることを伝えてください。詳しくは私たちが話すのでマスタールームまで来るようにと。」
「あ、あの、拘束されている可能性があることもマスタールームで教えていただくことはできないですか?」
「何か問題でも?」
「実はキオ君が始めてガロさんから買ってもらったという剣を試験中に折ってしまったのです。」
「全くあなたは。戦闘狂なのはいいですが、受験生の武器を折るとは何事ですか?残り二日サバイバルの場合、予備の武器で戦うことになるかもしれないのですよ?」
「申し訳ありません・・・」
サブマスターに深々とため息をつかれた。相手の武器を壊すなど自分が試験外レベルの戦闘をしたと言っているようなものだからな。
「では、拘束されている可能性を伝えたうえでマスタールームに来るように伝えるように。」
「うっ、は、はい。」
断れる雰囲気ではなく気は全くのらないがキオ君に合格の正式通知と、ガロさんが拘束されてるかもしれないという話を通さなくてはいけなくなった。
だが、まさか腕輪が壊れるとは、今の一撃で壊れたのか。普通は直撃しても魔素纏いをしていれば壊れることはない。剣の魔素纏いがすごかったという証拠だ。不通にきられていたならば下手をすれば重傷だったのかもしれない。
「いや、キオ君、すごかったな。」
「・・・僕の、剣が。」
「ん?」
少し様子がおかしい。剣を見つめている。雷剣と呼ばれるガロさんの教えで何かあったんだろうか?剣からこちらにと目線が来る。いや、この感じは怒りだ。一見表情には出ていないが、目線に怒りを感じる。
「すいません、ガロに買ってもらった、初めての剣だったんです。無理させた僕にも原因はありますね。ひびが入った時点で降参するべきでした。その魔道具を壊すことに集中していたんです。」
「あ、あぁ、こちらがたきつけてしまったからな。」
さっきまでは確かにこちらが優位と感じていたが、今はそんなことは言えない。視線だけでも異様な威圧感がある。そして本人はおそらく取り繕って気づいていないのだろう。背後に8色の弾が浮かんでいる。
大きさは先ほどのガンの魔法ほどのものだろう。それぞれが基本属性の火、水、風、土、爆、氷、雷、樹の属性を持っているのはわかる。8属性もちとは聞いていなかった。しかも発動したことに気づかなかった。
いや、それだけならいい。普通3属や4属性を持つとされるものでも同時に3属性以上操れるとは聞いたことがない。2族持ちが2属同時にとは聞いたことがある。だが魔素の消耗が半端なく、威力的に使い物にならないと聞いていた。
だがキオ君の後ろで不気味にこちら歪な形の尖った先を向けるあの8つの弾は受けてはいけないと感じさせている。不正でも致命傷を負うだろう。下手をすれば、死すらあり得ると。
おそらくキオ君はトランス状態なんだろう。これ以上刺激するわけにはいかない。ガロさんから始めたもらった剣というのがこちらが思っている以上に特別なものだったということだろう。まだどこかで自分を保てている今のうちに落ち着かせるのが得策だ。
「とりあえず、君は完璧に合格だ。残り二日間サバイバルしてもいいし、王都に戻ってもいい。」
「わかりました、少しここにいます。後で転移石で飛びますがとりあえず自分のを使います。マーシャルさんはどうされるので?腕輪、壊してしまったでしょう?」
「一度王都に戻る。君の合格を報告するからな。では先に戻らせてもらう。」
ほぼ逃げるように転移石を使ってしまった。これでもAランクだ。それなりに強敵とも戦ってきた。リヴァイアサンのようなやばい個体とは戦ったことはないが、おそらくそれよりもやばいと思う。つまりガロさんはあれ以上ということか。末恐ろしいものだ。少し前まで同じAランクだったのが不思議なくらいに。
自分がSランクに到達することはなさそうだと実感しつつ、あの8色の異様な光景を思い出す。恐ろしくも美しい。あれならば虹弾と呼ぶのがふさわしそうだな。
そんなくだらないことを考えつつギルドにとつく。キオ君がいつ戻ってきて誰が受付してもCランクに昇格できるように手続きしなくてはいけない。そこで聞きたくない話を聞いてしまった。
「あぁ、キオ君ですか。たしかあの雷剣のガロさんのパートナー。確か貴族関連で無理やり三日前に呼び出されて帰ってきてないんですよね。」
「な、なんだと?それは問題ではないのか?Sランクの行方不明者など聞きたくないぞ。」
「自分だって考えたくないですよ。そんなのが起こったらSSランクの人以外に対応できないでしょうからね。まさかグランドマスターが出るわけにもいかないでしょうけど。」
もちろんそうなのだろうが、それをキオ君が聞いたらどうなるのかという不安があった。まさかとは思うがギルドで暴れたりはしないだろうな?自分が受付の時には帰ってきてほしくないものだ。
そんな風に考えていたのに日が暮れ始めた頃にキオ君がギルドにと来たことを伝えられる。そして自分が対応するようにと。結構な時間がたっているが、整理をつけてきてくれているだろうかと不安になっているところにサブマスターから追加の不安要素を伝えられる。
「それとキオ君にガロが拘束されている可能性があることを伝えてください。詳しくは私たちが話すのでマスタールームまで来るようにと。」
「あ、あの、拘束されている可能性があることもマスタールームで教えていただくことはできないですか?」
「何か問題でも?」
「実はキオ君が始めてガロさんから買ってもらったという剣を試験中に折ってしまったのです。」
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