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第二十四話 自由でおせっかいな姉
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■ラルフ視点■
屋敷に戻り、シエル様に夕食を食べてもらった後、今日は早めに休んだ方が良いと判断し、シエル様をお部屋までご案内しに来た。
来る途中、全然大丈夫だよ! と強がってみせていたが、心身共に疲れているのは見ていればわかる。これでも、長年シエル様のお傍で見てきたのだから。
「ではシエル様、今日はごゆっくりお休みくださいませ」
「うん、ありがとう。それと……今日は本当にごめんね」
「私こそ申し訳ございませんでした」
「それじゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい、愛しておりますよ」
シエル様をベッドに寝かしつけ、いつもの様に愛の言葉を残した私は、部屋を出てとある場所へと向かう。
その場所とは……姉上の私室だ。
「姉上!」
「おおっ、ラルフではないか! 何事かね?」
荒々しくノックをし、返事を待たずに勢いよく扉を開くと、何か書き物をしていた姉上が、ビクンっと体を跳ねさせていた。
「今日、シエル様に私が出かけたことを教えたそうですね」
「ああ。急いで探していたようだからね」
「なぜ教えたのですか! 今日の予定はあなたもご存じだったはずですし、あんな場面を見たら、勘違いされるのはわかるでしょう!」
バンッと机を強く叩きながら、姉上に詰め寄るが、姉上はいつもの様に高笑いをするだけだった。
姉上は聡明なお方で、人が本気で嫌がるようなことはしない。だから、今回の件も何か考えがあってのことなのはわかっている。
だが、シエル様に見られてしまい、激しく落ち込ませてしまったのは事実だ。
「もちろん、わかっていたさ。だからあえて教えた」
「なぜですか!」
「一緒に住むようになったいうのに、中々君達の仲が進展しないから、スパイスを一つまみ加えたのさ。恋愛にはスパイスも必要だろう?」
「スパイスって……」
「ちょっとした比喩さ。なんにせよ、最終的にはわかりあえたのだから、大成功じゃないか! はっはっはっ!」
……能天気というか、お気楽というか……当事者じゃないからそんなことが言えるんじゃないか? 全く、姉上には困ったものだ。
「ただ、シエルちゃんには少々申し訳ないことをしたのは確かだね。あとで菓子でも持って、謝罪に行かなければ」
「……ちなみに聞きますが、私への謝罪は?」
「愛の鞭を打った相手に、謝罪なんて必要かい?」
悪びれる様子が一切ない姉上を見ていたら、怒る気力が失せてしまった。
結果だけでみたら、すれ違いは起こったものの、上手くいった方なのかもしれない。しかし、もうこのようなことはしないでほしいというのが、正直なところだ……。
「とにかく、シエル様を悲しませるようなことをするなら、姉上といえども二度は許しませんからね」
「ああ、次はなるべくマイルドなやり方にさせてもらうよ」
「まだ何かされるおつもりなのですか……」
「当然だろう! 私は君達を全力で応援しているからね! 一日でも早く結ばれる可能性があったら、やらない手は無いのさ! ついでに照れてる可愛いシエルちゃんも見れる!」
気持ちは嬉しいのだが……姉上にそれを許しても大丈夫なのだろうか? とても不安だが……好意を無下にするというのも気が引けるし……難しいところだ……。
あと、最後の部分で完全に欲望が漏れ出ていますよ、姉上。私も人のことは言えませんが。
「そんな顔をするな。まったく仕方のない弟だ。一緒にクッキーでもどうだい?」
「誰のせいだと思っているのですか」
呆れ気味に溜息を漏らしながら、私は姉上の対面に座る。すると、目の前にクッキーが盛られた皿が置かれた。
「……いただきます」
「どうだい? 甘さは控えめにしてあるから、ラルフの好みに合うと思うが」
「ええ、とても美味です」
「ところで、プレゼントは購入できたのかな?」
「はい。彼女に教わりながら、素晴らしい逸品を手に入れられました」
「それは何よりだ。恋愛の実践の方は?」
「…………」
姉上の提案で、彼女に事前に頼んで腕を組んで歩いたのだが……。
「特に思うことも、気付きもありませんでした。強いて言うなら、シエル様以外の方の歩幅に合わせるのは大変だと思ったくらいです」
「収穫ゼロじゃないか! あぁ、君は何をやっているんだ!」
姉上は、まるで自分のことのように、大げさに頭を抱えながら、落胆の表情を浮かべた。
何をしていると言われても……それが事実なのだから、それ以上のことは何も報告できない。
「やはり、シエルちゃんとやらないと意味が無いということか」
「恐らくそうかと」
「ちなみにだが、もしシエルちゃんと同じことをしたと想像したら、どんな感じかね?」
同じこと……シエル様が、私の腕に抱きつきながら、その太陽でも足元に及ばない眩しい笑顔を私に……ふふっ、良い……。
「ああ、うん。もうわかったから妄想はやめてくれたまえ。少々だらしない顔になっている弟は、あまり見たくないのでね」
「だらしない? 私はそんな顔を晒すような失態はいたしません」
「それはあくまで、シエルちゃんの前だけなら出来るということだろうね」
……それは一理あるかもしれない。昔から、自分の気持ちがバレないように気を張っていたから、今でもシエル様の前では毅然とした態度を取ることが出来る。
……いや、出来ているのか? 自分で気づいていないだけで、だらしない顔になっていないだろうな? 少々不安になってきた……。
「そうだ。シエル様のお誕生日パーティーには出られそうですか?」
「無事に午後は空けられたから、安心したまえ。食材も大量に、そして出来るだけ品質の良いものを集めたよ」
「……? そうですか。ありがとうございます」
姉上にしては、随分と大人しい言い方だ。姉上のことだから、超最高級の品を用意したよ! あーっはっはっはっ!! みたいな返しをすると思っていた。
「何か言いたそうな顔だね」
「はい。姉上にしては、少々控えめな言い方だと感じまして」
「おや、気づいてしまったかい。実は、あまり良いものが仕入れられなくてね……その割に、値段は以前よりも格段に高いときている」
「不作とかなのでしょうか?」
「そんな話は聞いたことがないね。少々きな臭い感じがするが……まあそういうわけで、控えめな言い回しになってしまったのさ」
私には、市場の事情はよくわからないが、姉上がそう言うのだから、きっと想像以上に酷いことになっているのだろう。
もしかしたら、この前シエル様と行ったカフェの味が変わっていたのも、それが原因だったりするのだろうか?
「だが安心したまえ! 最高級とは言えないかもしれないが、それでも十分なものは揃えたつもりだ!」
「さすが姉上です」
姉上は任せておけと言わんばかりに、自分の胸をドンっと叩いた。
少々想定外なことが起こってしまったが、プレゼントも用意できて、パーティーの準備を順調だ。シエル様が喜んでくれるような、素晴らしいパーティーにしなければ。
屋敷に戻り、シエル様に夕食を食べてもらった後、今日は早めに休んだ方が良いと判断し、シエル様をお部屋までご案内しに来た。
来る途中、全然大丈夫だよ! と強がってみせていたが、心身共に疲れているのは見ていればわかる。これでも、長年シエル様のお傍で見てきたのだから。
「ではシエル様、今日はごゆっくりお休みくださいませ」
「うん、ありがとう。それと……今日は本当にごめんね」
「私こそ申し訳ございませんでした」
「それじゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい、愛しておりますよ」
シエル様をベッドに寝かしつけ、いつもの様に愛の言葉を残した私は、部屋を出てとある場所へと向かう。
その場所とは……姉上の私室だ。
「姉上!」
「おおっ、ラルフではないか! 何事かね?」
荒々しくノックをし、返事を待たずに勢いよく扉を開くと、何か書き物をしていた姉上が、ビクンっと体を跳ねさせていた。
「今日、シエル様に私が出かけたことを教えたそうですね」
「ああ。急いで探していたようだからね」
「なぜ教えたのですか! 今日の予定はあなたもご存じだったはずですし、あんな場面を見たら、勘違いされるのはわかるでしょう!」
バンッと机を強く叩きながら、姉上に詰め寄るが、姉上はいつもの様に高笑いをするだけだった。
姉上は聡明なお方で、人が本気で嫌がるようなことはしない。だから、今回の件も何か考えがあってのことなのはわかっている。
だが、シエル様に見られてしまい、激しく落ち込ませてしまったのは事実だ。
「もちろん、わかっていたさ。だからあえて教えた」
「なぜですか!」
「一緒に住むようになったいうのに、中々君達の仲が進展しないから、スパイスを一つまみ加えたのさ。恋愛にはスパイスも必要だろう?」
「スパイスって……」
「ちょっとした比喩さ。なんにせよ、最終的にはわかりあえたのだから、大成功じゃないか! はっはっはっ!」
……能天気というか、お気楽というか……当事者じゃないからそんなことが言えるんじゃないか? 全く、姉上には困ったものだ。
「ただ、シエルちゃんには少々申し訳ないことをしたのは確かだね。あとで菓子でも持って、謝罪に行かなければ」
「……ちなみに聞きますが、私への謝罪は?」
「愛の鞭を打った相手に、謝罪なんて必要かい?」
悪びれる様子が一切ない姉上を見ていたら、怒る気力が失せてしまった。
結果だけでみたら、すれ違いは起こったものの、上手くいった方なのかもしれない。しかし、もうこのようなことはしないでほしいというのが、正直なところだ……。
「とにかく、シエル様を悲しませるようなことをするなら、姉上といえども二度は許しませんからね」
「ああ、次はなるべくマイルドなやり方にさせてもらうよ」
「まだ何かされるおつもりなのですか……」
「当然だろう! 私は君達を全力で応援しているからね! 一日でも早く結ばれる可能性があったら、やらない手は無いのさ! ついでに照れてる可愛いシエルちゃんも見れる!」
気持ちは嬉しいのだが……姉上にそれを許しても大丈夫なのだろうか? とても不安だが……好意を無下にするというのも気が引けるし……難しいところだ……。
あと、最後の部分で完全に欲望が漏れ出ていますよ、姉上。私も人のことは言えませんが。
「そんな顔をするな。まったく仕方のない弟だ。一緒にクッキーでもどうだい?」
「誰のせいだと思っているのですか」
呆れ気味に溜息を漏らしながら、私は姉上の対面に座る。すると、目の前にクッキーが盛られた皿が置かれた。
「……いただきます」
「どうだい? 甘さは控えめにしてあるから、ラルフの好みに合うと思うが」
「ええ、とても美味です」
「ところで、プレゼントは購入できたのかな?」
「はい。彼女に教わりながら、素晴らしい逸品を手に入れられました」
「それは何よりだ。恋愛の実践の方は?」
「…………」
姉上の提案で、彼女に事前に頼んで腕を組んで歩いたのだが……。
「特に思うことも、気付きもありませんでした。強いて言うなら、シエル様以外の方の歩幅に合わせるのは大変だと思ったくらいです」
「収穫ゼロじゃないか! あぁ、君は何をやっているんだ!」
姉上は、まるで自分のことのように、大げさに頭を抱えながら、落胆の表情を浮かべた。
何をしていると言われても……それが事実なのだから、それ以上のことは何も報告できない。
「やはり、シエルちゃんとやらないと意味が無いということか」
「恐らくそうかと」
「ちなみにだが、もしシエルちゃんと同じことをしたと想像したら、どんな感じかね?」
同じこと……シエル様が、私の腕に抱きつきながら、その太陽でも足元に及ばない眩しい笑顔を私に……ふふっ、良い……。
「ああ、うん。もうわかったから妄想はやめてくれたまえ。少々だらしない顔になっている弟は、あまり見たくないのでね」
「だらしない? 私はそんな顔を晒すような失態はいたしません」
「それはあくまで、シエルちゃんの前だけなら出来るということだろうね」
……それは一理あるかもしれない。昔から、自分の気持ちがバレないように気を張っていたから、今でもシエル様の前では毅然とした態度を取ることが出来る。
……いや、出来ているのか? 自分で気づいていないだけで、だらしない顔になっていないだろうな? 少々不安になってきた……。
「そうだ。シエル様のお誕生日パーティーには出られそうですか?」
「無事に午後は空けられたから、安心したまえ。食材も大量に、そして出来るだけ品質の良いものを集めたよ」
「……? そうですか。ありがとうございます」
姉上にしては、随分と大人しい言い方だ。姉上のことだから、超最高級の品を用意したよ! あーっはっはっはっ!! みたいな返しをすると思っていた。
「何か言いたそうな顔だね」
「はい。姉上にしては、少々控えめな言い方だと感じまして」
「おや、気づいてしまったかい。実は、あまり良いものが仕入れられなくてね……その割に、値段は以前よりも格段に高いときている」
「不作とかなのでしょうか?」
「そんな話は聞いたことがないね。少々きな臭い感じがするが……まあそういうわけで、控えめな言い回しになってしまったのさ」
私には、市場の事情はよくわからないが、姉上がそう言うのだから、きっと想像以上に酷いことになっているのだろう。
もしかしたら、この前シエル様と行ったカフェの味が変わっていたのも、それが原因だったりするのだろうか?
「だが安心したまえ! 最高級とは言えないかもしれないが、それでも十分なものは揃えたつもりだ!」
「さすが姉上です」
姉上は任せておけと言わんばかりに、自分の胸をドンっと叩いた。
少々想定外なことが起こってしまったが、プレゼントも用意できて、パーティーの準備を順調だ。シエル様が喜んでくれるような、素晴らしいパーティーにしなければ。
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