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第17話 アベル様と妹のために物語を書け? そんなの……
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「入りたまえ」
「失礼します」
中からアベル様じゃない……低くてしわがれた声に返事をしながらゆっくりと応接室のドアを開けると、そこには豪華な椅子にふんぞり返るように座る、アベル様とご年配の男性がいた。
あぁ、なんかこの感じ……懐かしいわ。婚約破棄を言い渡された時も、アベル様はこんな感じで人を見下したかのように座っていたわね。
お父様と思われるご年配のお方も同じってところを見ると、この座り方は遺伝なのかしら。それとも育て方? まあどうでもいいわね。微塵も興味ないし。
「遅い、我々を待たせるとは何事かね」
「お言葉ですが、まだお約束の十分前ですが?」
「何様だね君! 我々よりも三十分以上は早く来て先に待っているのが礼儀だろうが!」
やや苛立ったように言うご年配の男性に、マリーがすかさず噛みつくと、彼は理解に苦しむ理論を展開してきた。
あー……アベル様も前に会った時に、似たような理由で難癖付けてきたわねー……懐かしすぎて泣きそうだわ。まあ嘘なんだけど。
きっとこの嫌な感じは完全に血ね。もしそうなら、ここで変に言い返しても面倒だし、さっさと本題に入った方がよさそうだわ。
「いいのよマリー。申し訳ございません、次回から気をつけますわ」
「ふんっ……む? どうした我が息子よ」
「な……なぜ貴様がここにいるのだ! ルイス・エクエス!」
ワナワナと震えながら立ち上がったアベル様は、私の事を指差しながら声を荒らげる。人の事を指さすなんて失礼な人ね。
「どうしてって……呼ばれたからに決まってますでしょう?」
「まさか……ティア・ファルダーというのは、貴様の事か!?」
「ええ」
私は短くそう答えながら、マリーと一緒にお二人の対面の椅子に座る。すると、目を大きく見開かせて驚いていたアベル様は、唐突にニタァ……と、何とも気持ちの悪い笑みを浮かべてみせた。
「これは何とも都合が良い。我が妻をいじめていた醜い貴様を認めてやるチャンスを与えてやろう! 貴様のベストセラーに選ばれるほどの物語を書ける才能を活かし、ボクと愛しの妻の物語を書く事を命ずる!」
「お断りします」
「………………は?」
どう考えても人にものを頼む態度とは思えないくらい、偉そうに胸を張りながら人を指さすアベル様に、私は淡々と断ってみせると、私の答えが信じられないのか、アベル様は口を大きく開けながら固まってしまった。
あらあら、そんな間抜け面を晒しちゃって……私に断られるなんて、微塵も思ってなかったのでしょうね。幸せな思考回路で羨ましいわ。
「き、貴様!? 自分が何を言ったのか理解しているのか!?」
「勿論。そんな物語を書くなんてまっぴら御免です。物語を書く大変さをご存じ? 私は自分の書きたいものを書くのに精一杯です。それに、私はイズダーイと専属契約を結んでいるので、イズダーイの許可無しに書けません」
「そんなもの、別名義で書けば問題は無かろう。少しは考えてものを言わんか大バカ者が」
一人で怒り狂っているアベル様とは対照的に、凄く落ち着いた様子のお父様は、鋭い目つきで私の事を睨みつけながら言う。
まあ確かにそれなら出来なくもないかもしれないけど、あまりにも無茶苦茶だわ。それに、もしバレたらどう責任を取るつもりなのよ。そっちの方がバカなんじゃないの?
それに、そんな事をしてまでこの人達に協力するメリットなんて無いし、義理も無い。
「嫌なものは嫌だから断ってるに過ぎませんわ。ところで、アベル様のお父様……でよろしいんですよね? どうして同席されてるんですか?」
「そんなの、貴様が物語を書くにあたって、息子に多額の金や理不尽な条件を要求しないように、見張るために決まっているだろう」
「はあ、そうですか。それは大変ご苦労様です」
私の事を何だと思っているのかしら。不愉快極まりないわ。早く帰ってマリーとお茶したいし、執筆や読書や妄想がしたいし、ユースさんに会いたいわ。
「それよりも、我が息子との婚約を一方的に破棄し、頼み事も断るとは……そんな事をして、どうなるかわかっているのかね?」
まるで脅すような言葉に少し怯んでしまったけど、ここで弱気になったら相手の思うつぼだわ。絶対に弱い部分を見せないようにしなきゃ。頑張れ私!
「要求が通らないから脅すなんて、まるで知能がない蛮族ですわね。それに、一方的な婚約破棄とは何の事でしょう。もしや、ご存じないのですか? 婚約破棄の真実を」
「そうみたいよマリー。無知って怖いわね」
「何を言っている!?」
「知らないなら教えて差し上げます。婚約破棄をしたのはあなたの息子様です。私の妹の嘘に騙され、色仕掛けに引っかかった結果、婚約者を変えたのですよ」
私が淡々と事実を述べると、今まで冷静だったお父様は顔を真っ赤にさせ、怒りに震えながら立ち上がった。
「あ、アベル! どういう事だ!? 私に伝えていた理由と違うじゃないか! 貴様、嘘をついていたのか!? 私が嘘が嫌いなのを知っての狼藉《ろうぜき》か!?」
「そ、そんなわけないでしょう!?」
なんか急に親子喧嘩が始まったわね。見苦しいから私達のいない所でやってほしいんだけど。
「とにかく、私はそんな失礼な方の頼みなんて受けるつもりはございません。それと、今後は家に使者を送られてきても、一切対応しませんので。二度と私には関わらず、妹と幸せに暮らしてください」
「ま、待て! ならボクの愛人にしてやるから、その代わりに書け! この美しいボクの愛を受けられるなんて、これ以上の幸福はないぞ! だからそんな嘘をでっちあげるんじゃない!」
立ち上がって部屋を出ようとしたら、アベル様はまた訳のわからない事を言いながら、私の手を掴んできた。それを、私は自分でも驚くくらいの力で振りほどいた。
汚い……汚い! 触るんじゃないわよ! 私の手を握っていい殿方は、ユースさんだけなんだから! ああもう! ずっとイライラを抑えていたけど……もう我慢できないわ!
「なっ――」
アベル様の前に立った私は、大きく手を振り上げて……そのままアベル様の頬を思い切りビンタした。
「ふざけんじゃないわよ! 誰がそんなくだらない物語を書くもんですか! それに、あんたみたいなバカの愛人なんて冗談じゃないわ! 私は真実の愛を見つけたのよ!」
「真実の……愛だと?」
「ええそうよ! 私に婚約破棄を言い渡した時、あんたが私に言ったでしょう? 真実の愛を見つけたって! 私もそう! だから愛人なんてなる気は無いわ! ほんの少し想像しただけでも虫唾が走る! わかったら二度と関わってくるな!」
ビンタだけでは物足りず、アベル様の胸ぐらを掴んでそう言い切った私は、突き飛ばすようにアベル様を開放すると、マリーを連れて応接室を後にした。中からお父様の怒り狂う声や、「ボクは諦めないぞ!!」と叫ぶアベル様の声が聞こえてくるけど、知った事じゃないわ。
さて、屋敷を後にしたのは良いけど、あんな態度をした後で馬車など用意されてるはずもなく……仕方なく私達は徒歩で帰る事にした。かなり遠いけど、夜までには家につける……はず。
「ティア様、大変ご立派でしたわ。私、大変スッキリいたしました」
「あ、ありがとう。あー緊張した……ごめんなさいマリー。もしかしたら……ううん、きっとアベル様は私に仕返しをしてくると思う。それに巻き込んで――」
「ティア様」
「え?」
巻き込んでしまう……ごめんなさいって言おうとするのを止めるように、マリーは細くて小さな指を、優しく私の口に当てて言葉を遮った。
「私は何があってもティア様の味方です。それが私の喜びなのです。だから、そんな事を仰らないでください」
「……ありがとう」
「さあ、帰りましょう。今日は何か食べたいものはありますか?」
「お肉!!」
「相変わらずお肉が大好きでございますね。でも野菜も食べないといけませんよ?」
「ぶ~……」
さっきの張り詰めた空気とは打って変わって和やかな空気に包まれながら、私はマリーと一緒に仲良く家に向かって歩いていくのだった――
「ふぅ、中から大声が聞こえた時はどうなるかと思ったけど、何事もなく帰られたな」
「だな。ったく、あの方も大概心配性だよなぁ。急に使者を送ってきて、俺達に来客を守ってくれーなんて。これ、必要あったか?」
「仕方ないさ。あの方の御父上も兄上も、愛が深いお方だからな。その血を受け継いでおられるんだろうよ」
「なるほどなぁ。まあ王宮からの派遣とはいえ、屋敷の警備を勤めてる俺らが言うのもあれだが、旦那様も坊ちゃんも大概だからなぁ。そんなところに呼ばれたら、心配になる気持ちもわかるっちゃわかるな」
「ははっ、全くだ。さて、ここの警備はこれで完了だし、見回りに行くとするか」
「失礼します」
中からアベル様じゃない……低くてしわがれた声に返事をしながらゆっくりと応接室のドアを開けると、そこには豪華な椅子にふんぞり返るように座る、アベル様とご年配の男性がいた。
あぁ、なんかこの感じ……懐かしいわ。婚約破棄を言い渡された時も、アベル様はこんな感じで人を見下したかのように座っていたわね。
お父様と思われるご年配のお方も同じってところを見ると、この座り方は遺伝なのかしら。それとも育て方? まあどうでもいいわね。微塵も興味ないし。
「遅い、我々を待たせるとは何事かね」
「お言葉ですが、まだお約束の十分前ですが?」
「何様だね君! 我々よりも三十分以上は早く来て先に待っているのが礼儀だろうが!」
やや苛立ったように言うご年配の男性に、マリーがすかさず噛みつくと、彼は理解に苦しむ理論を展開してきた。
あー……アベル様も前に会った時に、似たような理由で難癖付けてきたわねー……懐かしすぎて泣きそうだわ。まあ嘘なんだけど。
きっとこの嫌な感じは完全に血ね。もしそうなら、ここで変に言い返しても面倒だし、さっさと本題に入った方がよさそうだわ。
「いいのよマリー。申し訳ございません、次回から気をつけますわ」
「ふんっ……む? どうした我が息子よ」
「な……なぜ貴様がここにいるのだ! ルイス・エクエス!」
ワナワナと震えながら立ち上がったアベル様は、私の事を指差しながら声を荒らげる。人の事を指さすなんて失礼な人ね。
「どうしてって……呼ばれたからに決まってますでしょう?」
「まさか……ティア・ファルダーというのは、貴様の事か!?」
「ええ」
私は短くそう答えながら、マリーと一緒にお二人の対面の椅子に座る。すると、目を大きく見開かせて驚いていたアベル様は、唐突にニタァ……と、何とも気持ちの悪い笑みを浮かべてみせた。
「これは何とも都合が良い。我が妻をいじめていた醜い貴様を認めてやるチャンスを与えてやろう! 貴様のベストセラーに選ばれるほどの物語を書ける才能を活かし、ボクと愛しの妻の物語を書く事を命ずる!」
「お断りします」
「………………は?」
どう考えても人にものを頼む態度とは思えないくらい、偉そうに胸を張りながら人を指さすアベル様に、私は淡々と断ってみせると、私の答えが信じられないのか、アベル様は口を大きく開けながら固まってしまった。
あらあら、そんな間抜け面を晒しちゃって……私に断られるなんて、微塵も思ってなかったのでしょうね。幸せな思考回路で羨ましいわ。
「き、貴様!? 自分が何を言ったのか理解しているのか!?」
「勿論。そんな物語を書くなんてまっぴら御免です。物語を書く大変さをご存じ? 私は自分の書きたいものを書くのに精一杯です。それに、私はイズダーイと専属契約を結んでいるので、イズダーイの許可無しに書けません」
「そんなもの、別名義で書けば問題は無かろう。少しは考えてものを言わんか大バカ者が」
一人で怒り狂っているアベル様とは対照的に、凄く落ち着いた様子のお父様は、鋭い目つきで私の事を睨みつけながら言う。
まあ確かにそれなら出来なくもないかもしれないけど、あまりにも無茶苦茶だわ。それに、もしバレたらどう責任を取るつもりなのよ。そっちの方がバカなんじゃないの?
それに、そんな事をしてまでこの人達に協力するメリットなんて無いし、義理も無い。
「嫌なものは嫌だから断ってるに過ぎませんわ。ところで、アベル様のお父様……でよろしいんですよね? どうして同席されてるんですか?」
「そんなの、貴様が物語を書くにあたって、息子に多額の金や理不尽な条件を要求しないように、見張るために決まっているだろう」
「はあ、そうですか。それは大変ご苦労様です」
私の事を何だと思っているのかしら。不愉快極まりないわ。早く帰ってマリーとお茶したいし、執筆や読書や妄想がしたいし、ユースさんに会いたいわ。
「それよりも、我が息子との婚約を一方的に破棄し、頼み事も断るとは……そんな事をして、どうなるかわかっているのかね?」
まるで脅すような言葉に少し怯んでしまったけど、ここで弱気になったら相手の思うつぼだわ。絶対に弱い部分を見せないようにしなきゃ。頑張れ私!
「要求が通らないから脅すなんて、まるで知能がない蛮族ですわね。それに、一方的な婚約破棄とは何の事でしょう。もしや、ご存じないのですか? 婚約破棄の真実を」
「そうみたいよマリー。無知って怖いわね」
「何を言っている!?」
「知らないなら教えて差し上げます。婚約破棄をしたのはあなたの息子様です。私の妹の嘘に騙され、色仕掛けに引っかかった結果、婚約者を変えたのですよ」
私が淡々と事実を述べると、今まで冷静だったお父様は顔を真っ赤にさせ、怒りに震えながら立ち上がった。
「あ、アベル! どういう事だ!? 私に伝えていた理由と違うじゃないか! 貴様、嘘をついていたのか!? 私が嘘が嫌いなのを知っての狼藉《ろうぜき》か!?」
「そ、そんなわけないでしょう!?」
なんか急に親子喧嘩が始まったわね。見苦しいから私達のいない所でやってほしいんだけど。
「とにかく、私はそんな失礼な方の頼みなんて受けるつもりはございません。それと、今後は家に使者を送られてきても、一切対応しませんので。二度と私には関わらず、妹と幸せに暮らしてください」
「ま、待て! ならボクの愛人にしてやるから、その代わりに書け! この美しいボクの愛を受けられるなんて、これ以上の幸福はないぞ! だからそんな嘘をでっちあげるんじゃない!」
立ち上がって部屋を出ようとしたら、アベル様はまた訳のわからない事を言いながら、私の手を掴んできた。それを、私は自分でも驚くくらいの力で振りほどいた。
汚い……汚い! 触るんじゃないわよ! 私の手を握っていい殿方は、ユースさんだけなんだから! ああもう! ずっとイライラを抑えていたけど……もう我慢できないわ!
「なっ――」
アベル様の前に立った私は、大きく手を振り上げて……そのままアベル様の頬を思い切りビンタした。
「ふざけんじゃないわよ! 誰がそんなくだらない物語を書くもんですか! それに、あんたみたいなバカの愛人なんて冗談じゃないわ! 私は真実の愛を見つけたのよ!」
「真実の……愛だと?」
「ええそうよ! 私に婚約破棄を言い渡した時、あんたが私に言ったでしょう? 真実の愛を見つけたって! 私もそう! だから愛人なんてなる気は無いわ! ほんの少し想像しただけでも虫唾が走る! わかったら二度と関わってくるな!」
ビンタだけでは物足りず、アベル様の胸ぐらを掴んでそう言い切った私は、突き飛ばすようにアベル様を開放すると、マリーを連れて応接室を後にした。中からお父様の怒り狂う声や、「ボクは諦めないぞ!!」と叫ぶアベル様の声が聞こえてくるけど、知った事じゃないわ。
さて、屋敷を後にしたのは良いけど、あんな態度をした後で馬車など用意されてるはずもなく……仕方なく私達は徒歩で帰る事にした。かなり遠いけど、夜までには家につける……はず。
「ティア様、大変ご立派でしたわ。私、大変スッキリいたしました」
「あ、ありがとう。あー緊張した……ごめんなさいマリー。もしかしたら……ううん、きっとアベル様は私に仕返しをしてくると思う。それに巻き込んで――」
「ティア様」
「え?」
巻き込んでしまう……ごめんなさいって言おうとするのを止めるように、マリーは細くて小さな指を、優しく私の口に当てて言葉を遮った。
「私は何があってもティア様の味方です。それが私の喜びなのです。だから、そんな事を仰らないでください」
「……ありがとう」
「さあ、帰りましょう。今日は何か食べたいものはありますか?」
「お肉!!」
「相変わらずお肉が大好きでございますね。でも野菜も食べないといけませんよ?」
「ぶ~……」
さっきの張り詰めた空気とは打って変わって和やかな空気に包まれながら、私はマリーと一緒に仲良く家に向かって歩いていくのだった――
「ふぅ、中から大声が聞こえた時はどうなるかと思ったけど、何事もなく帰られたな」
「だな。ったく、あの方も大概心配性だよなぁ。急に使者を送ってきて、俺達に来客を守ってくれーなんて。これ、必要あったか?」
「仕方ないさ。あの方の御父上も兄上も、愛が深いお方だからな。その血を受け継いでおられるんだろうよ」
「なるほどなぁ。まあ王宮からの派遣とはいえ、屋敷の警備を勤めてる俺らが言うのもあれだが、旦那様も坊ちゃんも大概だからなぁ。そんなところに呼ばれたら、心配になる気持ちもわかるっちゃわかるな」
「ははっ、全くだ。さて、ここの警備はこれで完了だし、見回りに行くとするか」
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