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第八話 私の力で成し遂げたい
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何事もなく、無事に家に帰ってきた私は、やっぱり屋敷と家のギャップの差を感じながら、家の中へと入った。
えっと、持っていく物は……そうだ、これは絶対に持っていかないと。
「それは……絵、ですか? 随分と紙が小さいですが……」
「はい。ずいぶん昔、まだ家族が三人いた時です。たまたまこの辺りに、絵描きの人が通りかかったんですけど、悪い人に絡まれて困っていたんです。そこをお父さんが助けたら、お礼として描いてくれたんです」
私は絵を見ながら、昔の事をぼんやりと思い出し始めた。
私が幼い頃、家は確かに貧しかったが、笑顔だけは絶対に絶やさない家だった。辛くても、笑っていればいつか必ず良い事が起こると信じていたから。
お母さんとおしゃべりするのが好きだった。お父さんに肩車をしてもらうのが好きだった。何もしなくても、家族みんなでいるのが好きだった。
好きだったから……またあの日々が欲しい……大切な人と、ゆっくりと穏やかな時間を過ごしたい……。
「うぅ……」
「セーラ様? 何処か具合が悪いのですか?」
「ぐすっ……お父さぁん……どこ行っちゃったの……私を一人にしないでよぉ……お母さぁん……私を一人ぼっちにしないでよぉ……うえぇぇぇぇぇん……」
昔の事を思い出して、私の感情が高ぶってしまった結果、涙となって零れ落ちた。そんな私の事を、エリカさんはギュッと抱きしめてくれました。
「本当は、こんな事はメイドの仕事ではありません。ですが、これはエリカとしての仕事です」
「エリカさん……?」
呆気に取られる私の頭を、エリカさんは優しく撫でてくれた。それは、まだお母さんが生きてる頃に、何度も撫でてもらった時と同じ様な感覚と、温もりだった。
「もうあなたは大丈夫です。一人で寂しい中、本当に良く頑張りました。本当に偉かったです」
「私……頑張れてたのかな……お母さんの看病をして、家の事をして、仕事をして……一人になって……それでも……出稼ぎに行ったお父さんに会いにいくためにお金を貯めて……頑張れてたのかな……」
「お父上に会いに……その為にお仕事を……本当に良く頑張りましたね」
「うぅぅぅぅぅ……」
エリカさんの胸に顔をうずめると、そのまま声を殺して泣いた。
こんな風に泣くのは、マルク様に捨てられた日の夜にもあったけど、感情が全然違う。あの日は悲しくて、そして悔しくて泣いてたけど、今は励まされたのが嬉しくて、泣いているのだから。
「落ち着きましたか?」
「はい、なんとか……ありがとうございます。こんなんじゃ、家族に笑われてしまいますね」
「ならよかったですわ。それで、お金を貯めていると仰ってましたが……ちゃんと保管はされてるんですか?」
「はい。麻袋に入れてあるんですけど、いつも持ち歩いてるんです」
「そうでしたか。忘れたらいけないと思っておりましたが、杞憂でしたわね」
わざわざ心配してくれるなんて、エリカさんは本当に優しい人だ。私なんかのお世話をしてもらうのが申し訳ないくらい。
「実は……お母さんの病気を治す為にお金が必要になった時、全然お金が足りなかったんです。だから、お父さんは出稼ぎに行きましたが、それ以来戻ってきません。お母さんも、病気で亡くなりました」
「セーラ様……」
「この麻袋には、お給料から生活するのに必要なお金を引いた後に出てきた、微々たるお金を貯めているんです。これを貯めて……お父さんに会いに行くんです。生きているかはわかりませんが、それでも行きたいんです」
私は、少し黒ずんだ硬貨をエリカさんに見せると、なぜかとても悲しそうな顔で俯いていました。
「本当に、セーラ様は偉い子ですね。私、感銘を受けましたわ」
「ええ!? 大げさですよ!」
「いえ、こんな大変な状況でも、お父上に会いたいだなんて、応援したくなるに決まっています」
「そ、そのお気持ちだけで十分ですよ。さあ、帰りましょう」
「もうよろしいのですか?」
「はい。思い出の品は、もう手の中にありますから」
ボロボロのハンカチと、家族の絵、そして麻袋。今の私には、これが家族を繋いでくれる大切な物だ。
「では戻りましょう。何かご用があったら、またいつでもお連れしますわ」
「ありがとうございます……あ、もう少しだけ時間を貰えますか? 無いとは思いますけど、お父さんが帰ってきた時に、心配をかけないように、手紙を残しておきたいんです」
「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」
私は、ライル家で今お世話になっている事がわかる内容の手紙を書置きしてから、再びエリカさんと馬車に乗ると、そのまま屋敷に戻っていった――
****
「おや、おかえり」
屋敷に帰ってきた私達を出迎えたのは、ヴォルフ様のにこやかな笑顔だった。まさか会えると思ってなかったから、正直ビックリしちゃった!
「ヴォルフ様!? あれ、仕事じゃ……」
「とりあえず一区切りできたから、セーラを出迎えに来たんだ。ちなみに、この後も仕事の山さ」
「本当にご苦労様です……」
「ありがとう。むっ……? 今日はいつにもまして綺麗じゃないか! ドレスも良く似合っている!」
「エリカさんにしてもらったんです」
えへへ、ちゃんと気づいてもらって褒めてくれると、嬉しくて顔がにやけちゃう。
「さすがはエリカの技術だな。ところで、どこに行っていたんだい?」
「自宅です。荷物を取りに……って言っても、家族の絵だけですけど」
私はエリカさんにした話を同じ話をすると、ヴォルフ様は唐突にその場を離れようとした。
「ヴォルフ様、どちらへ行かれるのですか?」
「金の調達と、旅に使う船の用意だ。それで解決する」
「わー! だ、ダメですー! そんなご迷惑をおかけするわけにはー!!」
まさかの力技を止める為に、私はヴォルフ様の手を強く掴むが、ヴォルフ様は一切止まる気配は無かった。
「離すんだセーラ! 僕は君の力になりたいんだ!」
「ヴォルフ様、お気持ちはわかりますが、それはセーラ様のお気持ちを踏みにじっているのではないですか?」
「ど、どういう事だ?」
「セーラ様は、今までお一人の力で目的を達成する為に頑張っておられました。もし何が何でも目標を達成したければ、我々にいの一番に話して、協力を仰ぐでしょう。しかし、そうしなかった」
エリカさんの言葉に耳を傾けるヴォルフ様は、何か深く考え込むように俯きながら、何処かに行こうとする足を止めてくれた。
「セーラ様は、ご自身の力でお金を貯めたい……そうですね?」
「はい……これは私の問題なので、ライル家にこれ以上ご迷惑をおかけするわけには……」
「むぅ……そこまで言うなら……わかった。セーラ様の意志を尊重しよう。ただ、婚約者として、生活面では支えさせてもらうよ」
「ありがとうございます」
……本当なら、食費や家賃もお支払いしたいんだけど……ヴォルフ様の言動を見た感じ、絶対に受け取ってくれそうもないよね……はぁ。
「玄関で何を騒いでいる?」
「え?」
突然玄関が開いたと思ったら、そこには一人の男性が立っていた。ヴォルフ様と同じ赤い髪と黄色い目を持っているが、顔にシワが多いからか、少しお歳を召しているのが見て取れる。
しかし、それ以上に感じたのが……その威圧感だ。なんていうか、立っているだけで身が強張るような怖さがある。
「おかえりなさいませ、旦那様」
「旦那様……!?」
って事はもしかして……いや、間違いない。この人は……ヴォルフ様のお父さんだ!
えっと、持っていく物は……そうだ、これは絶対に持っていかないと。
「それは……絵、ですか? 随分と紙が小さいですが……」
「はい。ずいぶん昔、まだ家族が三人いた時です。たまたまこの辺りに、絵描きの人が通りかかったんですけど、悪い人に絡まれて困っていたんです。そこをお父さんが助けたら、お礼として描いてくれたんです」
私は絵を見ながら、昔の事をぼんやりと思い出し始めた。
私が幼い頃、家は確かに貧しかったが、笑顔だけは絶対に絶やさない家だった。辛くても、笑っていればいつか必ず良い事が起こると信じていたから。
お母さんとおしゃべりするのが好きだった。お父さんに肩車をしてもらうのが好きだった。何もしなくても、家族みんなでいるのが好きだった。
好きだったから……またあの日々が欲しい……大切な人と、ゆっくりと穏やかな時間を過ごしたい……。
「うぅ……」
「セーラ様? 何処か具合が悪いのですか?」
「ぐすっ……お父さぁん……どこ行っちゃったの……私を一人にしないでよぉ……お母さぁん……私を一人ぼっちにしないでよぉ……うえぇぇぇぇぇん……」
昔の事を思い出して、私の感情が高ぶってしまった結果、涙となって零れ落ちた。そんな私の事を、エリカさんはギュッと抱きしめてくれました。
「本当は、こんな事はメイドの仕事ではありません。ですが、これはエリカとしての仕事です」
「エリカさん……?」
呆気に取られる私の頭を、エリカさんは優しく撫でてくれた。それは、まだお母さんが生きてる頃に、何度も撫でてもらった時と同じ様な感覚と、温もりだった。
「もうあなたは大丈夫です。一人で寂しい中、本当に良く頑張りました。本当に偉かったです」
「私……頑張れてたのかな……お母さんの看病をして、家の事をして、仕事をして……一人になって……それでも……出稼ぎに行ったお父さんに会いにいくためにお金を貯めて……頑張れてたのかな……」
「お父上に会いに……その為にお仕事を……本当に良く頑張りましたね」
「うぅぅぅぅぅ……」
エリカさんの胸に顔をうずめると、そのまま声を殺して泣いた。
こんな風に泣くのは、マルク様に捨てられた日の夜にもあったけど、感情が全然違う。あの日は悲しくて、そして悔しくて泣いてたけど、今は励まされたのが嬉しくて、泣いているのだから。
「落ち着きましたか?」
「はい、なんとか……ありがとうございます。こんなんじゃ、家族に笑われてしまいますね」
「ならよかったですわ。それで、お金を貯めていると仰ってましたが……ちゃんと保管はされてるんですか?」
「はい。麻袋に入れてあるんですけど、いつも持ち歩いてるんです」
「そうでしたか。忘れたらいけないと思っておりましたが、杞憂でしたわね」
わざわざ心配してくれるなんて、エリカさんは本当に優しい人だ。私なんかのお世話をしてもらうのが申し訳ないくらい。
「実は……お母さんの病気を治す為にお金が必要になった時、全然お金が足りなかったんです。だから、お父さんは出稼ぎに行きましたが、それ以来戻ってきません。お母さんも、病気で亡くなりました」
「セーラ様……」
「この麻袋には、お給料から生活するのに必要なお金を引いた後に出てきた、微々たるお金を貯めているんです。これを貯めて……お父さんに会いに行くんです。生きているかはわかりませんが、それでも行きたいんです」
私は、少し黒ずんだ硬貨をエリカさんに見せると、なぜかとても悲しそうな顔で俯いていました。
「本当に、セーラ様は偉い子ですね。私、感銘を受けましたわ」
「ええ!? 大げさですよ!」
「いえ、こんな大変な状況でも、お父上に会いたいだなんて、応援したくなるに決まっています」
「そ、そのお気持ちだけで十分ですよ。さあ、帰りましょう」
「もうよろしいのですか?」
「はい。思い出の品は、もう手の中にありますから」
ボロボロのハンカチと、家族の絵、そして麻袋。今の私には、これが家族を繋いでくれる大切な物だ。
「では戻りましょう。何かご用があったら、またいつでもお連れしますわ」
「ありがとうございます……あ、もう少しだけ時間を貰えますか? 無いとは思いますけど、お父さんが帰ってきた時に、心配をかけないように、手紙を残しておきたいんです」
「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」
私は、ライル家で今お世話になっている事がわかる内容の手紙を書置きしてから、再びエリカさんと馬車に乗ると、そのまま屋敷に戻っていった――
****
「おや、おかえり」
屋敷に帰ってきた私達を出迎えたのは、ヴォルフ様のにこやかな笑顔だった。まさか会えると思ってなかったから、正直ビックリしちゃった!
「ヴォルフ様!? あれ、仕事じゃ……」
「とりあえず一区切りできたから、セーラを出迎えに来たんだ。ちなみに、この後も仕事の山さ」
「本当にご苦労様です……」
「ありがとう。むっ……? 今日はいつにもまして綺麗じゃないか! ドレスも良く似合っている!」
「エリカさんにしてもらったんです」
えへへ、ちゃんと気づいてもらって褒めてくれると、嬉しくて顔がにやけちゃう。
「さすがはエリカの技術だな。ところで、どこに行っていたんだい?」
「自宅です。荷物を取りに……って言っても、家族の絵だけですけど」
私はエリカさんにした話を同じ話をすると、ヴォルフ様は唐突にその場を離れようとした。
「ヴォルフ様、どちらへ行かれるのですか?」
「金の調達と、旅に使う船の用意だ。それで解決する」
「わー! だ、ダメですー! そんなご迷惑をおかけするわけにはー!!」
まさかの力技を止める為に、私はヴォルフ様の手を強く掴むが、ヴォルフ様は一切止まる気配は無かった。
「離すんだセーラ! 僕は君の力になりたいんだ!」
「ヴォルフ様、お気持ちはわかりますが、それはセーラ様のお気持ちを踏みにじっているのではないですか?」
「ど、どういう事だ?」
「セーラ様は、今までお一人の力で目的を達成する為に頑張っておられました。もし何が何でも目標を達成したければ、我々にいの一番に話して、協力を仰ぐでしょう。しかし、そうしなかった」
エリカさんの言葉に耳を傾けるヴォルフ様は、何か深く考え込むように俯きながら、何処かに行こうとする足を止めてくれた。
「セーラ様は、ご自身の力でお金を貯めたい……そうですね?」
「はい……これは私の問題なので、ライル家にこれ以上ご迷惑をおかけするわけには……」
「むぅ……そこまで言うなら……わかった。セーラ様の意志を尊重しよう。ただ、婚約者として、生活面では支えさせてもらうよ」
「ありがとうございます」
……本当なら、食費や家賃もお支払いしたいんだけど……ヴォルフ様の言動を見た感じ、絶対に受け取ってくれそうもないよね……はぁ。
「玄関で何を騒いでいる?」
「え?」
突然玄関が開いたと思ったら、そこには一人の男性が立っていた。ヴォルフ様と同じ赤い髪と黄色い目を持っているが、顔にシワが多いからか、少しお歳を召しているのが見て取れる。
しかし、それ以上に感じたのが……その威圧感だ。なんていうか、立っているだけで身が強張るような怖さがある。
「おかえりなさいませ、旦那様」
「旦那様……!?」
って事はもしかして……いや、間違いない。この人は……ヴォルフ様のお父さんだ!
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