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第三十一話 本当の家族
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セレクディエ学園に入学してから一ヶ月が経ったある日の休日、私は自分の家でソワソワしながら、とあるものを待っていた。
「アイリーン、気持ちはよくわかるけど、まだ約束の時間じゃないんだから、少し落ち着きなさい」
「わ、わかってるよぉ……」
私がこんなに落ち着きが無いのは、もちろん理由がある。
実は、これからエルヴィン様が遊びに来てくれる。いつも休日は家のことで忙しくて、会うことは難しかったんだけど、今日は珍しく一日空いているということで、遊びに来てくれることになったの。
「まさか、この家にアイリーンが彼氏を招待するようになるたぁな……少し前までは、あんなに小さかったのに、時が過ぎるのは早いもんだぜ」
「か、彼氏じゃないから!」
「はいはい、今は……でしょ?」
「う、うぅぅぅ~……!」
クスクスと笑うママ、豪快に笑うパパに対して、私は涙目で頬を膨らませることしかできなかった。
ここで、もっと違うって反論する選択肢もあるのだろうけど、私の心がそれを拒んでいた。
「……あっ、来た!!」
家の外から、馬車の独特な音が聞こえてきた。それにいち早く気づいた私は、尻尾をピンッと立てながら家を飛び出した。
まだ馬車の姿は見えないけど、音は確実にここに近づいてきているのがわかる。
えへへ、休みの日なのにエルヴィン様にこれから会えると思うと、嬉しくて頬が緩んじゃう。尻尾もリズムよく揺れちゃってるよ。
「おはよう、アイリーン。まさか出迎えてくれるだなんて、嬉しいよ」
「おはようございます。馬車の音が聞こえてきたので、飛んできちゃいました。さあ、中にどうぞ!」
馬車から降りてきたエルヴィン様の手を自然と取って、家の中に入る。
いつもだったら、少し触れただけでも照れてしまっているのに、今日はエルヴィン様が遊びに来てくれたことが嬉しくて、そんなことは気にならなかった。
「いらっしゃい、エルヴィンさん。休みの日まで、こんな森の中にまで来てくれて、ありがとうございます」
「知ってっと思うけど、なーんもないとこだが、ゆっくりしてってくれ!」
「お義母様、お義父様、本日はお招きいただき、誠にありがとう存じます。つまらないものですが、よろしかったらこちらを受け取っていただけると幸いです」
そう言うと、エルヴィン様は手に持っていた箱をママに手渡した。
中に何が入っているか、正確なことはわからないけど、ほのかに甘い香りが箱の中からする。きっとお菓子の類だろう。
「わざわざありがとうございます。今お茶を淹れますので、くつろいでてください」
「そんな、お構いなく」
「いいからいいから、お客さんなんだから素直にくつろいでな! つっても、俺はこれから仕事だから、もう出ないといけないんだけどよ」
「そうなのですか? 日曜日なのにお仕事とは……」
「一家の大黒柱として、日曜なんて関係なしってな! エルヴィンさん、今度はゆっくり話せるといいな! んじゃ、行ってくんぜー!」
「いってらっしゃい、パパ!」
今日も元気よく出発するパパの背中に、手を振ってお見送りをする。
本当なら、日曜日くらいお休みするべきなのに、家のためにって副業までして……パパは大丈夫だって言ってたけど、絶対に私が帰ってきたことが負担になっているよね……。
「アイリーンのお義父様は、本当に話していて気持ちの良い人だね」
「そうなんですよ。パパと話していると、元気を分けてもらえるんです」
「ふふっ、小さい頃のアイリーンは、悲しい時はいつもパパに慰めてもらってたわね。はい、粗茶ですが」
「ありがとうございます。いただきます」
ママは、私のちょっと恥ずかしい過去を話しながら、紅茶をエルヴィン様の前に置いた。
「アイリーンが小さい頃は、どんな子だったのですか?」
「え、エルヴィン様!? そんなの聞いても、つまらないですよ!」
「つまらないなんてことはないさ。君のことなら、なんだって知りたいからね」
「昔から、とっても元気な子供でした。毎日森を走り回って、家の手伝いも良くしてくれて……血の繋がりが無いのに、旦那や私に似ている部分が沢山ありましてね」
「ママっ!!」
ママの言葉を止めるために、思わず強い口調を出してしまった。
エルヴィン様には、既に色々なことを話してきているが、私が捨て子だったことは話していない。そんなことを話したら、エルヴィン様はきっと私のことを心配してしまうもの。
「え? も、もしかして……言ってなかったの?」
「うん……あの、エルヴィン様……私……」
「どうしてそんな顔をするんだい、アイリーン。血の繋がりが無くたって、君は二人の立派な娘で、家族じゃないか」
てっきり心配されるか、どうして話さなかったのか問い詰められるかと思っていたのに、私に投げかけられたのは、とても優しくて暖かい言葉だった。
「血の繋がりが無くても、アイリーンがご両親のことをどれだけ大切に思っているか、同時にご両親がどれほどアイリーンを大切に思っているか、強く伝わってきている。これを家族と言わないで、なにになるのだろうか?」
「エルヴィン様……」
「ありがとうございます、エルヴィンさん。なんだか、とても救われたような気持ちになりました」
エルヴィン様の暖かい言葉に、私もママも声を震わせながらお礼を述べる。
私達が互いを家族と思っていても、所詮捨て子で血の繋がりはないじゃないかと言われたことは、これまでの人生で何度もあった。
それを言われるたびに、それでも私は二人が両親だと言い張っていたけど、どうしてそんなことを言われないといけないのだろうか、血の繋がりがないと親子になってはいけないのかと、悩んだことが何度もあった。
だからなのかな……家族以外の大切な人の一人である、エルヴィン様にそう言ってもらえたら、凄く……凄く嬉しかったの。
「アイリーン、気持ちはよくわかるけど、まだ約束の時間じゃないんだから、少し落ち着きなさい」
「わ、わかってるよぉ……」
私がこんなに落ち着きが無いのは、もちろん理由がある。
実は、これからエルヴィン様が遊びに来てくれる。いつも休日は家のことで忙しくて、会うことは難しかったんだけど、今日は珍しく一日空いているということで、遊びに来てくれることになったの。
「まさか、この家にアイリーンが彼氏を招待するようになるたぁな……少し前までは、あんなに小さかったのに、時が過ぎるのは早いもんだぜ」
「か、彼氏じゃないから!」
「はいはい、今は……でしょ?」
「う、うぅぅぅ~……!」
クスクスと笑うママ、豪快に笑うパパに対して、私は涙目で頬を膨らませることしかできなかった。
ここで、もっと違うって反論する選択肢もあるのだろうけど、私の心がそれを拒んでいた。
「……あっ、来た!!」
家の外から、馬車の独特な音が聞こえてきた。それにいち早く気づいた私は、尻尾をピンッと立てながら家を飛び出した。
まだ馬車の姿は見えないけど、音は確実にここに近づいてきているのがわかる。
えへへ、休みの日なのにエルヴィン様にこれから会えると思うと、嬉しくて頬が緩んじゃう。尻尾もリズムよく揺れちゃってるよ。
「おはよう、アイリーン。まさか出迎えてくれるだなんて、嬉しいよ」
「おはようございます。馬車の音が聞こえてきたので、飛んできちゃいました。さあ、中にどうぞ!」
馬車から降りてきたエルヴィン様の手を自然と取って、家の中に入る。
いつもだったら、少し触れただけでも照れてしまっているのに、今日はエルヴィン様が遊びに来てくれたことが嬉しくて、そんなことは気にならなかった。
「いらっしゃい、エルヴィンさん。休みの日まで、こんな森の中にまで来てくれて、ありがとうございます」
「知ってっと思うけど、なーんもないとこだが、ゆっくりしてってくれ!」
「お義母様、お義父様、本日はお招きいただき、誠にありがとう存じます。つまらないものですが、よろしかったらこちらを受け取っていただけると幸いです」
そう言うと、エルヴィン様は手に持っていた箱をママに手渡した。
中に何が入っているか、正確なことはわからないけど、ほのかに甘い香りが箱の中からする。きっとお菓子の類だろう。
「わざわざありがとうございます。今お茶を淹れますので、くつろいでてください」
「そんな、お構いなく」
「いいからいいから、お客さんなんだから素直にくつろいでな! つっても、俺はこれから仕事だから、もう出ないといけないんだけどよ」
「そうなのですか? 日曜日なのにお仕事とは……」
「一家の大黒柱として、日曜なんて関係なしってな! エルヴィンさん、今度はゆっくり話せるといいな! んじゃ、行ってくんぜー!」
「いってらっしゃい、パパ!」
今日も元気よく出発するパパの背中に、手を振ってお見送りをする。
本当なら、日曜日くらいお休みするべきなのに、家のためにって副業までして……パパは大丈夫だって言ってたけど、絶対に私が帰ってきたことが負担になっているよね……。
「アイリーンのお義父様は、本当に話していて気持ちの良い人だね」
「そうなんですよ。パパと話していると、元気を分けてもらえるんです」
「ふふっ、小さい頃のアイリーンは、悲しい時はいつもパパに慰めてもらってたわね。はい、粗茶ですが」
「ありがとうございます。いただきます」
ママは、私のちょっと恥ずかしい過去を話しながら、紅茶をエルヴィン様の前に置いた。
「アイリーンが小さい頃は、どんな子だったのですか?」
「え、エルヴィン様!? そんなの聞いても、つまらないですよ!」
「つまらないなんてことはないさ。君のことなら、なんだって知りたいからね」
「昔から、とっても元気な子供でした。毎日森を走り回って、家の手伝いも良くしてくれて……血の繋がりが無いのに、旦那や私に似ている部分が沢山ありましてね」
「ママっ!!」
ママの言葉を止めるために、思わず強い口調を出してしまった。
エルヴィン様には、既に色々なことを話してきているが、私が捨て子だったことは話していない。そんなことを話したら、エルヴィン様はきっと私のことを心配してしまうもの。
「え? も、もしかして……言ってなかったの?」
「うん……あの、エルヴィン様……私……」
「どうしてそんな顔をするんだい、アイリーン。血の繋がりが無くたって、君は二人の立派な娘で、家族じゃないか」
てっきり心配されるか、どうして話さなかったのか問い詰められるかと思っていたのに、私に投げかけられたのは、とても優しくて暖かい言葉だった。
「血の繋がりが無くても、アイリーンがご両親のことをどれだけ大切に思っているか、同時にご両親がどれほどアイリーンを大切に思っているか、強く伝わってきている。これを家族と言わないで、なにになるのだろうか?」
「エルヴィン様……」
「ありがとうございます、エルヴィンさん。なんだか、とても救われたような気持ちになりました」
エルヴィン様の暖かい言葉に、私もママも声を震わせながらお礼を述べる。
私達が互いを家族と思っていても、所詮捨て子で血の繋がりはないじゃないかと言われたことは、これまでの人生で何度もあった。
それを言われるたびに、それでも私は二人が両親だと言い張っていたけど、どうしてそんなことを言われないといけないのだろうか、血の繋がりがないと親子になってはいけないのかと、悩んだことが何度もあった。
だからなのかな……家族以外の大切な人の一人である、エルヴィン様にそう言ってもらえたら、凄く……凄く嬉しかったの。
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