【完結】真実の愛を見つけたから離婚に追放? ありがとうございます! 今すぐに出ていきます!

ゆうき

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第五十三話 するべきか、しないべきか

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 パーティーの当日、私は夜まで時間を潰すために、自室で読書をしていた。

 本当は、パーティーの準備の手伝いをしようとしていたのだが、サイラス様やレージュ様を含めた何人かの人達に、全力で止められてしまったから、準備が出来るまで、自室で待ちぼうけということなの。

 あーあ、みんなきっと疲れてるだろうから、疲労回復効果が盛り盛りの、薬膳ケーキを焼こうと思ったのに……残念だわ。

「…………」

「なんか、昔もこんな感じのがあったわね」

 なぜか一緒の部屋にいるサイラス様が、私の前に座って、ニコニコしながら私を見つめている。

 当たり前のように、私の部屋にサイラス様がいるけど、別に嫌ではないし、むしろ見られて嬉しく思ってるけど、それ以上にジッと見られていると恥ずかしい。

「それで、どうしてここに?」

「今回も手伝おうと思ったんだけど、疲れているんだから休めと言われて、追い出されてしまってね。今日は随分と使用人が忙しそうにしているから、手伝いたかったんだけど……空いた時間を有効活用して、こうして君に会いに来たというわけだよ」

「なるほどね。来てくれて嬉しいわ」

「ははっ、相変わらずエリシアはツンツンしているな。そんなところも……え、エリシアが俺を受け入れてくれた!? くぅ……! 俺は猛烈に感動している!」

 この展開は、絶対にサイラス様に抱きしめられる。それがわかっていたのに、私は止めたり逃げたりせず、素直にそれを受け入れた。
 それどころか、サイラス様の背中に腕を回して、自分からも抱きつきにいっていた。

「え、えっと? エリシア、今日はどうしたんだ? いつもなら、すぐに離れるように言うのに……」

「……べ、別に……そういう気分になれなかっただけよ」

「それなら、今日はたくさんこうしてくっつけるということか!? よし、最近忙しくてイチャイチャ出来なかった分、ここで取り戻さないとな!」

「いつもイチャイチャなんてしてないわよ……もうっ」

 相変わらず可愛くないことを言ってしまったことを後悔しながらも、離れることはしなかった。

 ……こんなにずっと触れ合えるのなんて、いつぶりだろう。いや、一緒に過ごすようになってから今日まで、こんなに長くくっついているのは無かった気もする。

 だけど……まだ足りない。もっとサイラス様を心と体で感じていたい。それほどまで、私はサイラス様のことが……。

「……サイラス様……私……私……」

「エリシア……?」

「サイラス様、こちらにいらっしゃいますか?」

 自然とサイラス様への気持ちを言葉として出そうになったが、部屋にやってきた使用人の声で我に返り、急いでサイラス様から離れた。

「あ、ああ。どうかしたのか?」

「イリス様が、お話があるから来てほしいとの事でして」

「母上が? わかった。すぐに行くよ」

 その言葉を最後に、部屋の外から使用人の声が聞こえなくなった。きっと伝えることを伝えたから、仕事に戻ったのだろう。

「エリシア、俺に何か言うことがあったんじゃないか?」

「えっ!? ううん、なんでもないわ」

「そうか? それじゃあ、また後で」

 サイラス様は、最後に私のことを強く抱きしめてから、笑顔で部屋を出ていった。それを見送った後、私は大きな溜息を漏らしながら、ベッドに頭から飛び込んだ。

「私……何を言おうとしていたの……?」

 何を? そんなの、わざわざ思い出す必要も無い。私は、場の空気に便乗して、サイラス様に告白をしようとしていた。

 好きだと気づいた時に、告白をして万が一に失敗してしまったら、この関係が壊れるかもしれないと思った。それが怖いとか思っていたくせに、私は無意識に気持ちを伝えようとしていた。

 それを考えると、あそこで横槍が入ってきたのは、ある意味不幸中の幸いだった……のかもしれない。

「……わかってる……きっとサイラス様も、私と同じ気持ちなのは……告白すれば、成功するだろう……でも、絶対じゃない……それが怖い……」

 私はサイラス様を愛している。出来ることなら、結婚して一緒にこれからもギルドを世界一にするため、多くの人を助けるために頑張って、いつかはマグナス様にぎゃふんと言わせたい。

 でも、愛しているからこそ、失うのが怖い。告白がうまくいかなかったら……いや、そんなことは無い! やっぱり告白をして、関係を進展させた方が……! でも、やっぱり……。

 でも……でも……でも……。

「……ああもう、考えがまとまらない!」

 こういう時は、私の背中を押してくれたことがある、ミラやイリス様に相談するのが良いのかもしれないが、多分相談しても、二人共告白した方が良いと言うのはわかっている。

 ……結局のところ、最後に決めるのは私だ。気持ちに従って告白するのか、万が一を恐れてこのままの関係を続けるのか。

「私って、こんなに弱い人間だったのね」

 ここに来るまで、私は一人で何でもできると思っていた。いや、出来ると思わなくては、生きていけなかった。それくらい、マグナス様のギルドでは一人で仕事をしていたから。

 でも、ここで過ごすようになって、サイラス様とまた交流をする中で、私はもうサイラス様がいない人生なんて、考えられなくなっている。それくらい、この数ヶ月の間でサイラス様への気持ちが、爆発的に増している。

「……はぁ……少し、寝よう……」

 結局答えが出せないまま、現実から逃げるように、私はゆっくりと意識を手放した――
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