婚約者に騙されて巡礼をした元貧乏の聖女、婚約破棄をされて城を追放されたので、巡礼先で出会った美しい兄弟の所に行ったら幸せな生活が始まりました

ゆうき

文字の大きさ
12 / 58

第十二話 編入試験

しおりを挟む
 ついにジェニエス学園のテストの日がやってきました。外は雲一つない青空……まさにテスト日和と言っても差し支えないでしょう。

 今日までたくさん勉強をして、過去問もして、魔法の実技練習もしました。魔法の方は全然よくなりませんでしたが、全部やり切ったと思います!

 そんな全部やり切った私は――

「…………」

 ベッドの上で、真っ白な灰になってしまってました。昨日の追い込みで無理しすぎた結果、こんなに疲労困憊な状態になってしまいました。

「おはようシエル、調子は……よろしくないね」
「クリス様……おはよぅございまーす……」
「今日までお疲れ様。毎日頑張ったね」
「ありがとうございますぅ……」
「そんな頑張った君に、ちょっとしたご褒美だ。ベッドの上にうつ伏せで寝てごらん」
「こうですか……?」

 クリス様に言われた通り、ベッドの上に乗ってみました。すると、クリス様は杖を取り出すと、その先端を私の背中に向けました。

 え、えぇ!? 一体何を――

「いたたたたたたっ!?」

 突然私の背中に、ビリビリしたものが暴れ始めました。

 これって、もしかしなくてもクリス様の魔法ですよね!? なんでこんな事を……!?

「私の雷魔法は弱すぎて、基本的に使い物にはならないが、こういう使い方ができてね。最初は痛いが、我慢してるとよくなるよ」
「あれ……本当だ……痛いけど、気持ちぃ……!?」

 ビリビリの刺激のおかげなのかわかりませんが、さっきの不調が少し良くなりました。これは感謝しかありませんね!

「ありがとうございました! 少し楽になりました!」
「それはよかった。念の為、もう少しやっておくかい?」
「あ、お願いします!」

 ――五分後

「あっ……痛い、けど……気持ちいい!」
「朝から何騒いでんだ……は?」

 ビリビリの気持ちよさを堪能していると、眠そうに目をこすりながら、ジークがやって来ました。

 クリス様だけじゃなく、ジーク様も様子を見に来てくれるなんて嬉し――あれ、なんか凄く驚いたような表情をしているような……?

「兄上、まさかシエルに手を出すなんて……」
「はっ……? 待て、誤解だ! 私は電気マッサージをしに来ただけだ!」
「俺には……その確証がどこにあるかわからない……斬る」

 ジーク様は私達を目掛けて走りながら、腰にあった鞘から剣を抜くと、その勢いのままクリス様に向かって、剣を振り下ろしました。幸いにも、クリス様は持っていた杖で刃を受け止めたので、怪我をせずに済みました。

「落ち着けと言っているだろう! 以前父上に怒鳴られたのを忘れたか!?」
「そ、そうです! 私は本当にクリス様が仰った以上の事はされていません! だから……ケンカは駄目です!」
「……本当か?」

 怪訝な表情をするジーク様に、私は深々と頷いて見せると、それで納得してくれたのか、剣を鞘に納めてくれました。

 まさかジーク様が、あんなに怖い形相で斬りかかるだなんて、思ってもみませんでした。ジーク様ってば、何を勘違いされたのでしょうか? 手を出すって……どういう事でしょう?

「全く、お前がそんなに周りが見えなくなるとは思ってもなかったな。もっと冷静な男だと思ってたんだが……」
「……悪かった、兄上」
「なに、私も勘違いされておかしくない事をしていたんだ。すまなかった」
「よ、よくわかりませんが……仲直りできて良かったです!」
「それで……兄上はどうしてここに? 今日は学園で試験の補佐をするはずだろう?」
「まあね。家を出る前に、激励の意を込めて、シエルの緊張をほぐしに来たのさ」

 試験の補佐……? どうしてクリス様がそのような事をするのでしょうか? 理由はわかりませんが、近くに知り合いがいると思うと、少しだけ安心できますね。

「そういうわけだから、私は先に行っているよ。無事に合格して、一緒に通える事を祈っているよ」
「ありがとうございます!」

 小さく手を上げて部屋を出ていくクリス様に、私は深々と頭を下げます。頭を上げた時には、クリス様の姿は無く、部屋には私とジーク様だけになっていました。

「本当に……悪かった。俺とした事が、変な勘違いをした」
「そんな、謝らないでください! 私の事を心配してくれたというのはわかってますから!」
「…………」

 ど、どうしましょう……表情には全く出ていませんが、落ち込んでいるというのはわかります。こういう時、私に気が利いた一言が言えるような知識と、人生経験があれば……。

「あの、その……そうだ、一緒にご飯を食べに行きましょう!」
「シエル?」
「おいしいものを食べれば、嫌な事は忘れられます! さあ、行きましょう!」
「わ、わかったから……そんな引っ張るな」

 力技ではありましたが、私はジーク様を連れて、食堂へと向かって歩き出します。

 元気が無い時は、おいしいものを食べれば幸せになれる……これは世界を巡った結果、どんな人でもそうなんだと学んだ事なんです。


 ****


 朝食を終え、学園へと向かう馬車に乗って移動する私は、緊張で痛むお腹をさすりながら、大きく息を吐きだしました。

 出来る事はやって来ました。皆様にも絶対に大丈夫だと太鼓判を押してもらえましたが、それでも不安なものは不安です。

「不安に思う必要は無い。お前の学力は、この数ヶ月で目に見えて伸びている。それこそ、現役の学生に引けを取っていない」
「あ、ありがとうございます」

 わざわざ会場まで見送りに来てくれたジーク様を心配させない為に、無理して作り笑いを浮かべます。

 はぁ、皆様の言葉を信じられない、自分の自信の無さが恨めしいです。もっと自信を持ってみたいです……。

「父上も母上も……先程の見送りの際に、大丈夫と言っていただろう?」
「そうですけど……」
「シエル様、間も無く到着いたします」
「あ、はい!」

 ここまで馬車を動かしてくれていた従者様の声から間もなく、馬車はゆっくりと止まりました。緊張で気づかないうちに、ジェニエス学園に到着していたようです。

 大丈夫、きっと大丈夫……大丈夫……だい、じょう……うっ……吐きそうです……。

「シエル」
「は、はい……」
「俺は、お前を信じてる」

 僅か数秒にも満たない、激励の言葉。ですが、その表情は真剣そのもの……。私の手をギュッと握るジーク様の熱も、目も、息遣いも……私を優しく後押ししてくれているように感じました。

 ……よし、ジーク様のおかげで、少しだけ大丈夫って思えました。ううん、それは違いますね。皆様の応援の積み重ねのおかげ、ですね!

「はい! 必ず良い報告を持って帰ってきます! それじゃ……いってきます!」
「……ちょっと待て」

 馬車を降りようとすると、ジーク様に手を握られました。そしてそのまま、ジーク様は自分の唇と、私の手の甲を合わせました。

 え、あのその……えぇぇぇぇ!?!? ビックリしすぎて頭が回らないんですけど!?

「兄上から先日聞いたのだが……こうすると、幸運が訪れるらしい。にわかには信じられんが……何もしないよりはマシだろう?」
「あ、あのその……えっと……あ、ありがとうございます! では、今度こそ行きましゅ!」
「ああ、いってこい」

 ジーク様から逃げるように馬車を飛び降りた私は、恐らく真っ赤になっているであろう顔を両手で抑えました。

 あービックリしたぁ……まさかジーク様があんな事をしてくるだなんて、想像もしてませんでした。ドキドキしすぎて、体中から汗が止まりません。

 クリス様が教えたそうですが、どうしてそんな事を教えたのでしょうか……? お気持ちは嬉しいですけど、ドキドキしすぎて覚えた事が飛んじゃいそうです!

「ふぅ……冷静にならなきゃですね。すー……はー……よし、行きましょう」

 私は深呼吸をしてから、ゆっくりと前を向きます。そこには巨大な校舎や、綺麗な中庭が私を出迎えてくれていました。

 ベルモンド家のお屋敷も立派でしたけど、ジェニエス学園は更に立派です。さすが国の二大学園と呼ばれるだけはあります。

「おはようございます。本日試験を受けられる方でしょうか?」
「は、はい! シエル・マリーヌと申します! えっと、試験表を……」
「はい、確認いたしました。試験会場は1-Aという教室で行われます。そこの入口から建物に入ってすぐの所にある階段を上ってください。看板が置いてあるので、迷う心配はありませんので」
「わかりました」

 言われた通りに階段を上がっていくと、試験会場はこちらと書かれた立て看板がありました。これなら迷いません。

「よかった、迷子になったらどうしようかと思ってました……」

 ここだけの話、私は方向音痴です。巡礼の時、事情があって一人で行動している時、何度迷子になったか覚えていないくらいです。

 あの時は、一緒についてきてくれていた人には何度もご迷惑をおかけしてしまいました。謝っても、気にしないでほしいと笑っていたあのお方……今もお城で元気なのでしょうか? しっかりお礼が言えてないから、もう一度会ってお礼を言いたいです。

「すー……はー……よしっ」

 もう一度深呼吸をしてから、1-Aと書かれた教室に入ると、既に三人の方が座って待機してました。この方達も、きっと試験を受けるのでしょう。

 そして、一番驚いたのが……試験官の先生の隣に、クリス様がいた事でした。

 本当は声をかけたかったんですが、意味深にウインクをしてきたので、小さく会釈をするのにとどめておきました。

「では時間ですので始めましょう。今回のテストは国語・数学・社会・魔法学の四つで形成されています。一つの教科ごとに六十分の制限時間があります。それが過ぎたら、速やかにペンを置くようにしてください。もし体調不良になったら、すぐに手をあげてください。質問ある方はいますか……? いないようなので、問題用紙と回答用紙を配ります」

 まずは国語の試験です。まだ問題を見てはいけないので裏向きにしてっと……これでよしです!

「では……はじめ!!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

結婚して3年経っても子供ができないという理由で離縁されたエマは、前世の記憶を思い出して幸せになる。周りが勝手に復讐してくれました。

山田 バルス
恋愛
 結婚三年目の春、エマは伯爵家の夫アンドレオから突然、側室を迎える話を告げられる。子をなせなかったことを理由に、彼女は僅かな補償のみで離縁された。妻として過ごした三年間は「無価値だった」と突きつけられ、エマは貴族社会から静かに切り捨てられる。  また実家の父母の墓参りに行くと、当主になっていた兄に離縁金を奪われてしまう。  大ピンチのエマには、秘密があった。なんと彼女は幼少期に前世の記憶を思い出していたのだ。  かつて観光地で石を磨き、アクセサリーを作り、人に喜ばれる仕事をしていた人生。何も持たない今だからこそ、もう一度「自分の手で生きる」ことを選び、あの人が住む商業国家スペイラ帝国へ向かう決意をする。  国境への道中、盗賊に襲われるが、護衛兵ロドリゲスの活躍で難を逃れる。彼の誠実な態度に、エマは「守られる価値のある存在」として扱われたことに胸を打たれた。  スペイラ帝国では身分に縛られず働ける。エマは前世の技術を活かし、石を磨いてアクセサリーを作る小さな露店を始める。石に意味を込めた腕輪やペンダントは人々の心を掴み、体験教室も開かれるようになる。伯爵夫人だった頃よりも、今の方がずっと「生きている」と実感していた。  ある朝、ロドリゲスが市場を訪れ、エマの作ったタイガーアイの腕輪を購入する。ところがその夜、彼は驚いた様子で戻り、腕輪が力を一・五倍に高める魔道具だと判明したと告げる。エマ自身は無意識だったが、彼女の作るアクセサリーには確かな力が宿っていた。  後日二人は食事に出かけ、エマは自分が貴族の妻として離縁された過去を打ち明ける。ロドリゲスは強く憤り、「最悪な貴族だ」と彼女と一緒になって怒ってくれた。その気持ちが、エマにとって何よりの救いだった。彼は次に防御力を高める腕輪を依頼し、冒険者ギルドで正式な鑑定を受けるよう勧める。  翌日、冒険者ギルドで鑑定を行った結果、エマの腕輪は高い防御効果を持つことが判明。さらに彼女自身を鑑定すると、なんと「付与特化型聖女」であることが明らかになる。聖女が付与した魔道具は現実の力として強く発現するのだ。  価値がないと切り捨てられた人生は、ここでは確かな力となった。スペイラ帝国で、聖女エマの新しい人生が、静かに、そして輝かしく始まる。

だから聖女はいなくなった

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」 レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。 彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。 だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。 キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。 ※7万字程度の中編です。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

短編)どうぞ、勝手に滅んでください。

黑野羊
恋愛
二度も捨てられた聖女です。真実の愛を見つけたので、国は救いません。 あらすじ) 大陸中央にあるルオーゴ王国で、国を守る結界を維持してきた聖女ロザリア。 政略のため王太子と婚約していた彼女は、突如『真の聖女』が現れたとして婚約を破棄され、聖女の座を追われてしまう。さらに、代わりに婚姻しろと命じられた聖騎士からも拒絶され、実家にも見捨てられたロザリアは、『最果ての修道院』へと追放された。 けれど彼女はそこで、地位や栄光、贅沢などとはほど遠い、無条件に寄り添ってくれる『真実の愛』と穏やかな日々を手にいれる。 やがて聖女を失った王国は、崩壊へ向かっていき――。 ーーー ※カクヨム、なろうにも掲載しています

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

【完結】転生したら断罪イベントの真っ最中。聖女の嘘を暴いたら、王太子が真っ青になりました

丸顔ちゃん。
恋愛
王太子は私――エリシアに婚約破棄を宣言し、 隣では甘ったるい声の“聖女”が「こわかったんですぅ♡」と泣き真似をしている。 だが私は知っている。 原作では、この聖女こそが禁術で王太子の魔力を吸い取り、 私に冤罪を着せて処刑へ追い込んだ張本人だ。 優しい家族を守るためにも、同じ結末は絶対に許さない。 私は転生者としての知識を武器に、 聖女の嘘と禁術の証拠を次々に暴き、 王太子の依存と愚かさを白日の下に晒す。 「婚約は……こちらから願い下げです」 土下座する王太子も、泣き叫ぶ聖女も、もう関係ない。 私は新しい未来を選ぶ。

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

処理中です...