14 / 58
第十四話 お祝い? パーティー
しおりを挟む
「えっと……これはなんですか……?」
試験があった日の夜、凄く広い部屋へと呼ばれた私は、目の前に広がる沢山の料理に度肝を抜かれていました。
いつも色んなおいしい料理が出てくるんですけど、今日は凄い量と種類です。こんなの全部食べたら、お腹が破裂してしまいます。
「あの、グザヴィエ様……今日は何かお祝い事でもあるのでしょうか?」
「察しが良いな。今日はとてもめでたい日なのだ。だから、朝からパーティーの準備をしていた」
「そ、そうだったんですか!? それなのに、私のお見送りをしてくれて……ありがとうございます!」
そうと知っていれば、お見送りはご遠慮していたのに……今更言ってもって話なのはわかってますが、罪悪感を感じてしまいます。
「コック様も、お忙しいのにお弁当を作ってくれて、ありがとうございます!」
「いえいえ、綺麗に完食していただいて、大変嬉しく思います。そうだ、あのおにぎり、どうでしたか?」
「とてもおいしかったです。ジーク様が作ったんですよね?」
「ええ、その通りでございます。ジーク様、何度も何度も失敗されて……ようやくまともなのが出来た! と言いながら弁当箱に詰めておられましたよ」
コック様は上機嫌で料理を並べながら、私に教えてくれました。
失敗して手をお米だらけにして、ようやくできた不格好なおにぎりで喜ぶジーク様……な、なんか可愛いかもです……。
「おい、余計な事を言うな」
「ややっ、これは失礼致しました」
いつの間にか部屋に入っていたジーク様は、鋭い目つきでコック様を睨みつけると、コック様は一目散に逃げてきました。
「もう、ジーク様ったら。そんな怖い顔で追い払うなんてしてはいけませんよ」
「……そうか。それで、アレは……どうだった?」
「おにぎりですか? おいしかったですよ!」
「そんなわけないだろう。後から気づいたんだが……塩の量を間違えていた。あれではしょっぱくて食べられたものでは……」
「ジーク様が一生懸命作ってくれたんだから、残さず食べるに決まってます!」
「……シエル……そうか」
私にか届かないくらいの小さな声で、ボソッと呟くジーク様。その表情は、とても優しい笑みで満ち溢れていました。
「それで、結局めでたい日ってなんでしょうか?」
「あら、まだ気づかないの? あなたの合格祝いよ」
「……??」
私の、合格祝い? それって今日の試験の事ですよね? まだ結果はわからないんですけど……。
「簡単に言えば、前祝いみたいなものさ」
「で、でもまだ合格したと決まったわけじゃないですよ?」
「それはそうだが、私達は全員君が合格する事を疑っていないのさ。だから朝から準備をしていた……そうですよね、父上?」
「その通りだ」
「……あ、ありがとう……ございます……」
私の事を信じて疑わない皆さんの優しさが嬉しくて、私は気づいたら涙がポロポロと零れていました。
ここの方々は、どれだけ私に優しくすれば気が済むのでしょうか? そろそろ幸せ過ぎてバチが当たりそうです。
「さて、そろそろ準備が出来たそうだ。皆、席に着くといい。使用人達も全員だ」
グザヴィエ様の号令の元、忙しなく動き回っていた使用人の方々も、席に着きました。こうして見ると、このお屋敷には沢山の人がいるのがわかります。ざっと見ても、三十人はいると思います。
「全員飲み物は持ったな。では……シエルの合格を祝って……かんぱーい!」
『かんぱーい!!』
「あ、あの……だからまだ合格と決まったわけじゃ……」
私の声は、乾杯の声にかき消されてしまいました……。こんなにお祝いムードになってしまうと、これ以上何か言うのは無理な気がしてきました。
****
「はっはっはっ! めでたい日に酒を飲むのは良いものだな!」
「うふふ、もうあなたったら、飲み過ぎですよ?」
「母上も十分飲んでいるじゃないですか。ほら、二人共水を飲んでください」
パーティーが始まってだいぶ時間が過ぎ、用意された料理もほとんど無くなってきた中、グザヴィエ様とセシリー様は上機嫌でお酒を飲んでいました。
厳格なグザヴィエ様と、しっかりした大人の女性であるセシリー様が、こんなに上機嫌なのは初めてみました。周りの大人達もいつもと違って上機嫌ですし……お酒の魔力、恐るべしです。
あれ、そういえばジーク様の姿が見えません。何処にいらっしゃるのでしょうか……あ、バルコニーにいました。お一人で何をされているのでしょうか?
「ジーク様、こんな所にいたら風邪を引いてしまいますよ?」
「今日はさほど冷えてないから問題ない。俺はいいから、パーティ―を楽しんでこい」
「いえ、私もここにいます」
「……おせっかいだな、お前は」
悪態をつきながらも、フッと笑うジーク様は、手に持っていたグラスを口元に持っていきました。ただ飲んでいるだけなのに、綺麗すぎて見惚れてしまいます。
「緊張、してるか?」
「え?」
「今日の試験の結果だ」
「緊張というより……怖いという方が正しいです」
私のささやかな願いを聞き入れてくれて、勉強できる環境を整え、試験を受けさせてくれて……今日もこうして少し気の早いパーティーまで開いてくれたのに、もし受かってなかったら……全て無意味になってしまいます。それが……怖いです。
「こんな時でも、お前は他者の心配をするんだな」
「だ、だって! 皆様には笑顔でいてもらいたいから……ガッカリさせたくないんです!」
「そうか……そういうところが俺は……」
「ジーク様?」
何かを仰っているのはわかりますが、声が小さいのに加えて、後ろから賑やかな声が聞こえてくるせいで、イマイチ聞き取れません。
もう少し近くに行けば、何を言っているか聞こえるかもしれませ――あれ、なにか後ろから視線を感じるような……?
「おや、シエルに見つかってしまったみたいだ」
「あなたが顔を出し過ぎてるからですよ?」
「セシリーこそ、随分と顔が出ていたではないか」
後ろを向くと、そこには私達を覗くように見るベルモンド一家の姿がありました。そんな所で何をされているのですか……もう。
「それで、お前達はいつくっつくのかね?」
「はっ……? な、何を言っているんだ父上?」
「あなたったら、聞いて良い事と悪い事があるんですよ? ところで初孫はいつなのかしら?」
「は、初孫っ!?」
セシリー様の発言にビックリしてしまった私は、思わず声を裏返してしまいました。
初孫って、どうすればそんな発言に繋がるかわからないんですけど!? それに、グザヴィエ様の先ほどの発言から察するに……私とジーク様がって事ですよね!?
「あの、私みたいな汚いスラム街の女よりも、ジーク様には良い人が絶対現れますから!」
「…………」
両手をブンブンと振って否定を表す私とは対照的に、ジーク様は小さく溜息を残してその場を去ろうとしました。その背中は……なんだか少し寂しそうに見えました。
それに、自分で否定しておきながら、胸の奥が痛むのは何故でしょう……?
「あ、あれ? ジーク様……!?」
「そろそろ休む。付き合ってもらって悪かったな、シエル」
「あ、はい……おやすみなさい」
咄嗟にジーク様を引き止めましたが、寂しそうな理由も聞けぬまま……ジーク様が去るのを見送る事しか出来ませんでした。
「やれやれ……父上に母上。いくら酒の席とは言え、限度が過ぎます。反省してください」
「むぅ……確かにそうだ。シエル、すまなかった」
「ごめんなさいね、シエルちゃん……」
「い、いえ! 気にしてませんから!」
謝罪をするお二人に答えながらも、私はどうしてもジーク様の事が気になってしまって……結局その日のパーティーは、それ以上楽しむ事が出来ませんでした……。
試験があった日の夜、凄く広い部屋へと呼ばれた私は、目の前に広がる沢山の料理に度肝を抜かれていました。
いつも色んなおいしい料理が出てくるんですけど、今日は凄い量と種類です。こんなの全部食べたら、お腹が破裂してしまいます。
「あの、グザヴィエ様……今日は何かお祝い事でもあるのでしょうか?」
「察しが良いな。今日はとてもめでたい日なのだ。だから、朝からパーティーの準備をしていた」
「そ、そうだったんですか!? それなのに、私のお見送りをしてくれて……ありがとうございます!」
そうと知っていれば、お見送りはご遠慮していたのに……今更言ってもって話なのはわかってますが、罪悪感を感じてしまいます。
「コック様も、お忙しいのにお弁当を作ってくれて、ありがとうございます!」
「いえいえ、綺麗に完食していただいて、大変嬉しく思います。そうだ、あのおにぎり、どうでしたか?」
「とてもおいしかったです。ジーク様が作ったんですよね?」
「ええ、その通りでございます。ジーク様、何度も何度も失敗されて……ようやくまともなのが出来た! と言いながら弁当箱に詰めておられましたよ」
コック様は上機嫌で料理を並べながら、私に教えてくれました。
失敗して手をお米だらけにして、ようやくできた不格好なおにぎりで喜ぶジーク様……な、なんか可愛いかもです……。
「おい、余計な事を言うな」
「ややっ、これは失礼致しました」
いつの間にか部屋に入っていたジーク様は、鋭い目つきでコック様を睨みつけると、コック様は一目散に逃げてきました。
「もう、ジーク様ったら。そんな怖い顔で追い払うなんてしてはいけませんよ」
「……そうか。それで、アレは……どうだった?」
「おにぎりですか? おいしかったですよ!」
「そんなわけないだろう。後から気づいたんだが……塩の量を間違えていた。あれではしょっぱくて食べられたものでは……」
「ジーク様が一生懸命作ってくれたんだから、残さず食べるに決まってます!」
「……シエル……そうか」
私にか届かないくらいの小さな声で、ボソッと呟くジーク様。その表情は、とても優しい笑みで満ち溢れていました。
「それで、結局めでたい日ってなんでしょうか?」
「あら、まだ気づかないの? あなたの合格祝いよ」
「……??」
私の、合格祝い? それって今日の試験の事ですよね? まだ結果はわからないんですけど……。
「簡単に言えば、前祝いみたいなものさ」
「で、でもまだ合格したと決まったわけじゃないですよ?」
「それはそうだが、私達は全員君が合格する事を疑っていないのさ。だから朝から準備をしていた……そうですよね、父上?」
「その通りだ」
「……あ、ありがとう……ございます……」
私の事を信じて疑わない皆さんの優しさが嬉しくて、私は気づいたら涙がポロポロと零れていました。
ここの方々は、どれだけ私に優しくすれば気が済むのでしょうか? そろそろ幸せ過ぎてバチが当たりそうです。
「さて、そろそろ準備が出来たそうだ。皆、席に着くといい。使用人達も全員だ」
グザヴィエ様の号令の元、忙しなく動き回っていた使用人の方々も、席に着きました。こうして見ると、このお屋敷には沢山の人がいるのがわかります。ざっと見ても、三十人はいると思います。
「全員飲み物は持ったな。では……シエルの合格を祝って……かんぱーい!」
『かんぱーい!!』
「あ、あの……だからまだ合格と決まったわけじゃ……」
私の声は、乾杯の声にかき消されてしまいました……。こんなにお祝いムードになってしまうと、これ以上何か言うのは無理な気がしてきました。
****
「はっはっはっ! めでたい日に酒を飲むのは良いものだな!」
「うふふ、もうあなたったら、飲み過ぎですよ?」
「母上も十分飲んでいるじゃないですか。ほら、二人共水を飲んでください」
パーティーが始まってだいぶ時間が過ぎ、用意された料理もほとんど無くなってきた中、グザヴィエ様とセシリー様は上機嫌でお酒を飲んでいました。
厳格なグザヴィエ様と、しっかりした大人の女性であるセシリー様が、こんなに上機嫌なのは初めてみました。周りの大人達もいつもと違って上機嫌ですし……お酒の魔力、恐るべしです。
あれ、そういえばジーク様の姿が見えません。何処にいらっしゃるのでしょうか……あ、バルコニーにいました。お一人で何をされているのでしょうか?
「ジーク様、こんな所にいたら風邪を引いてしまいますよ?」
「今日はさほど冷えてないから問題ない。俺はいいから、パーティ―を楽しんでこい」
「いえ、私もここにいます」
「……おせっかいだな、お前は」
悪態をつきながらも、フッと笑うジーク様は、手に持っていたグラスを口元に持っていきました。ただ飲んでいるだけなのに、綺麗すぎて見惚れてしまいます。
「緊張、してるか?」
「え?」
「今日の試験の結果だ」
「緊張というより……怖いという方が正しいです」
私のささやかな願いを聞き入れてくれて、勉強できる環境を整え、試験を受けさせてくれて……今日もこうして少し気の早いパーティーまで開いてくれたのに、もし受かってなかったら……全て無意味になってしまいます。それが……怖いです。
「こんな時でも、お前は他者の心配をするんだな」
「だ、だって! 皆様には笑顔でいてもらいたいから……ガッカリさせたくないんです!」
「そうか……そういうところが俺は……」
「ジーク様?」
何かを仰っているのはわかりますが、声が小さいのに加えて、後ろから賑やかな声が聞こえてくるせいで、イマイチ聞き取れません。
もう少し近くに行けば、何を言っているか聞こえるかもしれませ――あれ、なにか後ろから視線を感じるような……?
「おや、シエルに見つかってしまったみたいだ」
「あなたが顔を出し過ぎてるからですよ?」
「セシリーこそ、随分と顔が出ていたではないか」
後ろを向くと、そこには私達を覗くように見るベルモンド一家の姿がありました。そんな所で何をされているのですか……もう。
「それで、お前達はいつくっつくのかね?」
「はっ……? な、何を言っているんだ父上?」
「あなたったら、聞いて良い事と悪い事があるんですよ? ところで初孫はいつなのかしら?」
「は、初孫っ!?」
セシリー様の発言にビックリしてしまった私は、思わず声を裏返してしまいました。
初孫って、どうすればそんな発言に繋がるかわからないんですけど!? それに、グザヴィエ様の先ほどの発言から察するに……私とジーク様がって事ですよね!?
「あの、私みたいな汚いスラム街の女よりも、ジーク様には良い人が絶対現れますから!」
「…………」
両手をブンブンと振って否定を表す私とは対照的に、ジーク様は小さく溜息を残してその場を去ろうとしました。その背中は……なんだか少し寂しそうに見えました。
それに、自分で否定しておきながら、胸の奥が痛むのは何故でしょう……?
「あ、あれ? ジーク様……!?」
「そろそろ休む。付き合ってもらって悪かったな、シエル」
「あ、はい……おやすみなさい」
咄嗟にジーク様を引き止めましたが、寂しそうな理由も聞けぬまま……ジーク様が去るのを見送る事しか出来ませんでした。
「やれやれ……父上に母上。いくら酒の席とは言え、限度が過ぎます。反省してください」
「むぅ……確かにそうだ。シエル、すまなかった」
「ごめんなさいね、シエルちゃん……」
「い、いえ! 気にしてませんから!」
謝罪をするお二人に答えながらも、私はどうしてもジーク様の事が気になってしまって……結局その日のパーティーは、それ以上楽しむ事が出来ませんでした……。
17
あなたにおすすめの小説
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
追放された聖女は幻獣と気ままな旅に出る
星里有乃
恋愛
精霊国家トップの魔力を持つ聖女ティアラは、王太子マゼランスの妃候補として約束された将来が待っているはずだった。ある日、空から伝説の聖女クロエが降りてきて、魔力も王太子も奪われ追放される。
時を同じくして追放された幻獣と共に、気ままな旅を始めることに。やがて運命は、隣国の公爵との出会いをティアラにもたらす。
* 2020年2月15日、連載再開しました。初期投稿の12話は『正編』とし、新たな部分は『旅行記』として、続きを連載していきます。幻獣ポメの種族について、ジルとティアラの馴れ初めなどを中心に書いていく予定です。
* 2020年7月4日、ショートショートから長編に変更しました。
* 2020年7月25日、長編版連載完結です。ありがとうございました。
* この作品は、小説家になろうさんにも投稿しております。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【完結】中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら聖女ですらなくなりました。
氷雨そら
恋愛
聖女召喚されたのに、100年後まで魔人襲来はないらしい。
聖女として異世界に召喚された私は、中継ぎ聖女としてぞんざいに扱われていた。そんな私をいつも守ってくれる、守護騎士様。
でも、なぜか予言が大幅にずれて、私たちの目の前に、魔人が現れる。私を庇った守護騎士様が、魔神から受けた呪いを解いたら、私は聖女ですらなくなってしまって……。
「婚約してほしい」
「いえ、責任を取らせるわけには」
守護騎士様の誘いを断り、誰にも迷惑をかけないよう、王都から逃げ出した私は、辺境に引きこもる。けれど、私を探し当てた、聖女様と呼んで、私と一定の距離を置いていたはずの守護騎士様の様子は、どこか以前と違っているのだった。
元守護騎士と元聖女の溺愛のち少しヤンデレ物語。
小説家になろう様にも、投稿しています。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
捨てられた聖女、自棄になって誘拐されてみたら、なぜか皇太子に溺愛されています
日向はび
恋愛
「偽物の聖女であるお前に用はない!」婚約者である王子は、隣に新しい聖女だという女を侍らせてリゼットを睨みつけた。呆然として何も言えず、着の身着のまま放り出されたリゼットは、その夜、謎の男に誘拐される。
自棄なって自ら誘拐犯の青年についていくことを決めたリゼットだったが。連れて行かれたのは、隣国の帝国だった。
しかもなぜか誘拐犯はやけに慕われていて、そのまま皇帝の元へ連れて行かれ━━?
「おかえりなさいませ、皇太子殿下」
「は? 皇太子? 誰が?」
「俺と婚約してほしいんだが」
「はい?」
なぜか皇太子に溺愛されることなったリゼットの運命は……。
「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~
卯月ミント
恋愛
「お前を愛するつもりはない」
絵を描くのが趣味の侯爵令嬢ソールーナは、仮面の英雄騎士リュクレスと結婚した。
だが初夜で「お前を愛するつもりはない」なんて言われてしまい……。
ソールーナだって好きでもないのにした結婚である。二人はお互いカタチだけの夫婦となろう、とその夜は取り決めたのだが。
なのに「キスしないと出られない部屋」に閉じ込められて!?
「目を閉じてくれるか?」「えっ?」「仮面とるから……」
書き溜めがある内は、1日1~話更新します
それ以降の更新は、ある程度書き溜めてからの投稿となります
*仮面の俺様ナルシスト騎士×絵描き熱中令嬢の溺愛ラブコメです。
*ゆるふわ異世界ファンタジー設定です。
*コメディ強めです。
*hotランキング14位行きました!お読みいただき&お気に入り登録していただきまして、本当にありがとうございます!
『「毒草師」と追放された私、実は本当の「浄化の聖女」でした。瘴気の森を開拓して、モフモフのコハクと魔王様と幸せになります。』
とびぃ
ファンタジー
【全体的に修正しました】
アステル王国の伯爵令嬢にして王宮園芸師のエリアーナは、「植物の声を聴く」特別な力で、聖女レティシアの「浄化」の儀式を影から支える重要な役割を担っていた。しかし、その力と才能を妬んだ偽りの聖女レティシアと、彼女に盲信する愚かな王太子殿下によって、エリアーナは「聖女を不快にさせた罪」という理不尽極まりない罪状と「毒草師」の汚名を着せられ、生きては戻れぬ死の地──瘴気の森へと追放されてしまう。
聖域の発見と運命の出会い
絶望の淵で、エリアーナは自らの「植物の力を引き出す」力が、瘴気を無効化する「聖なる盾」となることに気づく。森の中で清浄な小川を見つけ、そこで自らの力と知識を惜しみなく使い、泥だらけの作業着のまま、生きるための小さな「聖域」を作り上げていく。そして、運命はエリアーナに最愛の家族を与える。瘴気の澱みで力尽きていた伝説の聖獣カーバンクルを、彼女の浄化の力と薬草師の知識で救出。エリアーナは、そのモフモフな聖獣にコハクと名付け、最強の相棒を得る。
魔王の渇望、そして求婚へ
最高のざまぁと、深い愛と、モフモフな癒やしが詰まった、大逆転ロマンスファンタジー、堂々開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる