47 / 58
第四十七話 宿敵との決戦
しおりを挟む
■ジーク視点■
「よく来たなてめえら。逃げないで来た事は褒めてやるぜ」
大歓声に包まれる中、俺と兄上の前に立ったアンドレは、ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべていた。その隣には、浮かない顔のココも立っている。
さっきはあんなに荒れていたというのに、随分と立ち直りが早い男だ。馬鹿だから、その辺も単純なのだろうな。
「こちらこそ感謝していますよ。このような決着の舞台を共に作れた事に」
「俺達の恩人を……大切な人を傷つけ、愚弄した罪は重い。覚悟しろ」
試合の開始の合図もされていないのに、自分の胸の内から燃え上がる怒りを抑えきれなかった俺は、愛用している剣を鞘から抜いた。
それに釣られるように、兄上は杖を、アンドレは大剣を、ココは長い杖を取り出した。
獲物を見た感じでは、アンドレがガンガン前に出て、それをココがサポートする形とみて間違いないだろう。俺達のやり方に似ている。
「さあ会場の盛り上がりも最高潮だ! そんな中、最後に行われるのはこのエキシビション! 選手の紹介と行くぞー! ジェニエス学園が誇る最強兄弟! 『賢者』と呼ばれる兄、クリス・ベルモンド! そのパートナーを務めるのが、『剣聖』と呼ばれし弟、ジーク・ベルモンドだぁぁぁぁ!!」
何とも恥ずかしい名称で呼ばれて頭を抱えていると、観客達から大歓声が沸き起こった。
なんでこれを喜ぶのかがわからない……誰が聞いても痛い名前だろう。人前で俺は『剣聖』だ……なんて言ったら、気持ち悪がられるに違いない。
「対するゲール学園からは、王族の歴史で歴代最強と謡われるこの方! 最近は生徒会長となった、アンドレ・プロスペリア! パートナーを務めるのが、なんとまだ我々の記憶に新しい、巡礼のお供として過酷な旅を超えた女性! ココ・リシャ―ルです!」
こいつの紹介など、歓声など上がるわけが……と思っていたが、俺達の時と比べても遜色がない歓声だ。
そういえば、こいつは外面だけは良かったんだったな……すっかり忘れていた。まあいい。この公共の場で、その化けの皮を剥がしてやる。
「では……エキシビションマッチを開催させていただきます! では……試合開始ぃぃぃぃぃ!!」
「はぁぁぁぁぁ!!」
「死にさらせゴラァァァァァ!!」
開始の合図と共に、近接組の俺とアンドレが、雄たけびを上げながら突っ込むと、互いの剣を思い切りぶつけた。
それだけに終わるはずもなく、俺達はさらに攻撃を繰り返す。俺が剣を振り下ろせば、アンドレが受け止めてから受け流し、その隙をつくようにアンドレが剣で刺そうとするが、俺は受け流された剣を持ち直し、すぐに剣で攻撃を防いだ。
「なんだ……この程度かぁ? そんなクソみたいな剣で、シエルを守れると本気で思ってんのか? 見た目に似合わず、頭ん中花畑かよバーカ!」
「雑魚が吠えるな。耳障りだ」
「んだと……!?」
「む……!?」
くだらない言い合いをしている間に、地を這う蛇のような形をした、真っ赤な炎が俺達に向かって這ってきた。
こんな生き物はこの世にいない。ということは、ココの魔法の一つか。炎の魔法……兄上に相性が悪いのが気にかかる。
いや、今はそれよりもあの蛇から逃げるのを優先しよう。斬っても良いんだが、もし爆発でもされたら致命傷だ。
「おっと、何逃げてるんですかぁ~!? 次男ぼ~う!!」
心底俺を馬鹿にするような言い方をするアンドレは、なんと剣先に先程の炎の蛇を乗せ、俺へと投げつけてきた。
このままでは当たる――そう思った矢先、俺の前に氷柱が出現し、炎の蛇から守ってくれた。
「一瞬で蒸発までさせるとは……良い火力だ。さすがココ殿」
「すまない、面倒をかけた」
「気にするな、と言いたいが……少し冷静になれ。奴がココ殿を使ってるのを含め、奴は我々の気持ちを乱したいようだ。焦らせれば戦術もブレるし、我々が落ち込むのを見たいという魂胆が見え見えだ」
まあそんなところだろうな。根性がねじ曲がっているあいつなら、全然あり得そうな事だ。
「なにしてんだバカ! あれをちゃんと決めないでどうするんだ無能が!」
「す、すみません……次こそ決めますので……!」
ココは大きな杖の下の部分を地面に突き刺すと、そのまま詠唱を始めた。
魔法の威力は詠唱の時間や、魔法陣の数で大体の予想が出来る。あの詠唱の長さに、魔法陣の数は五個……それも全部炎の魔法陣。詠唱も長い所を見るに……デカいのが来る!
「これはしっかり対処しよう。叩きにいけるかい?」
「もちろんだ」
「よし。ここは我が領域……絶対零度と化する!!」
兄上が短い詠唱を終えると、地面が一瞬に凍りついた。この氷を使って相手の機動力と集中力を奪い、こちらは機動力を得る。昔から、足元が凍った時の戦闘は訓練してるからな。
「全て……斬る!」
俺は器用に氷の上を滑り、アンドレ達の元へと接近する。向こうは凍った足場のせいで上手く動けていないようだから、かなり俺の方が有利と言える。
「貰った!」
反撃は飛んでこないと踏んだ俺は、躊躇なくアンドレに斬りかかる――が、硬いなにかによって阻まれていた。
これは……身を守る障壁か。アンドレの前で杖を構えているココの姿を見た感じ、こいつの魔法か……元々シエルを守る為に一緒に行動していたのだから、防御魔法を持ってても不思議ではないな。
それにしても、別の魔法を詠唱していたのに、咄嗟に防御魔法を使えるだなんて、ココは想像以上にやり手だな。
「勝ったと思ったか? 甘いんだよ雑魚が!」
「ふん……味方に守る事しか出来ない分際で、よく吠えられたものだな」
「相変わらずおもしれえ事を言うじゃねえか。それならこの壁を破ってみせろや!」
「上等だ……!!」
挑発に乗ったと思われるのも癪だが、ここで引いたら負けだ。そう思い、俺は一心不乱に剣を振って障壁を破壊しようとするが、一向に壊せる気配がない。
くそっ、さっさとこの外道に一太刀を浴びせたいのに、想像以上にココの魔法が厄介すぎる。
「おいその程度か? さっきの威勢はどこに行ったんだ!?」
「くっ……まだだ!!」
ココの後ろで嫌らしく笑うアンドレに怒りを覚えながら、何度も何度も剣を振るうが、それでも障壁にヒビ一つ入る事は無かった……。
「はははは!! なんだったか? 俺に吠えるだとかなんとか言っていたが、てめえの方が負け犬じゃねえか! まあ、あんな根暗で気持ちの悪い女に忠誠を誓う駄犬なら、それも仕方なしってか!」
「この期に及んで、まだシエルの事を愚弄するか!?」
障壁の向こうで笑うアンドレに一太刀浴びせる為に、俺は剣を振る。振る。振る。それでも、やはり俺の剣では障壁を破る事が出来なかった。
「てめえ、弱すぎんだろ。所詮は魔法の才能の無い雑魚って事か?」
「っ……!」
「こいつ、中々使えるだろう? 伊達に巡礼でシエルを守ってきただけある。今やその力は、国の宝であるオレ様を守る為に存在している。回復しか能がないてめえの飼い主とは大違いだろう?」
くそっ……俺にもっと力があれば……こんな障壁なんて一撃で破壊できる魔法の才能があれば……! 所詮魔法の才能がない人間が、努力だけで勝とうなんておこがましかったというのか?
……冗談じゃない。俺はベルモンド家を守る為、兄上の隣に立つため……そして、シエルを守る為に剣の腕を磨いてきたんだ。こんな所で……折れてたまるか!
「おーおー、思ったより頑張るじゃねえか。だが……これで終わりだ!」
「なっ……!?」
俺の目の前でスッと手を上げたアンドレ。それと同時に、俺の周りには、無数の風の刃がフワフワと浮かび……俺に向かって飛んできた。
「よく来たなてめえら。逃げないで来た事は褒めてやるぜ」
大歓声に包まれる中、俺と兄上の前に立ったアンドレは、ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべていた。その隣には、浮かない顔のココも立っている。
さっきはあんなに荒れていたというのに、随分と立ち直りが早い男だ。馬鹿だから、その辺も単純なのだろうな。
「こちらこそ感謝していますよ。このような決着の舞台を共に作れた事に」
「俺達の恩人を……大切な人を傷つけ、愚弄した罪は重い。覚悟しろ」
試合の開始の合図もされていないのに、自分の胸の内から燃え上がる怒りを抑えきれなかった俺は、愛用している剣を鞘から抜いた。
それに釣られるように、兄上は杖を、アンドレは大剣を、ココは長い杖を取り出した。
獲物を見た感じでは、アンドレがガンガン前に出て、それをココがサポートする形とみて間違いないだろう。俺達のやり方に似ている。
「さあ会場の盛り上がりも最高潮だ! そんな中、最後に行われるのはこのエキシビション! 選手の紹介と行くぞー! ジェニエス学園が誇る最強兄弟! 『賢者』と呼ばれる兄、クリス・ベルモンド! そのパートナーを務めるのが、『剣聖』と呼ばれし弟、ジーク・ベルモンドだぁぁぁぁ!!」
何とも恥ずかしい名称で呼ばれて頭を抱えていると、観客達から大歓声が沸き起こった。
なんでこれを喜ぶのかがわからない……誰が聞いても痛い名前だろう。人前で俺は『剣聖』だ……なんて言ったら、気持ち悪がられるに違いない。
「対するゲール学園からは、王族の歴史で歴代最強と謡われるこの方! 最近は生徒会長となった、アンドレ・プロスペリア! パートナーを務めるのが、なんとまだ我々の記憶に新しい、巡礼のお供として過酷な旅を超えた女性! ココ・リシャ―ルです!」
こいつの紹介など、歓声など上がるわけが……と思っていたが、俺達の時と比べても遜色がない歓声だ。
そういえば、こいつは外面だけは良かったんだったな……すっかり忘れていた。まあいい。この公共の場で、その化けの皮を剥がしてやる。
「では……エキシビションマッチを開催させていただきます! では……試合開始ぃぃぃぃぃ!!」
「はぁぁぁぁぁ!!」
「死にさらせゴラァァァァァ!!」
開始の合図と共に、近接組の俺とアンドレが、雄たけびを上げながら突っ込むと、互いの剣を思い切りぶつけた。
それだけに終わるはずもなく、俺達はさらに攻撃を繰り返す。俺が剣を振り下ろせば、アンドレが受け止めてから受け流し、その隙をつくようにアンドレが剣で刺そうとするが、俺は受け流された剣を持ち直し、すぐに剣で攻撃を防いだ。
「なんだ……この程度かぁ? そんなクソみたいな剣で、シエルを守れると本気で思ってんのか? 見た目に似合わず、頭ん中花畑かよバーカ!」
「雑魚が吠えるな。耳障りだ」
「んだと……!?」
「む……!?」
くだらない言い合いをしている間に、地を這う蛇のような形をした、真っ赤な炎が俺達に向かって這ってきた。
こんな生き物はこの世にいない。ということは、ココの魔法の一つか。炎の魔法……兄上に相性が悪いのが気にかかる。
いや、今はそれよりもあの蛇から逃げるのを優先しよう。斬っても良いんだが、もし爆発でもされたら致命傷だ。
「おっと、何逃げてるんですかぁ~!? 次男ぼ~う!!」
心底俺を馬鹿にするような言い方をするアンドレは、なんと剣先に先程の炎の蛇を乗せ、俺へと投げつけてきた。
このままでは当たる――そう思った矢先、俺の前に氷柱が出現し、炎の蛇から守ってくれた。
「一瞬で蒸発までさせるとは……良い火力だ。さすがココ殿」
「すまない、面倒をかけた」
「気にするな、と言いたいが……少し冷静になれ。奴がココ殿を使ってるのを含め、奴は我々の気持ちを乱したいようだ。焦らせれば戦術もブレるし、我々が落ち込むのを見たいという魂胆が見え見えだ」
まあそんなところだろうな。根性がねじ曲がっているあいつなら、全然あり得そうな事だ。
「なにしてんだバカ! あれをちゃんと決めないでどうするんだ無能が!」
「す、すみません……次こそ決めますので……!」
ココは大きな杖の下の部分を地面に突き刺すと、そのまま詠唱を始めた。
魔法の威力は詠唱の時間や、魔法陣の数で大体の予想が出来る。あの詠唱の長さに、魔法陣の数は五個……それも全部炎の魔法陣。詠唱も長い所を見るに……デカいのが来る!
「これはしっかり対処しよう。叩きにいけるかい?」
「もちろんだ」
「よし。ここは我が領域……絶対零度と化する!!」
兄上が短い詠唱を終えると、地面が一瞬に凍りついた。この氷を使って相手の機動力と集中力を奪い、こちらは機動力を得る。昔から、足元が凍った時の戦闘は訓練してるからな。
「全て……斬る!」
俺は器用に氷の上を滑り、アンドレ達の元へと接近する。向こうは凍った足場のせいで上手く動けていないようだから、かなり俺の方が有利と言える。
「貰った!」
反撃は飛んでこないと踏んだ俺は、躊躇なくアンドレに斬りかかる――が、硬いなにかによって阻まれていた。
これは……身を守る障壁か。アンドレの前で杖を構えているココの姿を見た感じ、こいつの魔法か……元々シエルを守る為に一緒に行動していたのだから、防御魔法を持ってても不思議ではないな。
それにしても、別の魔法を詠唱していたのに、咄嗟に防御魔法を使えるだなんて、ココは想像以上にやり手だな。
「勝ったと思ったか? 甘いんだよ雑魚が!」
「ふん……味方に守る事しか出来ない分際で、よく吠えられたものだな」
「相変わらずおもしれえ事を言うじゃねえか。それならこの壁を破ってみせろや!」
「上等だ……!!」
挑発に乗ったと思われるのも癪だが、ここで引いたら負けだ。そう思い、俺は一心不乱に剣を振って障壁を破壊しようとするが、一向に壊せる気配がない。
くそっ、さっさとこの外道に一太刀を浴びせたいのに、想像以上にココの魔法が厄介すぎる。
「おいその程度か? さっきの威勢はどこに行ったんだ!?」
「くっ……まだだ!!」
ココの後ろで嫌らしく笑うアンドレに怒りを覚えながら、何度も何度も剣を振るうが、それでも障壁にヒビ一つ入る事は無かった……。
「はははは!! なんだったか? 俺に吠えるだとかなんとか言っていたが、てめえの方が負け犬じゃねえか! まあ、あんな根暗で気持ちの悪い女に忠誠を誓う駄犬なら、それも仕方なしってか!」
「この期に及んで、まだシエルの事を愚弄するか!?」
障壁の向こうで笑うアンドレに一太刀浴びせる為に、俺は剣を振る。振る。振る。それでも、やはり俺の剣では障壁を破る事が出来なかった。
「てめえ、弱すぎんだろ。所詮は魔法の才能の無い雑魚って事か?」
「っ……!」
「こいつ、中々使えるだろう? 伊達に巡礼でシエルを守ってきただけある。今やその力は、国の宝であるオレ様を守る為に存在している。回復しか能がないてめえの飼い主とは大違いだろう?」
くそっ……俺にもっと力があれば……こんな障壁なんて一撃で破壊できる魔法の才能があれば……! 所詮魔法の才能がない人間が、努力だけで勝とうなんておこがましかったというのか?
……冗談じゃない。俺はベルモンド家を守る為、兄上の隣に立つため……そして、シエルを守る為に剣の腕を磨いてきたんだ。こんな所で……折れてたまるか!
「おーおー、思ったより頑張るじゃねえか。だが……これで終わりだ!」
「なっ……!?」
俺の目の前でスッと手を上げたアンドレ。それと同時に、俺の周りには、無数の風の刃がフワフワと浮かび……俺に向かって飛んできた。
4
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
結婚して3年経っても子供ができないという理由で離縁されたエマは、前世の記憶を思い出して幸せになる。周りが勝手に復讐してくれました。
山田 バルス
恋愛
結婚三年目の春、エマは伯爵家の夫アンドレオから突然、側室を迎える話を告げられる。子をなせなかったことを理由に、彼女は僅かな補償のみで離縁された。妻として過ごした三年間は「無価値だった」と突きつけられ、エマは貴族社会から静かに切り捨てられる。
また実家の父母の墓参りに行くと、当主になっていた兄に離縁金を奪われてしまう。
大ピンチのエマには、秘密があった。なんと彼女は幼少期に前世の記憶を思い出していたのだ。
かつて観光地で石を磨き、アクセサリーを作り、人に喜ばれる仕事をしていた人生。何も持たない今だからこそ、もう一度「自分の手で生きる」ことを選び、あの人が住む商業国家スペイラ帝国へ向かう決意をする。
国境への道中、盗賊に襲われるが、護衛兵ロドリゲスの活躍で難を逃れる。彼の誠実な態度に、エマは「守られる価値のある存在」として扱われたことに胸を打たれた。
スペイラ帝国では身分に縛られず働ける。エマは前世の技術を活かし、石を磨いてアクセサリーを作る小さな露店を始める。石に意味を込めた腕輪やペンダントは人々の心を掴み、体験教室も開かれるようになる。伯爵夫人だった頃よりも、今の方がずっと「生きている」と実感していた。
ある朝、ロドリゲスが市場を訪れ、エマの作ったタイガーアイの腕輪を購入する。ところがその夜、彼は驚いた様子で戻り、腕輪が力を一・五倍に高める魔道具だと判明したと告げる。エマ自身は無意識だったが、彼女の作るアクセサリーには確かな力が宿っていた。
後日二人は食事に出かけ、エマは自分が貴族の妻として離縁された過去を打ち明ける。ロドリゲスは強く憤り、「最悪な貴族だ」と彼女と一緒になって怒ってくれた。その気持ちが、エマにとって何よりの救いだった。彼は次に防御力を高める腕輪を依頼し、冒険者ギルドで正式な鑑定を受けるよう勧める。
翌日、冒険者ギルドで鑑定を行った結果、エマの腕輪は高い防御効果を持つことが判明。さらに彼女自身を鑑定すると、なんと「付与特化型聖女」であることが明らかになる。聖女が付与した魔道具は現実の力として強く発現するのだ。
価値がないと切り捨てられた人生は、ここでは確かな力となった。スペイラ帝国で、聖女エマの新しい人生が、静かに、そして輝かしく始まる。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
【完結】転生したら断罪イベントの真っ最中。聖女の嘘を暴いたら、王太子が真っ青になりました
丸顔ちゃん。
恋愛
王太子は私――エリシアに婚約破棄を宣言し、
隣では甘ったるい声の“聖女”が「こわかったんですぅ♡」と泣き真似をしている。
だが私は知っている。
原作では、この聖女こそが禁術で王太子の魔力を吸い取り、
私に冤罪を着せて処刑へ追い込んだ張本人だ。
優しい家族を守るためにも、同じ結末は絶対に許さない。
私は転生者としての知識を武器に、
聖女の嘘と禁術の証拠を次々に暴き、
王太子の依存と愚かさを白日の下に晒す。
「婚約は……こちらから願い下げです」
土下座する王太子も、泣き叫ぶ聖女も、もう関係ない。
私は新しい未来を選ぶ。
短編)どうぞ、勝手に滅んでください。
黑野羊
恋愛
二度も捨てられた聖女です。真実の愛を見つけたので、国は救いません。
あらすじ)
大陸中央にあるルオーゴ王国で、国を守る結界を維持してきた聖女ロザリア。
政略のため王太子と婚約していた彼女は、突如『真の聖女』が現れたとして婚約を破棄され、聖女の座を追われてしまう。さらに、代わりに婚姻しろと命じられた聖騎士からも拒絶され、実家にも見捨てられたロザリアは、『最果ての修道院』へと追放された。
けれど彼女はそこで、地位や栄光、贅沢などとはほど遠い、無条件に寄り添ってくれる『真実の愛』と穏やかな日々を手にいれる。
やがて聖女を失った王国は、崩壊へ向かっていき――。
ーーー
※カクヨム、なろうにも掲載しています
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
【完結】婚約破棄して泥を投げつけた元婚約者が「無能」と笑う中、光り輝く幼なじみの王子に掠め取られました。
ムラサメ
恋愛
「お前のような無能、我が家には不要だ。今すぐ消えろ!」
婚約者・エドワードのために身を粉にして尽くしてきたフィオナは、卒業パーティーの夜、雨の中に放り出される。
泥にまみれ、絶望に沈む彼女の前に現れたのは、かつての幼なじみであり、今や国中から愛される「黄金の王子」シリルだった。
「やっと見つけた。……ねえ、フィオナ。あんなゴミに君を傷つけさせるなんて、僕の落ち度だね」
汚れを厭わずフィオナを抱き上げたシリルは、彼女を自分の屋敷へと連れ帰る。
「自分には価値がない」と思い込むフィオナを、シリルは異常なまでの執着と甘い言葉で、とろけるように溺愛し始めて――。
一方で、フィオナを捨てたエドワードは気づいていなかった。
自分の手柄だと思っていた仕事も、領地の繁栄も、すべてはフィオナの才能によるものだったということに。
ボロボロになっていく元婚約者。美しく着飾られ、シリルの腕の中で幸せに微笑むフィオナ。
「僕の星を捨てた報い、たっぷりと受けてもらうよ?」
圧倒的な光を放つ幼なじみによる、最高に華やかな逆転劇がいま始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる