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第七十八話 作戦会議
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翌日、ルーク様と一緒に朝食をいただきながら、二人で頭を悩ませていた。
悩みの種は、もちろんこれからどうすればいいかについてだ。最終的な目的が定まっているとはいえ、そこに到達するための、確実な方法が思いつかないの。
「やはり、ルーク様の変装の魔法でどうにかするしかないのでは?」
「変に魔法を使うと、魔力探知に引っ掛かってしまうんだ。変装をして国王に近づく不届きものなんて、一発で捕まってしまうよ」
普通なら、変装していたのは誰か、目的がなんなのか裁判で調べるが、絶対にハリー様が表に出来て、問答無用で私達を殺してしまう――それが、ルーク様の考える、変装という手を打った際の、最悪な展開だそうだ。
「なにもしないで会いに行っても、捕まって終わりだろうし……」
「誰かに囮になってもらうとかはどうでしょう? 例えば、たくさんのルーク様の人形を変化させて、大群に襲われたように演出するのですわ」
「あの変装の魔法は、生命体にしか効かないんだ。人形の見た目が僕とはいえ、生命体ではないからね」
「むぅ……なかなかいい手が浮かびませんわ」
こうしている間に、猶予はどんどん無くなっていく。早く手を考えて打たないといけないのに、焦れば焦るほど思考が凝り固まっていく。
『はい! ぼく達、踊る! みんな、釘付け!』
「とても可愛らしい提案ですけど、ルーク様のホウキってすぐに気づかれてしまいそうですわね……」
「別の見た目のものを用意しても、僕の魔力を媒介にしてるのは変わらない以上、簡単に気づかれるだろうね……」
やはり、魔力探知が一番のネックになっている。魔法に依存していると、こういうものの対処が難しいと、痛感させられたわ。
『んー……何かいい方法は無いかしら』
『ぐう……むにゃ……う~ん、もう食べられないんだなぁ』
『ちょっと、あんたも考えなさいよ!』
気持ちよさそうに寝息を立てるピースの上で、セラピアがプリプリ怒りながら、何度もジャンプをする。
体格的に、体の上で飛ばれても全然痛くなさそうだけど、一応ピースを起こすことには成功していた。
『ちゃんと聞いてるんだなぁ……すやぁ……』
「どうみても寝てますわよね……」
「あははっ、いいじゃないか、空気が和んで」
『人間も、オラ達みたいに見えなければいいのになぁ』
そうね、精霊達はほとんどの人には見えもしないし、声も聞こえない。そんな状態なら、簡単に侵入できますよね……あっ!
「そうですわ! 精霊にお願いすれば良いんですのよ!」
『えっ、なになに? 私達がなにするの?』
「精霊は、普通の人に見つかりませんし、声を聞こえない。そして、物に触れたりはできますわよね? それを利用して、城のあちこちでイタズラをしてもらいますの!」
「その間に、僕達が父上のところに行くってことかい? うまくいくかな?」
「大事にすると、攻撃をされたと勘違いしますが、イタズラ程度に収めれば、ちょうどいい塩梅で気を引けると思いますの! 見えないから、危害が及ぶ可能性も低いでしょうし……どうでしょう?」
『面白そうじゃない! 乗ったわ!』
ルーク様の答えを聞く前に、セラピアがものすごい乗り気になってくれた。こんなにやる気に満ち溢れているのは、先日の騒動の時くらいだろう。
『私達の森を散々荒らされて、大切な相棒まで奪われて、鬱憤が溜まりに溜まってるのよ! あの騒動の元凶にぎゃふんと言わせられるなら、喜んで協力するわ!』
『きっと、森にいたオラたちの仲間も、協力してくれるんだなぁ。みんな、大切なものを奪われたり、メチャクチャにされて、プンプンなんだなぁ~』
『よーっし、そうと決まればさっそく仲間に声をかけるわよ! ピース、ついてきなさい!』
『了解なんだなぁ~』
ピースの背中に乗ったセラピアは、二人で仲良くどこかへ飛んでいってしまった。
セラピアが飛べるのは知ってたけど、ピースも飛べたのね……いつものんびり屋さんで、のそのそ動いている感じだから、少しだけ意外だわ。
「いってしまったね。ああ言ってくれていることだし、その作戦を採用しよう」
「わかりました。精霊が集まるまでの間、私達も動かないといけませんね」
「そうだね。個人的にだけど、まだ証拠が弱いと思っているんだ。そこを何とか補強したいね」
「でしたら、ハリー様が依頼を出したお医者様に片っ端から周り、脅されて嘘の診断書を出させられたという署名を集めるのはどうでしょう? きっと、国王様にとって、ハリー様がいかに酷いことをしていたかの証明になると思いますわ」
「うーん……父上は実力があれば、基本は放任主義だけど……さすがに今回の件は放任ってわけにもいかなさそうだし……よし、やってみようか!」
「はいっ!」
そうと決まれば、どこから周るかをリストアップしないと。ルーク様が幸いにも、今まで国王様を診察をしたお医者様を覚えていてくれたから、なんとかまとめられそうだ。
「結構な数になりそうですわね……」
「これだけ集まったら、信じてくれると思うよ。さあ、一件ずつ周ろう」
私達は、再び変装の魔法を使って見た目を変えると、これまた再びおんぶされた状態で、目的地に向かって飛んでいった。
……またルーク様に抱きつきながら空の旅が出来るのが嬉しいのは、ここだけの話ね。
悩みの種は、もちろんこれからどうすればいいかについてだ。最終的な目的が定まっているとはいえ、そこに到達するための、確実な方法が思いつかないの。
「やはり、ルーク様の変装の魔法でどうにかするしかないのでは?」
「変に魔法を使うと、魔力探知に引っ掛かってしまうんだ。変装をして国王に近づく不届きものなんて、一発で捕まってしまうよ」
普通なら、変装していたのは誰か、目的がなんなのか裁判で調べるが、絶対にハリー様が表に出来て、問答無用で私達を殺してしまう――それが、ルーク様の考える、変装という手を打った際の、最悪な展開だそうだ。
「なにもしないで会いに行っても、捕まって終わりだろうし……」
「誰かに囮になってもらうとかはどうでしょう? 例えば、たくさんのルーク様の人形を変化させて、大群に襲われたように演出するのですわ」
「あの変装の魔法は、生命体にしか効かないんだ。人形の見た目が僕とはいえ、生命体ではないからね」
「むぅ……なかなかいい手が浮かびませんわ」
こうしている間に、猶予はどんどん無くなっていく。早く手を考えて打たないといけないのに、焦れば焦るほど思考が凝り固まっていく。
『はい! ぼく達、踊る! みんな、釘付け!』
「とても可愛らしい提案ですけど、ルーク様のホウキってすぐに気づかれてしまいそうですわね……」
「別の見た目のものを用意しても、僕の魔力を媒介にしてるのは変わらない以上、簡単に気づかれるだろうね……」
やはり、魔力探知が一番のネックになっている。魔法に依存していると、こういうものの対処が難しいと、痛感させられたわ。
『んー……何かいい方法は無いかしら』
『ぐう……むにゃ……う~ん、もう食べられないんだなぁ』
『ちょっと、あんたも考えなさいよ!』
気持ちよさそうに寝息を立てるピースの上で、セラピアがプリプリ怒りながら、何度もジャンプをする。
体格的に、体の上で飛ばれても全然痛くなさそうだけど、一応ピースを起こすことには成功していた。
『ちゃんと聞いてるんだなぁ……すやぁ……』
「どうみても寝てますわよね……」
「あははっ、いいじゃないか、空気が和んで」
『人間も、オラ達みたいに見えなければいいのになぁ』
そうね、精霊達はほとんどの人には見えもしないし、声も聞こえない。そんな状態なら、簡単に侵入できますよね……あっ!
「そうですわ! 精霊にお願いすれば良いんですのよ!」
『えっ、なになに? 私達がなにするの?』
「精霊は、普通の人に見つかりませんし、声を聞こえない。そして、物に触れたりはできますわよね? それを利用して、城のあちこちでイタズラをしてもらいますの!」
「その間に、僕達が父上のところに行くってことかい? うまくいくかな?」
「大事にすると、攻撃をされたと勘違いしますが、イタズラ程度に収めれば、ちょうどいい塩梅で気を引けると思いますの! 見えないから、危害が及ぶ可能性も低いでしょうし……どうでしょう?」
『面白そうじゃない! 乗ったわ!』
ルーク様の答えを聞く前に、セラピアがものすごい乗り気になってくれた。こんなにやる気に満ち溢れているのは、先日の騒動の時くらいだろう。
『私達の森を散々荒らされて、大切な相棒まで奪われて、鬱憤が溜まりに溜まってるのよ! あの騒動の元凶にぎゃふんと言わせられるなら、喜んで協力するわ!』
『きっと、森にいたオラたちの仲間も、協力してくれるんだなぁ。みんな、大切なものを奪われたり、メチャクチャにされて、プンプンなんだなぁ~』
『よーっし、そうと決まればさっそく仲間に声をかけるわよ! ピース、ついてきなさい!』
『了解なんだなぁ~』
ピースの背中に乗ったセラピアは、二人で仲良くどこかへ飛んでいってしまった。
セラピアが飛べるのは知ってたけど、ピースも飛べたのね……いつものんびり屋さんで、のそのそ動いている感じだから、少しだけ意外だわ。
「いってしまったね。ああ言ってくれていることだし、その作戦を採用しよう」
「わかりました。精霊が集まるまでの間、私達も動かないといけませんね」
「そうだね。個人的にだけど、まだ証拠が弱いと思っているんだ。そこを何とか補強したいね」
「でしたら、ハリー様が依頼を出したお医者様に片っ端から周り、脅されて嘘の診断書を出させられたという署名を集めるのはどうでしょう? きっと、国王様にとって、ハリー様がいかに酷いことをしていたかの証明になると思いますわ」
「うーん……父上は実力があれば、基本は放任主義だけど……さすがに今回の件は放任ってわけにもいかなさそうだし……よし、やってみようか!」
「はいっ!」
そうと決まれば、どこから周るかをリストアップしないと。ルーク様が幸いにも、今まで国王様を診察をしたお医者様を覚えていてくれたから、なんとかまとめられそうだ。
「結構な数になりそうですわね……」
「これだけ集まったら、信じてくれると思うよ。さあ、一件ずつ周ろう」
私達は、再び変装の魔法を使って見た目を変えると、これまた再びおんぶされた状態で、目的地に向かって飛んでいった。
……またルーク様に抱きつきながら空の旅が出来るのが嬉しいのは、ここだけの話ね。
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