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私の婚約者
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また、今日もなのね。
視界に映った現状に、ため息すら出ない。
何も知らない人間が見れば、仲睦まじく微笑ましい恋人同士の交流に見えるだろう。
私も自分が当事者でなければ、そう思ったと思う。
まぁ、貴族としては少々はしたないとは思うけどね。
私の名前は、ティア・ブルーム。
来月に十六歳の誕生日を迎えるブルーム侯爵家の長女。
お母様譲りのピンク色の髪と、お父様譲りの紫色の瞳。
自分で言うのもあれだけど、それなりの容姿だと思う。
そんな私には、婚約者がいる。
ケレス・タービン。
私と同い年の彼は、タービン公爵家の嫡男で、柔らかな金髪に青い瞳の、優美で中性的な雰囲気の・・・人気の舞台役者のような容姿の人だ。
物腰も柔らかく、身分も公爵令息だから、ご令嬢たちの人気も高い。
そんな彼と婚約することになったのは、彼のお祖母様が私のお祖母様と親友だったから。
まぁ、よくある「子供が生まれたら結婚させましょう」というやつで、お互いの子供が男の子だけだったから、それが孫に飛び火してきたというだけ。
身分も公爵家と侯爵家で問題がなく、婚約した十三歳の時点でお互いに婚約者がいなかったから、というありがちな理由。
貴族の結婚なんて基本は政略結婚で、だから私もそれを受け入れた。
私は長女だけど、兄がいるので嫁に行かなくてはいけない。
タービン公爵家もケレス様本人も、婚約時点では何の問題もなかった。
正直言って、ケレス様は私の好みではなかったけど、かといって触れられるのも嫌というほどではないし、それは相手も同じだろうから、婚約者として普通に良い関係を築けるよう務めていたつもりだ。
婚約して三年間。
月に一回はお互いの家でお茶会という名の交流をして、誕生日には贈り物を贈り合い、観劇や買い物に出かけたりした。
私たちの住むリーデンス王国は、十七歳が成人となっている。
だから私の来月の誕生日が過ぎたら、結婚の準備を始めることになっていた。
なっていたのだけど・・・
結婚一年前になって、それに暗雲が立ち込め始めていた。
暗雲というか、正直言うと私の中でケレス様への愛情というか・・・愛情ではないわね、人としての情がマイナスに大きく振り切れてしまった。
恋焦がれる熱い思いではないけど、三年間も婚約者として交流してきて、それなりに家族愛みたいな情は抱いていた。
だけど今の私は、ケレス様と結婚するのなんて絶対に嫌だと思う程には、彼への情はなくなっていた。
その原因が、目の前の光景だ。
視界に映った現状に、ため息すら出ない。
何も知らない人間が見れば、仲睦まじく微笑ましい恋人同士の交流に見えるだろう。
私も自分が当事者でなければ、そう思ったと思う。
まぁ、貴族としては少々はしたないとは思うけどね。
私の名前は、ティア・ブルーム。
来月に十六歳の誕生日を迎えるブルーム侯爵家の長女。
お母様譲りのピンク色の髪と、お父様譲りの紫色の瞳。
自分で言うのもあれだけど、それなりの容姿だと思う。
そんな私には、婚約者がいる。
ケレス・タービン。
私と同い年の彼は、タービン公爵家の嫡男で、柔らかな金髪に青い瞳の、優美で中性的な雰囲気の・・・人気の舞台役者のような容姿の人だ。
物腰も柔らかく、身分も公爵令息だから、ご令嬢たちの人気も高い。
そんな彼と婚約することになったのは、彼のお祖母様が私のお祖母様と親友だったから。
まぁ、よくある「子供が生まれたら結婚させましょう」というやつで、お互いの子供が男の子だけだったから、それが孫に飛び火してきたというだけ。
身分も公爵家と侯爵家で問題がなく、婚約した十三歳の時点でお互いに婚約者がいなかったから、というありがちな理由。
貴族の結婚なんて基本は政略結婚で、だから私もそれを受け入れた。
私は長女だけど、兄がいるので嫁に行かなくてはいけない。
タービン公爵家もケレス様本人も、婚約時点では何の問題もなかった。
正直言って、ケレス様は私の好みではなかったけど、かといって触れられるのも嫌というほどではないし、それは相手も同じだろうから、婚約者として普通に良い関係を築けるよう務めていたつもりだ。
婚約して三年間。
月に一回はお互いの家でお茶会という名の交流をして、誕生日には贈り物を贈り合い、観劇や買い物に出かけたりした。
私たちの住むリーデンス王国は、十七歳が成人となっている。
だから私の来月の誕生日が過ぎたら、結婚の準備を始めることになっていた。
なっていたのだけど・・・
結婚一年前になって、それに暗雲が立ち込め始めていた。
暗雲というか、正直言うと私の中でケレス様への愛情というか・・・愛情ではないわね、人としての情がマイナスに大きく振り切れてしまった。
恋焦がれる熱い思いではないけど、三年間も婚約者として交流してきて、それなりに家族愛みたいな情は抱いていた。
だけど今の私は、ケレス様と結婚するのなんて絶対に嫌だと思う程には、彼への情はなくなっていた。
その原因が、目の前の光景だ。
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