私のことはお気になさらず

みおな

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妹の婚約者

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 可愛い妹のリリアの婚約者。

 それは我がリーデンス王国の第一王子殿下であり、王太子殿下のエーリッヒ・リーデンス様、十三歳。

 王妃殿下と同じ銀髪に、王家の紫色の瞳を持つ、とても可愛らしい王子殿下なの。

 そう。
紫色の瞳は、王家の血。

 お父様は、現国王陛下の従弟にあたるの。

 リリアはお母様の瞳を受け継いだけど、私とお兄様はお父様の瞳を継いだ。

 私がエーリッヒ殿下の婚約者にならなかったのは、年齢的なものもあるけど、私が紫色の瞳を継いだから。

 王家の血を強く引いたもの同士の婚姻は、リーデンス王家では許されていないのよね。

 瞳がピンク色でも、リリアは間違いなくお父様の子供で、リーデンス王家の血を継いでいるけど、瞳の色で血の濃さが出るらしくて、濃いと子供が授かりにくいそうなの。

 過去にそうだったからといって、現在もそうとは限らないけど、まぁそういう迷信?を信じがちなのよね。

 どちらにしろ、私とエーリッヒ殿下は年が離れてるし、私の方が年上なのもあるから、リリアが婚約者で良かったと思う。

 リリアは可愛いし、素直で一生懸命だし、賢いし、優しい子だから、王太子妃にピッタリだと思うわ。

「本当に、エーリッヒ殿下とリリアお嬢様は仲睦まじいですね」

 私にお茶を淹れてくれながら、東屋でお茶をしている二人を見ながら侍女が微笑む。

 まぁ、殿下はリリアのことが大好きだからね。

 それにもし、恋とかでなかったとしても、エーリッヒ殿下はどこかの誰かと違って『政略』というものを理解していると思う。

 政略結婚というのは、家と家の契約だけど、共に同じ時を生きるのだから、お互い尊重し合えなければならないわ。

 どうでもいい相手と、子供なんて作れないもの。

 まぁ、男性はそういうの平気かもしれないけど、女性は命の危険のある出産をするのよ。

 少なくとも敬愛できる相手じゃなきゃ、そんなリスク負いたくないわよ。

 私は、ケレス様に触れられるのも嫌だわ。

 他の人に触れた手で触れられるなんて、気持ち悪いもの。

 最近は、エスコートされることもないからいいけれど、早くどうにかしなくちゃ。

「リリアが王家の色を継がなくて良かったわ。あの子は本当に良い子だし、殿下はリリアをとても大切にしてくれているもの」

「ええ。どこぞの誰かに爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいです」

「ふふっ。駄目よ、そんなことを言っては。あの方には変わらずにを愛でてもらわなきゃ。今更、態度を改められても、受け入れられないもの」

 お祖母様をどうやって納得させるかの問題はあるけれど、私は婚約を継続させるつもりはないわ。
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