私のことはお気になさらず

みおな

文字の大きさ
30 / 83

愚か者と妄想

しおりを挟む
 私が何を言っても、全く伝わってる気がしない。

 あの人、どうしてあんなにポジティブに考えられるの?

 ど、どうすればいいの?
ものすごくものすごく、ものすごーく気持ち悪いんだけど。

 ヴィル様の腕に縋り付くと、ヴィル様の大きな手がポンポンと私を落ち着かせるように、手の上で動いた。

 なんていうのかしら・・・
ものすごく安心できるわ。

「ヴィル様・・・大好きです」

「・・・ああ」

 ヴィル様は、あまり愛の言葉を口にされない。

 多分、元婚約者様とのことがあったからだと思う。

 それでも、私の言葉に頷いてくれるし、行動で示してくれる。

「ティア!聞いただろう?この男はティアの愛を受け取るだけ受け取って、返そうとしない!目を覚ますんだ!」

 目の前で、ケレス様が何か喚いてるけど、もうスルーでもいいわよね?

 大体、私が自分のことを好きだと、愛しているとさっき言ってなかった?

 それなのに、私の愛をヴィル様が受け取るだけ受け取ってると言うの?

 私はどこかの誰かと違って、愛の大安売りをしたりしてないわよ。

 そんな軽い想いの愛だから、あっちにもこっちにもいい顔しようとするから、信用できないんじゃない!

「・・・不安にさせているか?」

 ヴィル様が、その黒い瞳を私に向ける。

 本当に綺麗な瞳。
私が今日身につけているブラックダイヤモンドよりも、深くて煌めいていると思う。

 そして、あんな人の戯言なのに、私の気持ちを気遣ってくれるのね。

 嬉しい。

「いいえ、ヴィル様。ヴィル様のお気持ちはちゃんと伝わっておりますわ。私の勘違いではありませんよね?」

「ああ」

 ドレスだって、今回は王妃様とお母様に譲ったからと宝飾品はヴィル様が準備して下さった。

 ヴィル様の瞳と髪のお色の宝飾品で、しかも中々王族でも持っていないという一級品よ。

 お母様と王妃様が褒めていたから、間違いないわ。

「ティア!いい加減に・・・」

「いい加減にするのはお前だ、ケレス・タービン。カバヤン伯爵令嬢が成人する三ヶ月後までは領地で軟禁だと伝えたはずだが?誰の手引きで、ここにやって来た?いや、答えはいらん。カバヤン伯爵夫妻・・・夫の伯爵が、娘を平民にために、お前とブルーム侯爵令嬢との縁を繋ぎ直そうとしていたことは調べが付いている。まぁ伯爵も、お前の妄想に騙されていたようだがな」

 しつこく言い寄ろうとするケレス様の言葉を遮ったのは、国王陛下だった。

 え?嘘でしょ。
下された決定が、覆されるわけないじゃない。

 覆されることがあるとしたら、それが冤罪の場合くらいだし、もしそうなら陛下の方が責任を取ることになるわよ。

しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

婚約者は王女殿下のほうがお好きなようなので、私はお手紙を書くことにしました。

豆狸
恋愛
「リュドミーラ嬢、お前との婚約解消するってよ」 なろう様でも公開中です。

新しい人生を貴方と

緑谷めい
恋愛
 私は公爵家令嬢ジェンマ・アマート。17歳。  突然、マリウス王太子殿下との婚約が白紙になった。あちらから婚約解消の申し入れをされたのだ。理由は王太子殿下にリリアという想い人ができたこと。  2ヵ月後、父は私に縁談を持って来た。お相手は有能なイケメン財務大臣コルトー侯爵。ただし、私より13歳年上で婚姻歴があり8歳の息子もいるという。 * 主人公は寛容です。王太子殿下に仕返しを考えたりはしません。

あの子を好きな旦那様

はるきりょう
恋愛
「クレアが好きなんだ」  目の前の男がそう言うのをただ、黙って聞いていた。目の奥に、熱い何かがあるようで、真剣な想いであることはすぐにわかった。きっと、嬉しかったはずだ。その名前が、自分の名前だったら。そう思いながらローラ・グレイは小さく頷く。 ※小説家になろうサイト様に掲載してあります。

お望み通り、別れて差し上げます!

珊瑚
恋愛
「幼なじみと子供が出来たから別れてくれ。」 本当の理解者は幼なじみだったのだと婚約者のリオルから突然婚約破棄を突きつけられたフェリア。彼は自分の家からの支援が無くなれば困るに違いないと思っているようだが……?

お認めください、あなたは彼に選ばれなかったのです

・めぐめぐ・
恋愛
騎士である夫アルバートは、幼馴染みであり上官であるレナータにいつも呼び出され、妻であるナディアはあまり夫婦の時間がとれていなかった。 さらにレナータは、王命で結婚したナディアとアルバートを可哀想だと言い、自分と夫がどれだけ一緒にいたか、ナディアの知らない小さい頃の彼を知っているかなどを自慢げに話してくる。 しかしナディアは全く気にしていなかった。 何故なら、どれだけアルバートがレナータに呼び出されても、必ず彼はナディアの元に戻ってくるのだから―― 偽物サバサバ女が、ちょっと天然な本物のサバサバ女にやられる話。 ※頭からっぽで ※思いつきで書き始めたので、つたない設定等はご容赦ください。 ※夫婦仲は良いです ※私がイメージするサバ女子です(笑) ※第18回恋愛小説大賞で奨励賞頂きました! 応援いただいた皆さま、お読みいただいた皆さま、ありがとうございました♪

【完結】もう結構ですわ!

綾雅(りょうが)今年は7冊!
恋愛
 どこぞの物語のように、夜会で婚約破棄を告げられる。結構ですわ、お受けしますと返答し、私シャルリーヌ・リン・ル・フォールは微笑み返した。  愚かな王子を擁するヴァロワ王家は、あっという間に追い詰められていく。逆に、ル・フォール公国は独立し、豊かさを享受し始めた。シャルリーヌは、豊かな国と愛する人、両方を手に入れられるのか!  ハッピーエンド確定 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/11/29……完結 2024/09/12……小説家になろう 異世界日間連載 7位 恋愛日間連載 11位 2024/09/12……エブリスタ、恋愛ファンタジー 1位 2024/09/12……カクヨム恋愛日間 4位、週間 65位 2024/09/12……アルファポリス、女性向けHOT 42位 2024/09/11……連載開始

[完結中編]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜

コマメコノカ@女性向け・児童文学・絵本
恋愛
 王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。 そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

処理中です...