私のことはお気になさらず

みおな

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東の国と囮

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 ケレス様とカバヤン伯爵令嬢は、あの日王宮からそのまま東の国に向けて旅立った。

 片道、馬車と船で一ヶ月近くかかるらしいわ。

 その東の国には、王妃様の妹様が嫁がれている。

 あの二人のことを聞いた妹様が「うちで引き取ってあげる」とおっしゃったのだそう。

 普通は、あんな面倒な人たちを引き取りたいとは思わないわよね。

 だけど東の国は他国と違って、とても特殊な国らしい。

「え?魔物がいるんですか?」

 王妃様は私の問いに頷かれた。

「そうなのよ~。東の国は島国だしうちからは離れているからあまり知られてないんだけど、魔の森という魔物が生息している森が国の北にあって、討伐隊もあるらしいわ」

「他国に出て来ることはないんですか?」

「空を飛ぶ魔物っていうのは、今のところ発見されていないみたい。だから、東の国から海を渡って近隣国にっていうことはないみたいよ。もちろん、この先のことまでは分からないけど」

 動物が進化するように魔物だっていずれ進化するかもだから、絶対はないでしょうけど、魔物なんて人間で太刀打ちできるのかしら?

「討伐できるのですか?」

「ええ。ちゃんと訓練をしているから、死人は今のところ出てないそうよ。まぁ、絶対はないのでしょうけど、それは魔物相手でなく動物相手でもあることだものね」

 それもそうね。
凶暴な動物もいるし、狩猟をしている人たちだって危険はないとは言えないわ。

「それで、何故彼らを受け入れてくださったのですか?」

「その魔物を誘き寄せるのに、囮が必要なのよ。でもほら、討伐する人間って気配というか殺気というか、魔物に気付かれてしまうのですって。でも、大切な国民を囮にしたくないから、人間を欲しているみたいなの」

「・・・それって」

「ああ!大丈夫よ。あくまでも囮で、怪我をさせたり死なせたりはしないから。もっとも恐怖は感じるでしょうけどね」

 そう、なのね。

 ちょっと・・・だいぶ?頭のおかしい言動をしてた二人だけど、死ななければならないほどの罪じゃないわ。

 王族に対しての不敬を言い出したらあれだけど。

 でも、死んでしまえとは思わないわ。

 私は、私や家族に二度と関わらないでいてくれるなら、勝手に幸せになってもらってかまわないのよ。

「死ぬことはないのですね?」

「ええ、そう聞いているわ。貴重な囮だから、ちゃんとそれなりの暮らしも保証するとも聞いているわ。もちろん、国から逃げることは出来ないけどね」

 そう。
なら、貴族でなくなっても生きていけそうね。
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