私のことはお気になさらず

みおな

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公爵夫人と養子の公爵令息

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「はじめまして。ランディです」

 そう言ってにっこりと笑った少年は、ヴィル様が私との結婚前に、グリフォン公爵家の後継候補として養子に迎え入れた遠縁の子だった。

 ヴィル様は結婚する意思がなく、でも筆頭公爵家の後継がいないのは駄目だと周囲から言われて、ランディを養子に迎えた。

 ランディは、グリフォン公爵家の先先代の当主の妹様の息子の孫で・・・

 って本当に遠縁よね。

 五人兄妹の三男で、当然だけど継ぐ家はなくて、二年前の八歳の時に養子に迎え入れたらしい。

 婚約してからも結婚してからも紹介してもらえないと思っていたら、領地にいたのね。

 私からしたら・・・
自分の産む子供が後継にしてもらえないということで、ランディを疎ましく思いかねないわけだけど。

 実は、婚約する時にヴィル様からは言われていたのよね。

 グリフォン公爵家は、筆頭公爵として責任も重いし後継になるとすごい重圧に耐えれないかもしれない。

 だから、私が子供を産んでもあくまでも後継候補として、その中で本人が望み、しかも適任な者に継がせるって。

 後継から外れても、本人が望む道に進ませるし、グリフォン公爵家はいくつか爵位も持ってるから、それを譲ってもいいって。

 だからランディも、あくまでも後継候補のひとりで、ランディが継ぎたくないと言うなら無理強いはしないらしい。

 逆に継ぎたいと言っても、適性がなければ継がせないらしいわ。

 それはランディにも、ランディの親にも言っているのですって。

 そのお気持ちは、理解できるわ。

 いくら血の繋がりがあっても、唯一の子供だとしても、ケレス様の様に適性のない人が当主になれば家は傾くもの。

 当主は、家族だけでなく使用人や領民に対しても責任があるんだから、本人の資質って大切よね。

 うちの場合は、お父様は森のクマさんで裏表のない人だけど人望はあるし、後継のお兄様は策略に向いた本当腹黒い人だから、資質はあるのよね。

「こんにちは、ランディ。私はティアよ、よろしくね」

「はい!あの・・・お母様とお呼びした方がいいですか?」

「ランディが呼びやすいようでいいわ。名前でもいいのよ?」

「・・・では、ティアお姉様とお呼びします」

 そうね。
リリアと歳も変わらないし、私からしたら弟という年齢だものね。

 ランディからしても、お兄様方と私の年齢は変わらないのでしょうし、呼びやすい呼び方でいいわ。

「ランディが屋敷を案内してくれるの?」

「はい!」

 その後、ランディの案内で領邸の母屋を見て回った。

 思ってたより、広かったわ。
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