私のことはお気になさらず

みおな

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妊娠と過保護

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 ヴィル様は、私を気遣うように背中を撫でてくれる。

 お子を授かったと伝えたら・・・喜んでくれるかしら?

「いえ、あの・・・体調が悪いわけではなくて・・・」

「どうした?」

「その・・・お子を、お子を授かったのです」

 そう伝えた後のヴィル様の行動は早かった。

 すぐにアデリアに膝掛けやショールを持って来させ、新たに侍女と騎士の選別がされることになった。

 別にまだ妊娠が分かったばかりだし、悪阻も始まってないのだけど、安静にと言われて。

 部屋から出る時も、侍女と護衛が付き従うことになってしまった。

 確かにお部屋は二階だから、階段とかは気をつけなきゃだけど、今からそんなに警戒していたら、十ヶ月のうちに私ベッドの住人になりそうなんだけど。

「ヴィル様、過保護過ぎます」

「だが、安定期に入るまで安静にと医者も言っていただろう」

「もちろん無理は致しませんが、移動にお姫様抱っこの必要はありませんわ!少しは運動もしなければ、体力が落ちてしまいます。そうなれば、出産が大変だと聞きましたわ」

 何事も、ほどほどが大事なのよ。

 私だって、大切なヴィル様とのお子だもの。

 無茶をするつもりはないわ。

「奥様、旦那様は奥様が心配なのです。のことなのですから、どうぞ安静になさってください」

「もう!カールまで!」

「・・・嫌だったか?」

「え?」

「そんなに嫌か?ティアが嫌だと言うのなら・・・」

「嫌ではありませんわ!」

 ヴィル様のお言葉に被せるように、否定の言葉を告げた。

 嫌ではないのよ。
恥ずかしいのと、あとはやっぱりほどほどが大事だって思うだけで。

「ですが、やはり体力をつけるためにも適度な運動は必要だと思いますの。お気遣いくださるのなら・・・そうですわ、お手を、お手を繋いでくださいませんか?」

「手を?」

「ええ。お嫌ですか?手を繋いで、お庭などを一緒に散歩してくださるなら、あとはお部屋で大人しくしておりますわ」

 まだ悪阻はないから、座ったままでできる家政などはするつもりだけど、ヴィル様がご一緒にお散歩してくださるなら、あとは部屋の住人になってもかまわないわ。

「分かった」

「よろしいの?」

「ああ。だが、無理はするな」

「分かっておりますわ。大切なお子ですもの。それに、悪阻が軽いか重いかも分かりませんし。お医者様のご指示にちゃんと従いますわ」

 リリアにも、少し落ち着くまで来ないように連絡しなくちゃ。

 あの子が私に無理させることはないけれど、ヴィル様も使用人のみんなも落ち着かないでしょうしね。
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