私のことはお気になさらず

打診と考慮

　ランディの側近候補に関して、ヴィル様にお伺いすることにした。

　ランディ自身は、自信がないと言っていたけど、コーネリア様が婚約者になってこの先しっかりして後継に相応しくなるかもしれないもの。

　となると、ランディの側近候補はそれなりの人間じゃなきゃいけないわ。

　もし、グリフォン公爵家の後継にならなくても、グリフォン公爵家から離れるわけじゃないし。

「ヴィル様。ランディの側近に関してはどうなっていますの？」

「ああ。一人は決めてあるが、どうした？」

「コーネリア様の友人候補の方々、元婚約者候補の方ですわね、彼女たちの婚約者候補になる方を探していますの。どうせなら、ランディの側近候補の方がいらっしゃるならと思いまして」

　別に身内ばかりで周囲を固まる必要はないのかもしれないけど、心から信用できる人間って意外と少ないのよ。

　なら大切な家族の周囲は、信用できる人たちで固めておきたいじゃない。

　そうでなくても、グリフォン公爵家は筆頭公爵家。

　敵だって多い。

　今はヴィル様が当主だから、敵対してくる人は少ないけど、ランディやヴァイスの世代になった時、信用できる味方が側にいるのといないのとでは、全然違うと思うわ。

「そうか。四人だったか？」

「はい。侯爵令嬢が二人と伯爵令嬢が二人ですわ。公爵令嬢のアリーナは私の身内ですので、婚約者を紹介する必要はありませんわ」

　アリーナには、別の交換条件お願い事をされてるのよね。

「分かった。心当たりをあたっておくが、ティアの方で誰か候補がいるか？」

「いいえ、ヴィル様にお任せしますわ」

　最初は、リリア経由で王太子殿下に誰か紹介してもらおうかと考えたのだけど、そうなると王家とグリフォン公爵家が近くなりすぎるのよね。

　そうでなくても、私が王家の親戚だし、私の妹のリリアが王太子殿下に嫁ぐ。

　王家とはいい関係を続けるつもりだけど、あまり近くなり過ぎるのも良くないのよね。

　癒着みたいに、要らぬ勘ぐりをする人間も出てくるだろうし。

　ヴィル様もさすがにランディ世代の知り合いはいないだろうけど、ヴィル様が信用しているグリフォン公爵家に仕える人の子供とかなら良いと思うのよ。

「ヴァイスは眠っているのか？」

「ふふっ。ええ。先ほどようやく。あの子はとても元気ですわ。良くお乳を飲み、よく眠り、よく泣きます」

　ヴィル様は、お忙しい執務の合間にヴァイスの顔を見に来て下さるの。

　本当にお優しいし、かつ筆頭公爵として強くて立派な方で、この方の妻になれて本当に良かったわ。