入れ替わり転生〜生まれ変わったら、私を殺した婚約者の最愛になっていました〜

みおな

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困惑の王太子③〜王太子ジュリアーノ視点〜

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 きっとウェンディが、何か父上の耳に入れたに違いない。

 そう心の中で決定付け、父上に反論しようとした僕に、母上のため息が聞こえた。

「どうしてこんな、愚か者になったのか。恋は人を愚かにさせるということでしょうか。ジュリアーノ、ウェンディは何も言っていませんよ」

「で、では、誰が・・・」

「誰がも何も、貴方は王族。側近がそばにおり、護衛も付いています。それに彼らの目がなくても、周囲には多くの貴族の目があったでしょう」

 母上のおっしゃっていることは、理解できる。

 だけど、いつも僕に従ってくれていた側近たちや護衛が父上になんて思いもしなかった。

「はぁ。貴方は本当に愚かね。彼らは確かに貴方の側近であり護衛であるけど、国王陛下の臣下なのよ。問題ありと判断したら、陛下に報告するのは当然でしょう」

「問題だ、なんて・・・」

「婚約者とろくに交流しなくて、ずっと聖女様と一緒なのですって?確かにわたくしもウェンディに、聖女様は大切なお方だから貴方と一緒にお支えしてと言ったわ。でも、不貞が疑われるほどべったり聖女様に侍れとは言っていないわよ」

「母上っ!僕とユエはそんな下世話な言葉で表すような関係ではなく・・・」

 言いかけた僕の言葉を、母上はその手に持つ扇子のビシッという音で遮った。

「言い訳は無用。レンブラン公爵家から、婚約解消の申し出があったわ。いつ目覚めるかも分からない娘を婚約者のままにはできないからって。もう少し様子を見てからと言ったのだけど、断られてるしまったわ」

 え?ウェンディとの婚約が解消された?
 なら!

「言っておくが、聖女様とは婚約できないぞ。いつこの世界からいなくなるか分からない方を王太子妃にはできん。それに、あのようなマナーでは自国のパーティーにすら出せない。どうしても聖女様が良いというのなら、貴族令嬢としての最低限の知識を身につけさせろ。そうすれば、考えてやろう」

「本当ですか!」

「ああ。(小声)ただし、廃太子するがな」

 ユエがマナーと最低限の知識を身につけてくれたら、僕はユエと婚約することができる。

 そのことが僕の心に、明るい希望の光として差し込んだ。

 ユエは今、何も覚えていない。
ならば新たな知識を教えたら、真っ白なカンバスに色々な色を付けられるように、ユエも貴族令嬢として問題なくなるのではないか。

 そんな期待に胸が熱くなった。

 次にラミリス公爵邸に行った時に、ユエに話してみよう。きっと喜んでくれるはずだ。

 浮かれていた僕は、両親の冷たい視線には気付かなかった。


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