入れ替わり転生〜生まれ変わったら、私を殺した婚約者の最愛になっていました〜

みおな

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ただ苦しかった

「・・・ユエは、その、我が国に現れた聖女なんだ。だけど、突然消えてしまって・・・」

 聖女様のことを思い出したのか、王太子殿下の声が沈んでいます。

「ウェンディ・・・ウェンディ・レンブラン公爵令嬢は、僕の婚約者だった令嬢で、今は婚約は解消しているのだけど・・・」

 私の問いに答えてくださっていることは理解していますけど、との顔合わせに他のご令嬢の話をするというのは、非常識ですわね。

 どう考えても、印象が悪いと思います。

 まぁ私は、ジュリアーノ王太子殿下のを知っていますから、今更この程度のことで何も思いませんけど。

 だって軽蔑しておりますから、殿下の好感度なんて底辺の底辺ですわ。

「クーデリア王国王太子殿下は、私のことを馬鹿にしていらっしゃるのでしょうか?」

「は?」

「この婚約は、クーデリア王国からの打診だと聞いておりますが違いますの?その婚約者候補との顔合わせに、いきなり他のご令嬢の名を出すなんて。私が子供だからと下に見ていらっしゃるのでしょうか」

 聖女様と出会う前の王太子殿下は、本当に優秀な方でした。

 もちろん至らないところもあったのでしょうが、努力を怠らず、常に周囲に心配りができる方でした。

 だから、誰もが王太子殿下を慕い、あの方の周囲には多くの人がいたものです。

 こんなふうに初見の他国の姫君に、似ているからと令嬢の名を出して尋ねたり、婚約を打診した方にその令嬢のことを話すような、そんな配慮のできない方ではなかったのですが。

 私の言葉に、王太子殿下はそのお顔を真っ青にされました。

「い、いや!そんなつもりではなかったのだ!すまない!」

「・・・ごめんなさい、意地悪を言いましたわ。ですが、婚約を打診している相手にそんなことをおっしゃっていると、皆様に断られると思いますわ」

「・・・その通りだ。すまない」  

 こういうところが・・・

 ウェンディは、ジュリアーノ王太子殿下のことを嫌いになりきれないのです。

 憎んでいるのに。

 不幸になればいいと思っているのに。

 殿下の、相手が年下の令嬢であろうと自分の非を認められるところを、昔から尊敬していました。

 この方をお支えして、共に国を守っていくのだと、そう思っていました。

 だからこそ、聖女様が現れて変わっていく殿下を見るのは、悲しかった。

「やっと死んでくれる」

 そう言った殿下の、ウェンディを憎々しげに見る瞳に、私は騙されていたのだと思って苦しかったのです。

 
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