嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

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どんな待遇を?

「やあ、リビエラ嬢。結婚式の招待状をありがとう」

 お礼を言うウェルズ様に、お姉様は眉をしかめる。

「やあじゃないわよ。まさかずっと、エレメンタル帝国にいるなんて。あっちに定住してるの?」

「ああ。小さな家だが、気楽でいい。気が向いたら遊びに来てくれ。泊まるところくらいは工面できる」

「・・・そう。まだ残ってるのよね?招待状が届いたんだから」

 お姉様たちの会話に、心の中で首を傾げる。
 ウェルズ様は、学園時代からずっとエレメンタル帝国で住まれているの?

 私が知らなくても当然だとおっしゃったのは、そういう意味でなの?

 目が語っていたのだろう。
ウェルズ様が説明してくれた。

「俺は嫡男だが、両親は五歳年下の弟を溺愛していてね。弟に公爵家を継がせたいそうだ。学園に通う前、俺と比べられるのを嫌がった弟を気遣った両親により他国に留学することになった。一応ウェルズの名は名乗っているが、それは養子縁組も廃籍も陛下の許可なくは出来ないからだ。俺には婚約者もいない。まぁ、嫡男なのに弟に立場を奪われているんだ。と思われていても仕方がない」

 両親に不当に扱われ、傷つかないわけがない。

 それでも悲痛な内容なのに、ウェルズ様は淡々と、まるで他人事のように語っている。

 きっと彼の中では、すでに解決していることなのだろう。

「でも貴方は公爵家の正当な嫡男なのに。このままでいいの?」

「ああ。帝国で暮らしている方が気楽で良い。さっさと廃籍して欲しいくらいだが、陛下に言えないのだろう。二人の結婚式が終わったら、陛下に謁見を申し込むつもりだ。いつまでもウェルズ家に囚われていたくない」

 ご自分たちの息子なのに、弟さんばかりを優遇するなんて、親のすること?

 それが筆頭公爵家の当主夫妻だなんて!

 私は、両親にとても大切に育ててもらったし、お姉様にも可愛がられた。

 両親は、お姉様と私を区別するようなことはなかったわ。

 ウェルズ様だって、今のような心境に至るまで、きっとたくさん傷ついたはずなのに。

「さっき妹君に、エレメンタル帝国産の宝石を見せる約束をしたんだ。今度トライデント卿と一緒に遊びに来るといい。ああ。ウェルズ公爵家ではなく、ホテルに滞在しているんだ」

「陛下への挨拶は一緒にしたのでしょう?」

「する代わりに、ホテル住まいを認めさせたんだ。あと二ヶ月もあんな息の詰まる家でなんて居たくないからね。さっさと縁を切りたいよ」

 こんな言葉が出るほど?どんな待遇をしていたのかしら?
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