嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

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愚かな選択

「これは果実水ですの。お二人ともどうぞ」

 イライザ様から、果実水の入ったグラスを受け取る。

 やっぱり、ロロナ様はそういう決断をされたのね。

 視線を向けると、イライザ様が小さく頷かれた。

 あの不味いお薬を信じていないわけじゃないけど、初めてのことだからどうしても不安になってしまうわ。

 だけど、ここで私が躊躇って台無しにしてしまうわけにはいかない。

 今回、失敗してしまったら、次にどんな手で出てくるか分からないし、うまく対処できるかもわからないもの。

 果実水を飲み干すと、ハデス様がそっと私の手に触れた。

 その手が、大丈夫だと言ってくれている気がする。

「ウェルズ卿、少しよろしいかな?」

 果実水を飲んですぐに、イライザ様のお父様であるアッサム伯爵がハデス様に声をかけてくる。

 これもで、この後ハデス様は部屋に連れて行かれる。

 そして、私も・・・

「・・・っ」

「大丈夫ですか?ご令嬢。気分が悪そうだ。少し風にあたられた方がよろしいかと」

 ふらついた私を、すぐに一人の男性が支える。

 支えてくれたのがだと台詞で理解り、肩の力が抜けた。

 おかげで、私が体調が悪いという様子が、周囲に伝わったようだ。

 その男性は、予定通りに私を伯爵家の部屋に連れて行くと、一旦一緒に部屋に入った。

 そして少し扉を開いて外の様子を伺う。

 が効いていない私が、小さく息を吐いてソファーに座ると、すぐに外からメイド姿の女性が部屋に入って来た。

「この者から離れないようにして、ここでお待ちください。私はハデス卿のところへ参ります」

「お願いします」

 ハデス様にも媚薬は効いていないはずだけど、あられもない姿の女性と部屋で二人きりでいたら問題になるもの。

 上手く逃げられるか分からないから、あの男性が向かってくれるなら安心だわ。

「こちらをどうぞ。飲まされた媚薬の効果を完全に打ち消します。少々・・・不味いですが」

「美味しくないのね・・・良薬口に苦しってやつかしらね」

 先に飲んだ薬で効果は出ないようになっているけど、完全に打ち消すと言われたら飲まないわけにいかないわね。

「・・・」

「我慢して下さい。今、水を飲んだら薬の効果が下がります。城に戻るまで我慢して下さい」

「帰ったら、美味しい紅茶が飲みたいわ」

「かしこまりました。あ、来た模様です」

 部屋の外から、誰かが話しながら近づいて来る気配がする。

「ええっ?ウェルズ卿の婚約者が他の男性と?」

「ええ!部屋に入っていったと目撃証言が」

 ああ。ロロナ様に雇われた目撃役ね。


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