拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

文字の大きさ
59 / 130

誰に何を買うか。

 最近人気だというカフェに寄ったり、これまた人気だという洋菓子店に寄って、お土産用に大量のケーキを買ったり。

 初めて普通の少女のように街を歩くことは、私にとってもベリンダ様たちにとっても新鮮で、それこそどんなパーティーに出るよりも楽しいことだった。

「あ。次はあそこの雑貨店に入りたいですわ」

 ベリンダ様は、お姉様であるビアンカ王太女殿下へのお土産を買いたいらしい。

 私もグレース様やカロリーナ様に、何か贈ろうかしら。

 婚約解消騒動があって、卒業式のあとにこっちに戻ってしまったから、ゆっくり話も出来なかったのよね。

 特にカロリーナ様は、コンラッド公爵家の後継になったから、お忙しかったし。

「私も、グレース様やカロリーナ様に何か買いますわ。届けて下さる?」

「もちろんです。でも二人とも、クロエ様にお会いしたいと思ってらっしゃいますわ」

「そうですね・・・留学前に会いに行こうかしら。グレース様、お嫁に行かれてしまうかもしれませんものね」

 アルトナー王国では学園卒業を以て成人だから、卒業後すぐに結婚されるご令嬢も多い。

 カロリーナ様は、コンラッド公爵家の後継だから婿養子を取るから会えるけど、グレース様は婚約者が他国の方だから、アルトナー王国から出てしまうのよね。

 シリルには手紙を書いて、アルトナー王国まで迎えに来て貰えば良いし、ビビアン様を送って行く時に一緒に行こうかしら。

「あら?これ素敵・・・」

 私が手に取ったのは、ガラスペン。

 エメラルド色で、持ち手の部分には金色でガーベラの花が描かれていて、まるで宝石の中に閉じ込められているように見える。

 隣のペンは、描かれた木の枝に白い小鳥が留まっているデザインで、青色が爽やかさを感じさせる。

 初夏を感じさせる小鳥のデザインは、カロリーナ様のイメージにピッタリだった。

 金色のガーベラの大人っぽさは、グレース様によく似合う。

 公爵家を継ぐカロリーナ様はもちろん、グレース様も女主人としてお茶会の招待状やお礼の手紙を書く時に役立つだろう。

「あー、素敵!私もお姉様に買おうかしら」

「コンラッド公爵子息様とペアで贈られては?喜ばれますわよ」

「アドルファス様は青い瞳で、お姉様は紫色だから・・・あ、これとかどうかしら?」

 ベリンダ様が手に取ったのは、紫色と青色が絡み合うように螺旋を描いているガラスペン。

 少し太めだから、ビアンカ様の婚約者であるコンラッド公爵子息様にはちょうどいいかも。

「良いと思いますわ」
感想 372

あなたにおすすめの小説

愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。

梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。 ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。 え?イザックの婚約者って私でした。よね…? 二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。 ええ、バッキバキに。 もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。

【完結】愛とは呼ばせない

野村にれ
恋愛
リール王太子殿下とサリー・ペルガメント侯爵令嬢は六歳の時からの婚約者である。 二人はお互いを励まし、未来に向かっていた。 しかし、王太子殿下は最近ある子爵令嬢に御執心で、サリーを蔑ろにしていた。 サリーは幾度となく、王太子殿下に問うも、答えは得られなかった。 二人は身分差はあるものの、子爵令嬢は男装をしても似合いそうな顔立ちで、長身で美しく、 まるで対の様だと言われるようになっていた。二人を見つめるファンもいるほどである。 サリーは婚約解消なのだろうと受け止め、承知するつもりであった。 しかし、そうはならなかった。

(完結)婚約破棄から始まる真実の愛

青空一夏
恋愛
 私は、幼い頃からの婚約者の公爵様から、『つまらない女性なのは罪だ。妹のアリッサ王女と婚約する』と言われた。私は、そんなにつまらない人間なのだろうか?お父様もお母様も、砂糖菓子のようなかわいい雰囲気のアリッサだけをかわいがる。  女王であったお婆さまのお気に入りだった私は、一年前にお婆さまが亡くなってから虐げられる日々をおくっていた。婚約者を奪われ、妹の代わりに隣国の老王に嫁がされる私はどうなってしまうの?  美しく聡明な王女が、両親や妹に酷い仕打ちを受けながらも、結局は一番幸せになっているという内容になる(予定です)

見捨てられたのは私

梅雨の人
恋愛
急に振り出した雨の中、目の前のお二人は急ぎ足でこちらを振り返ることもなくどんどん私から離れていきます。 ただ三人で、いいえ、二人と一人で歩いていただけでございました。 ぽつぽつと振り出した雨は勢いを増してきましたのに、あなたの妻である私は一人取り残されてもそこからしばらく動くことができないのはどうしてなのでしょうか。いつものこと、いつものことなのに、いつまでたっても惨めで悲しくなるのです。 何度悲しい思いをしても、それでもあなたをお慕いしてまいりましたが、さすがにもうあきらめようかと思っております。

【完結】恋は、終わったのです

楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。 今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。 『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』 身長を追い越してしまった時からだろうか。  それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。 あるいは――あの子に出会った時からだろうか。 ――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。

(完結)家族にも婚約者にも愛されなかった私は・・・・・・従姉妹がそんなに大事ですか?

青空一夏
恋愛
 私はラバジェ伯爵家のソフィ。婚約者はクランシー・ブリス侯爵子息だ。彼はとても優しい、優しすぎるかもしれないほどに。けれど、その優しさが向けられているのは私ではない。  私には従姉妹のココ・バークレー男爵令嬢がいるのだけれど、病弱な彼女を必ずクランシー様は夜会でエスコートする。それを私の家族も当然のように考えていた。私はパーティ会場で心ない噂話の餌食になる。それは愛し合う二人を私が邪魔しているというような話だったり、私に落ち度があってクランシー様から大事にされていないのではないか、という憶測だったり。だから私は・・・・・・  これは家族にも婚約者にも愛されなかった私が、自らの意思で成功を勝ち取る物語。  ※貴族のいる異世界。歴史的配慮はないですし、いろいろご都合主義です。  ※途中タグの追加や削除もありえます。  ※表紙は青空作成AIイラストです。

侯爵家に不要な者を追い出した後のこと

mios
恋愛
「さあ、侯爵家に関係のない方は出て行ってくださる?」 父の死後、すぐに私は後妻とその娘を追い出した。

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。

つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。 彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。 なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか? それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。 恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。 その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。 更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。 婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。 生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。 婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。 後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。 「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。