拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

文字の大きさ
60 / 130

婚約事情。

 シリルに、アルトナー王国で友人たちと会う件と、ベリンダ様も留学したいということを伝えると、手続きに伯母様の承認が必要だから、アルトナー王国に迎えに行くと言われた。

 そうだわ。
私もアルトナー王国の伯爵令嬢という地位をもらえないか、伯母様にお伺いしなきゃ。

 ベリンダ様は、王女殿下の身分のままで留学されるのかしら?

「え?クロエ様は伯爵令嬢に偽装されますの?」

「だって、シリルに群がってくるご令嬢たちを見極めるには、皇女の立場は邪魔なんですもの。きっと、元婚約者様やファンティーヌ様のように、本質を見せて下さると思いますわ」

 私が子爵令嬢と名乗ったことで、元婚約者様は黒髪黒目でもメルキオール帝国と結びつけなかった。

 自分の身分に溺れている方って、思い込みが激しいというのかしら。

 皇女相手でも同じ態度を取れるくらいの気概があればまだ良いけれど、自分の身分でマウントを取る方って、弱い者ばかりに牙を剥くのよね。

 シリルは、第三王子殿下であの容姿だもの。

 絶対、自国のご令嬢方はシリルの婚約者の座を狙っていると思うわ。

 マキシミリオン王国は、一番上の王太子殿下がすでに結婚されているし、次男のルーファス殿下はお姉様と結婚された。

 シリルがマキシミリオン王国で公爵位を賜るのかは分からなくても、未婚で婚約者が王子殿下。縁を結びたいと考えて、おかしくないわよね。

 ベリンダ様の婚約者になれる令息、いるかしら?

 マキシミリオン王国のことは、よく知らないのよね。

「本当に、マキシミリオン王国で婚活しますの?」

「婚活って何ですか?」

「婚約者や恋人を探す行為のことですって。リリアから聞きましたの」

 リリアは子爵令嬢だから、民の間で流行っていることとか、よく知っているの。

 うちは身分云々よりも、本人の資質で侍女や侍従、護衛騎士を選んでるのよね。

 実際、リリアは礼儀作法もちゃんと出来ているし、よく気がつく。

「婚活・・・面白い言葉ですわね。婚約者を探す活動で婚活なのですね。ええ、できるならアルトナーで暮らして下さる方を探したいと思いますわ」

「アルトナーでは駄目なの?」

「・・・クロエ様もご存知でしょう?我が国の高位貴族のご子息は、ほとんどが婚約済み。残っているのは、継ぐ家のない次男以降。家持ちで残っているのは、少々問題のある方ですわ」

「・・・」

 私は一年ほどアルトナー王国で暮らしていたから、アルトナー王国の婚約事情はなんとなくだが分かっていた。

 アルトナー王国は、成人の年齢が他国より早い。

 マキシミリオン王国と比べても三年も早く、そのせいで婚約も幼いうちから決まっている場合が多い。

 なのに、王族であるベリンダ様の婚約がまだ成っていないのは何故かしら。
感想 372

あなたにおすすめの小説

愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。

梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。 ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。 え?イザックの婚約者って私でした。よね…? 二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。 ええ、バッキバキに。 もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。

【完結】愛とは呼ばせない

野村にれ
恋愛
リール王太子殿下とサリー・ペルガメント侯爵令嬢は六歳の時からの婚約者である。 二人はお互いを励まし、未来に向かっていた。 しかし、王太子殿下は最近ある子爵令嬢に御執心で、サリーを蔑ろにしていた。 サリーは幾度となく、王太子殿下に問うも、答えは得られなかった。 二人は身分差はあるものの、子爵令嬢は男装をしても似合いそうな顔立ちで、長身で美しく、 まるで対の様だと言われるようになっていた。二人を見つめるファンもいるほどである。 サリーは婚約解消なのだろうと受け止め、承知するつもりであった。 しかし、そうはならなかった。

(完結)婚約破棄から始まる真実の愛

青空一夏
恋愛
 私は、幼い頃からの婚約者の公爵様から、『つまらない女性なのは罪だ。妹のアリッサ王女と婚約する』と言われた。私は、そんなにつまらない人間なのだろうか?お父様もお母様も、砂糖菓子のようなかわいい雰囲気のアリッサだけをかわいがる。  女王であったお婆さまのお気に入りだった私は、一年前にお婆さまが亡くなってから虐げられる日々をおくっていた。婚約者を奪われ、妹の代わりに隣国の老王に嫁がされる私はどうなってしまうの?  美しく聡明な王女が、両親や妹に酷い仕打ちを受けながらも、結局は一番幸せになっているという内容になる(予定です)

見捨てられたのは私

梅雨の人
恋愛
急に振り出した雨の中、目の前のお二人は急ぎ足でこちらを振り返ることもなくどんどん私から離れていきます。 ただ三人で、いいえ、二人と一人で歩いていただけでございました。 ぽつぽつと振り出した雨は勢いを増してきましたのに、あなたの妻である私は一人取り残されてもそこからしばらく動くことができないのはどうしてなのでしょうか。いつものこと、いつものことなのに、いつまでたっても惨めで悲しくなるのです。 何度悲しい思いをしても、それでもあなたをお慕いしてまいりましたが、さすがにもうあきらめようかと思っております。

【完結】恋は、終わったのです

楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。 今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。 『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』 身長を追い越してしまった時からだろうか。  それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。 あるいは――あの子に出会った時からだろうか。 ――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。

(完結)家族にも婚約者にも愛されなかった私は・・・・・・従姉妹がそんなに大事ですか?

青空一夏
恋愛
 私はラバジェ伯爵家のソフィ。婚約者はクランシー・ブリス侯爵子息だ。彼はとても優しい、優しすぎるかもしれないほどに。けれど、その優しさが向けられているのは私ではない。  私には従姉妹のココ・バークレー男爵令嬢がいるのだけれど、病弱な彼女を必ずクランシー様は夜会でエスコートする。それを私の家族も当然のように考えていた。私はパーティ会場で心ない噂話の餌食になる。それは愛し合う二人を私が邪魔しているというような話だったり、私に落ち度があってクランシー様から大事にされていないのではないか、という憶測だったり。だから私は・・・・・・  これは家族にも婚約者にも愛されなかった私が、自らの意思で成功を勝ち取る物語。  ※貴族のいる異世界。歴史的配慮はないですし、いろいろご都合主義です。  ※途中タグの追加や削除もありえます。  ※表紙は青空作成AIイラストです。

侯爵家に不要な者を追い出した後のこと

mios
恋愛
「さあ、侯爵家に関係のない方は出て行ってくださる?」 父の死後、すぐに私は後妻とその娘を追い出した。

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。

つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。 彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。 なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか? それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。 恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。 その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。 更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。 婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。 生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。 婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。 後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。 「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。