拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら

みおな

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面倒な人。

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 キャリーヌ様のご縁談のこともあって、私もシリルとのことを真剣に考えてみようと思った。

 いえ。別に今まで真剣じゃなかったわけじゃないのよ?

 ちゃんと納得して婚約者になったし、もし恋愛的な好きにならなくても、シリルは敬愛できる人だと思ってるわ。

 だけど、自分こそがシリルの隣にと望む人たちはやっぱり多くて、そういう人たちは私が、中途半端な気持ちでシリルの隣にいるから諦めきれないというか、ああいう態度なのかなって。

 そう言ったら、キャリーヌ様にため息を吐かれた。

「クロエ様はお優しいお考え過ぎるわ。アレらはね、単なる傲慢、身勝手、自惚れなのよ。どこをどうやったら、クロエ様より自分が優れてると思えるのか、わたくしには分からないわ。確かに身分は隠されているけど、容姿も頭の中身も淑女としての振る舞いも、全てクロエ様とは雲泥の差じゃない」

 そんなふうに褒めてくれるのは嬉しいけど、容姿に関してはそこまで差はないと思うわ。

 成績に関しては、シリルの婚約者と名乗る以上は、低迷していたらいけないと思ったし、マナーは一応は皇女だもの。幼い頃からちゃんと学んでいたから。

「でも、気持ちに向き合うのは良いことだと思いますわ。問題は・・・アレですわね」

「・・・」

 キャリーヌ様の言葉と視線に、私もそちらに視線を向けて・・・ため息を吐く。

 視線の先には、シリルに纏わりつくアーゼル男爵令嬢ミリー様がいた。

 常識がないとシリルに言わしめた彼女は、何故か最近シリルにまとわりついている。

 どうやらリグレスト侯爵令嬢様は、から抗議されたようで、最近は大人しい。

 その代わり?なのか、あの貴族のしきたりも何も理解していない男爵令嬢がシリルの周りをウロウロし始めた。

 ああいう手合いは、こちらが注意したところで、全く聞かない。

 まぁね。
リグレスト侯爵令嬢との場で、場を収めたキャリーヌ様に苦言を呈するような人だもの。

 きっと、意味不明な反論をされるのだと思うわ。

 それでも一応、婚約者として注意しようとはしたのよ。

 そうしたら、シリルが「近付くな」って首を横に振るんだもの。

 一瞬、シリルが男爵令嬢のことを好きになったのかと・・・

 でも学園から王宮に戻って、理由を説明されたのよ。

 あの子、どこかおかしいって。

 変な信念?みたいなのがあるみたいで、こっちが説明しても全く聞かないんだって。

 あまりにおかしいから、変な薬とかやってないか調べてるところだって。

 私に危険があると嫌だから、近付かないようにって。

 もう!
私だってシリルのことが心配なのに。

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